ヒット習慣予報 vol.430『消耗品デコ』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中久保です。
「デコる」と聞くと、どんなイメージがありますか?
自分の気分が上がるデザインになるようデコレーションする、通称「デコる」。
平成時代に若い女性が持っている携帯電話やゲーム機など、キラキラしたパーツで埋め尽くされた様子を思い浮かべるひとも多いのではないでしょうか。
ここ最近、この「デコる」という習慣がまた広まってきているのです。
実際にGoogleトレンドを見てみると、「デコる」の検索数はここ5年でじわじわと伸びています。

さらにいま、この「デコる」の習慣に変化が生まれてきているのをご存知ですか?
これまでは、携帯電話に始まりスマートフォンなどデバイスのケースを中心に、数年単位という比較的長い期間継続して使用するものに対して広がっていました。
ですが最近は、デコる対象のアイテムが、その日のうちに捨ててしまうものや長くても2週間以内に破棄してしまうような、使用期間がとても短いものになってきているのです。
その分デザインとしては、キラキラしたパーツを接着剤で貼り付けるような時間をかけたデコレーションではなく、シールをいくつか貼るだけだったりキラキラしたペンでイラストを書いたりなど、簡単に短時間でできるものがほとんどとなっているようです。
今回はこの新しい習慣を「消耗品デコ」と名付け、具体例を挙げながらご紹介します。
事例の1つ目は、「使い捨てカップデコ」です。
オフィスで半日程度使う紙のカップやプラカップに、シールやマスキングテープを貼りデコレーションする習慣です。その日のうちに捨ててしまうものだとしても、使っている間は気分が上がったり癒されたりするという理由で、特に若い女性の間で広がっているようです。実際、私が訪問したオフィスでは来客用のカップにもリボンとペンで簡単な装飾が施されており、会話のきっかけにもなっていました。

事例の2つ目は、「絆創膏デコ」です。
ちょっとした怪我をした際に貼る絆創膏や傷パッド。少し気分が下がりそうなときに使うアイテムでもありますが、これにペンやラインストーンなどでデコレーションするひとがいるようです。特に他人から見える部分の絆創膏は、もはやファッションの一部にしてしまおうと考え少し手の込んだデコレーションをする若者もSNSに散見されます。

事例3つ目は、「グミ・ガム・タブレットケースのデコ」です。
ここ数年ずっと人気を集めるパウチ入りのグミや、大人のエチケット的に持ち歩くひとも多いガムやタブレットなどの清涼菓子のパッケージ自体に、好きなキャラクターのシールや立体感のあるシールでデコレーションするという習慣です。製品にもよりますが、所持している日数は長くても1~2週間程度ですよね。それでも、外出時に取り出すアイテムというところで、「ある意味ポーチ感覚でもある」といった声が私の周りの20代女性やSNSでも多く聞かれます。若者に広がっている文化かと思いきや、先日聞いた話によると、娘さんからもらったシールをタブレットケースに貼っている40代男性もいたようです。
では、なぜいまこのような習慣の潮流がきているのでしょうか。
ひとつは、普通の日常を発信することの常態化が背景にあるのではないかと考えます。
これまで、画面に映えるような特別感やイベントなどをシェアするひとがほとんどだったSNSですが、最近では非常に短い動画形式で特に何も特別なことがない日常をブログ発信している投稿が多くみられます。だからこそ、極めて普通の日常の中にある消耗品をデコレーションしてみるという発想になるひとが多くなってきたのではないでしょうか。
そしてもうひとつは、周囲とのちょっとした会話や盛り上がりのきっかけを簡単につくりたいいうインサイトがあるのではないでしょうか。
昨今は多様性が当たり前になってきたからこそ、あらゆるちょっとした会話にも、誰かに嫌な思いをさせる危険が潜むことになってしまったように思います。だからこそ、これまでデコる対象ではなかった意外なアイテムをあえてデコることで、それがきっかけとなりちょっとした会話のネタがひとつ生まれるといったことを狙うひとが多くなってきたのではないでしょうか。
最後に、『消耗品デコ』のビジネスチャンスを考えてみました。
『消耗品デコ』のビジネスチャンス例
■ 企業の消耗品サンプリング会場で、自分なりのちょっとしたデコレーションを楽しめるブースを設けるイベント
■ パッケージのおもて面にデコるスペースを設けたお菓子の開発
■ 子どもたちがたのしく持ち歩けるよう、デコる用のシールやパーツなどもセットで入ったポケットティッシュの販売
みなさんもぜひ、すぐに捨ててしまうからとは言わず、消耗品にこそ愛着を持てるかわいいデコレーションをしてみてください!
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

中久保 朱律(なかくぼ・しゅり)
北海道博報堂
ヒット習慣メーカーズ メンバー
2023年に北海道博報堂に入社。今年の4月からはプランナーと営業を兼務。 ここ最近、お香を焚かない日はない。