お知らせ

博報堂、エヴィクサーによる<未来のエンタテインメント体験>とは?
ビルボードジャパン×Cip協議会による【Live Hackasong】初参加に向けてインタビュー

2018.07.20

博報堂研究開発局コンテンツビジネスラボの木下陽介、目黒慎吾、道堂本丸のインタビュー記事がbillboardJAPANに掲載されました。
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コンテンツを活用した広告コミュニケーションや新規ビジネスを支援する博報堂“コンテンツビジネスラボ”と、音と通信をテーマに研究開発を行うエヴィクサー。
両社がタッグを組んで、<未来のエンタテインメント体験>をテーマとしたハッカソン【Live Hackasong】に参加することが決定した。今回、提供されるのは博報堂の取り扱う様々なエンタメデータと、エヴィクサーによる音響通信Another Track。両社の組み合わせによって、どのような<未来のエンタテインメント体験>の可能性があるのか。両社にインタビューを行った。

瀧川(エヴィクサー)「Another Trackは、1つの空間に人を集めることができる」

--今回、博報堂、エヴィクサーの2社合同としてハッカソンに参加していただくことになりました。まず、エヴィクサーからご提供いただく「Another Track」とは、どのような技術ですか。

瀧川 淳(エヴィクサー 代表取締役社長):音響通信を使って、デバイスを制御するという技術です。分かりやすく言うと、音の信号をスマートフォンが認識すれば、予期せぬことが起こるというものですね。スマートフォンの電源を入れて特定のアプリを立ち上げていただく必要があるのですが、アプリが立ち上がってさえいれば、ユーザーが何かボタンを押したりしなくても、ステージの進行にあわせて勝手に光ったり、字幕が出たりします。なので、一体感を生みやすいことが特徴です。

--インターネットやWi-Fiではなく、音を信号として使うという技術なのですね。

瀧川:ライブ会場は地下など通信環境が安定していない場所も少なくありませんし、また多くの観客が集まるとパケ詰まりや輻輳といった現象で思うように通信が出来ないケースも起きやすくなってしまいます。なので、一斉に光るなど大勢の人を巻き込んだ演出をする場合は、インターネットやサーバ通信に頼らず、その空間だけで共有できる通信を使う方が良いと思い、「Another Track」を開発しました。

--今まで、どのようなシーンで活用されているのでしょうか。

瀧川:例えば、5月19日に新宿駅前のユニカビジョンで行われた【ももいろクローバーZ スペシャル上映会】でも、当社の「Another Track」が採用されました。まず来場者の皆様に、「Another Track」をダウンロードしていただきます。そして、そのスマートフォンをユニカビジョンにかざすと、映像と同期した高音質サウンドを聴くことができるというものです。ワールドカップのパブリックビューイングもそうですが、後日自宅でも見れるコンテンツをわざわざ出かけていって多くの人と一緒に見るという体験は、昔、街頭テレビを皆で見た感覚に近いと思います。新宿のユニカビジョンは100平米くらいある大画面なので、とても迫力があり、定期的にこのようなイベントによって多くのファンで賑わっています。ただ、屋外なので音量に制限がありますし、JRの線路や靖国通りに面しているため、ライブ音源が鮮明に聞こえません。なので、スマートフォン側に高音質な音を格納し、ビジョンと同期させることで没入感のある体験を可能にしました。

--大画面で見るだけではなく、高音質で聞くことでより没入感を味わうことができるのですね。

瀧川:今、様々なARやVR体験を提供するサービスが生まれていますが、映像だけでなくリアルな音に関する研究も、より熱心になってきました。今、こうやってお話していますが、この会話だけではなく、後ろで降っている雨の音や、右側から聞こえる足音などを感じられると、一層リアリティを増すことができます。また、「Another Track」の他のメリットとしては、限定した範囲でしか信号を送ることができないので、1つの空間に人を集めることができることが可能となります。

--他には、どのようなシーンで活用されているのでしょうか。

瀧川:2018年2月から劇団四季で多言語に対応した字幕を出すサービスを始めました。これは、スマートフォンではなく、「字幕グラス」を使うのですが、メガネをかけてステージを見ると、メガネに字幕が表示されるというものです。劇団四季のミュージカルは、基本的には同じセリフ、同じ演出で上演されますが、いくらリハーサルやステージを重ねたとしても、セリフや動きのスピードには若干のズレが生まれます。1秒でも字幕が遅れると動きとズレてしまいますし、最終的に5秒ズレてしまうと、内容に大きな影響が出てしまいます。ですが、この「字幕グラス」であれば、BGMに組み込んだ信号を取得し、定期的に字幕のズレを修正してくれます。今、ダイバーシティやアクセシビリティの取り組みが推進されていますが、これを使うことで外国人の方や障がい者の方と一緒に座って同じコンテンツを楽しむことができます。

--この字幕は、英語、中国語、韓国語にも対応されていますが、スタッフが手動で字幕を操作するとなると、多くの人件費がかかります。そういった課題も解消されますね。

瀧川:そうですね。ただ、もともとこのサービスは訪日外国人向けをメインに企画されたのですが、実際スタートすると、障がい者の方の反響がとても多いことが分かりました。例えば、聴覚障害のあるお母さんと娘さんがいた場合、2人で食事に出かけることはあっても、2人でミュージカルを見るという体験は今までなかったのではと思います。ですが、この「字幕グラス」を使って一緒に見ることができれば、ミュージカルを見た感動をリアルタイムに共有することができますし、ミュージカルを見た翌日も、1か月後も「劇団四季のライオンキングの、あのシーンが良かったよね」と、思い出を共有することができます。一緒に楽しむことができるというのは、ミュージカルのみならず、映画でも音楽でもスポーツでも非常に重要なことです。当社の技術を使うことで、障害のあるご本人のみならず、その家族やお友達も含めてエンタテインメント体験をサポートすることが可能になりました。

--次に、博報堂としてご提供いただく「コンテンツファン消費行動調査」ですが、「コンテンツビジネスラボ」が毎年発表しているデータです。「コンテンツビジネスラボ」とは、どのような目的で立ち上がったプロジェクトなのですか。

木下 陽介(博報堂 研究開発局グループマネージャー):コンテンツビジネスラボは、博報堂と博報堂DYメディアパートナーズによって、2012年に発足しました。クライアントや、メディア、コンテンツホルダーのビジネス支援を目的としており、ドラマ、アニメ、ゲーム、スポーツ、美術展など様々なエンタテインメントの調査や応用研究をしています。「コンテンツファン消費行動調査」は、そんな活動のうちの1つですね。音楽やアニメなど、1つのジャンルに特化したユーザー調査は各社より発表されていますが、皆さん自分自身の1日を振り返ってみても、音楽を聴いたあとにスポーツ番組を見るなど、様々なジャンルを毎日体験していますよね。なので24時間×365日を、どんなエンタテインメントに時間やお金を消費しているのかということを年に1回発表しているのが「コンテンツファン消費行動調査」です。僕は音楽とスポーツ担当ですが、映画だったりドラマだったりと、それぞれのジャンルに特化したスタッフが集まっています。

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