博報堂生活総研アセアン生活者フォーラム2021レポート
ー「アセアンZ世代」の実態を解き明かす ー
博報堂生活総合研究所アセアン(以下、生活総研アセアン」)は、アセアン生活者の「半歩先の未来」を洞察し、マーケティングへの提言を行う「HILL ASEAN SEI-KATSU-SHA FORUM 2021『Now you Z me -アセアンZ世代の実態を解き明かす-』」を4月8日(木)にオンライン形式にて開催しました。
アセアン各国および日本、インド、中国などから、企業のマーケティング担当者や経営層、メディア関係者、博報堂グループ関係者などが1300人以上、視聴参加しました。
本レポートでは、フォーラムで発表した調査結果の概要をご紹介します。

「Z世代」と聞くと、アセアンにおいても多くの人は 「SNSに夢中でスマホ中毒、自分勝手」といったステレオタイプを抱きがちです。生活総研アセアンは、1年に及ぶ研究を通して新興市場の担い手である「アセアンZ世代」が受けている誤解を解き、彼らの真の姿を明らかにしました。
ここでは研究発表のサマリーをお届けいたします。
はじめに:アセアンZ世代への誤解
「アセアンZ世代」は、1997年~2012年に生まれ、2021年には9歳~24歳になっている世代を指します。現在のASEAN人口の約24%を占めます。「最近の若い者は~」という批判はいつの時代にもありますが、「アセアンZ世代」も上の世代(1965年-1980年生まれのX世代、1981年-1996年生まれのミレニアル/Y世代など)から「常に自分のことを第一に考え、他人に無関心。個人主義で、ソーシャルメディアに依存している世代」として捉えられています。

まず最初に、世間一般のZ世代に対する「3つの誤解」について、解説しました。
誤解1.人間関係の価値観
一つ目の誤解は、「Z世代は常に自分を第一に考えており、他者には無関心である」と思われていることで、事実と大きく異なっています。
定量調査を重ねていくと、彼らにとって「家族」や「親しい友人」とのリレーションは、非常に重要だということがデータとなって見えてきます。彼らの多くはX世代の両親に自由度高く育てられ、カジュアルでフレンドリーな親子関係を楽しんでいます。
その一方で、「自分の意見を持つことが大切」という価値観を植え付けられており、ネットやSNSから得られる情報を鵜呑みにせずに、自身の考えや意見をはっきり伝えられる人が多く、自分を取り囲む人々や、社会情勢に無関心という面は見えてきません。
最も驚くべき真実は、多くのZ世代が、自分達を幸せにするものは「自分、家族、コミュニティ」それぞれを尊重した「調和」である、と答えていることです。自分らしさを大切にしながら、周囲との調和のバランスをとる。「周りの人から受け入れられ、調和しながら生きる」ことが大事だと考えていたことがわかりました。
誤解2: .人生観
2つ目の誤解は、「Z世代は自分の幸せが第一で、誰かを幸せにしたいという気持ちが希薄」です。
Z世代に「理想の人生」を円グラフで表現してもらうと、「幸せ」「心の平穏」「健康的なライフスタイル」など、自身の内面や身体の安定やバランスを重視するという傾向を示しました。
また、「家族も自分も、バランスよく幸せにしたい。」「自分が幸せな状態でないと、他人を幸せにすることはできない」と考えている人が大多数であることがわかりました。
Z世代にとって「幸せ」であることが成功であり、それは、周囲の人々の幸せが大きく関与している結果となりました。
誤解3:メディアとソーシャルネットワーク
3つ目の誤解は、「Z世代は、ソーシャルメディアに過度に依存している」という固定観念です。
Z世代は様々なSNSを目的別で利用しています。
たとえば、Facebookはニュースや最新情報をアップデートするため、Instagramは自分の活動を記したバーチャル日記、Twitterはリアルタイムで情報を共有するため、そしてTikTokはエンターテインメントとコンテンツ作成のため、といったように実に巧み使い分けています。
さらに、彼らは嗜好や目的に合わせて自分のキャラクターの「切り分け」も行っています。切り分けといっても自分を偽るのではなく、どのSNSでも嘘や加工がない「リアルな自分」を演出するということもやってのけています。
これらの点からも、Z世代は、決して過度のSNS依存症ではないことがわかります。
ネットに精通したZ世代は、経済や政治への不安、格差、人権問題、コロナなどへの関心も高く、SNSを駆使して仲間たちと社会問題の解決にも貢献したいという強い思いがあることがあることもわかっています。

次に、Z世代の消費行動の特徴について説明しました。
消費行動とブランドのとのかかわり
Z世代のモノの所有欲求は総じて高いのですが、同時に「合理的で冷静な買い物客」であり、機能性を重視した買い物行動をします。口コミを確認し「買うべき商品か」を理性的に判断しています。
また、ブランドが社会や自分にどのような価値を提供しているのか真剣にチェックします。周囲の課題解決に尽力しているブランドは応援し、通常より10%程度高くても金額を支払う意思を持っている人が多数派でした。
一方で、周囲との協調を大切にする性格上、周囲の人たちと対立を生むほどの厳しいこだわりやブランド選定といったものは避けているのが特徴です。

アセアンZ世代の特性:"SynergiZer"
生活総研アセアンはこのようなアセアンZ世代を、調和の中に相乗効果(シナジー)を創る世代『The SynergiZers(シナジャイザーズ)』と名付けました。
アセアンZ世代は上の世代が作り上げた社会の現状や積み残した課題を認識していて、それに打ち勝ち、新たな未来を自分たちの世代で創るためには社会全体が調和していくことが不可欠だと考えています。
そのためにはまず自分自身にまつわる様々な物事のバランスを取り、それから家族や社会を思いやって満たすことを重視します。
自分も他者も同等に大切にして、許容する。アセアンZ世代は新しい生き方で、互いに手と手を取り合い協調し、よりよい社会を創り出そうとしています。
アセアンZ世代とSynergiZeするために、求められる企業の取り組み
最後に、企業はどのようにZ世代と関わりを持っていけばよいのか、そのヒントになるポイントをご紹介しました。
■「EmbraZive(包容力のある)マーケティング」の実践
Z世代は、みんなの幸せを考え、みんなで格差、人権問題、コロナ禍などの問題を解決することに重きを置いています。どんな人にも優しい、誰一人として見捨てない、企業として”包容力のある”訴求やアクション“について考えてみることが大切です。彼らが大切にしている「EmbraZive(包容力のある)マーケティング」を具現化することを考えてみてください。
■SNSごとに適切な情報発信方法を行う
SNS上でZ世代とコミュニケーションする際、ルールや目的に合わせて各SNS上でキャラクターを使い分ける彼らと同じように、企業側も各SNSに合った異なるトーン&マナーやキャラクターで個性を見せ、情報発信を行うとよいでしょう。
■Z世代とのチームづくり
Z世代は、「企業は社会的責任を負うべき」と一方的に企業側に社会課題解決を押し付けることはありません。むしろ、自分たちの力で様々なソリューションを生み出そうともしています。
企業も、彼らの行動力と自己表現力を明るい未来創造に活かすべく、共同チームを作り、支援し、共に課題解決に取り組むことがとても有効です。この企業姿勢と行動が、将来Z世代が大人になった後も強い絆を得ることができると思います。
一方で、「実利を優先」する『冷静な買い物客』でもあるZ世代なので、彼らの心を掴むためには「誠実でシンプルなコミュニケーション」が評価されます。

博報堂生活総合研究所アセアンは今後も、アセアン生活者の調査研究やマーケティングソリューションのご提供を通じて、アセアンでビジネスを展開するクライアントやメディアの皆様にお役立て頂ける活動を続けてまいります。
今回は研究発表のサマリーをご紹介しましたが、詳細については、HILL ASEAN のウェブサイトをご覧ください。レポートのダウンロード、オンラインフォーラムの動画をご覧いただけます。