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ADFEST2021 Network of the Year受賞の意味
(連載:「Creatives of the Hakuhodo Network 」Vol.1)

2021.05.10
#クリエイティブ#グローバル
ADFEST2021にて、博報堂は最もクリエイティビティの高い広告会社ネットワークに贈られる、Network of the Yearを初めて受賞しました。この受賞を機に、海外広告祭をはじめ、顕著な活躍をしたクリエイター達を紹介する新連載「 Creatives of the Hakuhodo Network」をスタートいたします。
初回は、Hakuhodo International チーフクリエイティブオフィサーの木村健太郎より、Network of the Yearという賞の価値、受賞することの意味について、話をききました。
ADFEST 2019 授賞式にて

―博報堂のNetwork of the Yearの一報を知った時、どのような気持ちでしたか?

何年もかけて目指していた賞だったので、信じられないほど嬉しかったです。オンライン授賞式で”Hakuhodo”と読み上げられてるのをPC画面で確認しながら、気分が上がっていくのを感じました。ADFESTでこの賞は、授賞式の一番最後に発表される特別な賞で、通常であれば、ネットワーク全員でステージに上がってトロフィーを授与するものなんですよ。だからこの喜びを皆で共有し、壇上でハグできたら、どんなに嬉しかっただろうとも思いました。

―そもそもADFESTのNetwork of the Yearとはどういった賞なのでしょうか。あらためて教えていただけますか?

ADFEST(アジア太平洋広告祭)はアジア太平洋地区(オーストラリア、ニュージーランド、中東、インド含む)で最も権威のある広告賞の一つです。その中のNetwork of the Yearという賞は、ファイナリストからメダリストの作品を点数化して足し上げ、最高得点を得たネットワークに贈られるもので、その広告会社が、単体ではなくネットワークとして高いクリエイティビティを発揮し、機能していることのエビデンスと言えるでしょう。
博報堂の東京本社と関西支社や国内のグループ関連会社(博報堂ケトル、SIX、博報堂デザイン、ハッピーアワーズ、サイニング)の他に、バンコク、台北、ジャカルタの海外グループ会社の合計11拠点の貢献がベースとなり、ネットワークのクリエイティビティを結集した結果でした。我々が目指している「世界で戦えるエージェンシーネットワークになる」取り組みの確実な成果のひとつと感じています。

―博報堂は今まで、どのようにADFESTに関わり、活動をしてきたのですか?

2011年3月のADFESTから、博報堂が毎年セミナーを行うようになりましたので、その頃からが本格的な取り組みのスタートということになります。最初のセミナーは、”People Experts”というタイトルで、生活者発想と生活者発想をベースとした博報堂らしいクリエイティビティについて語りました。
東日本大震災が日本を襲った直後で、日本から参加すること自体危ぶまれる声もありましたが、個人的には、こんな時こそ日常生活をストップしてはいけないと思って、迷わず渡航したのを覚えています。この時のセミナーがきっかけとなって評判を呼び、その年の9月にスパイクスアジアで、そして2013年からはカンヌライオンズでも博報堂セミナーを開催できるようになりました。

同じ頃から、社内で本格的にグローバルレピュテーションプロジェクト(国際賞プロジェクト)に取り組んで来ました。ADFESTを含む、世界中の様々な広告賞に対して審査員を派遣したり、博報堂セミナーをプロデュースしたりと、海外でのHakuhodoをアピールすることに挑戦してきました。また、作品のエントリーも組織的・戦略的に行ってきました。どの仕事を出品すべきか、どのような文脈で出品すべきか等を過去の国際賞の審査員経験者たちと試行錯誤してきました。
試行錯誤を重ねていた2011年からちょうど10年目となる今年のADFESTで、Network of the Yearを受賞できたのはなんだか感慨深いものがあります。

―ここ数年、木村さんが海外のグループのクリエイティビティ強化のためにやってきたことを教えて下さい。

僕が1人で取り組んできたわけではありませんが、Hakuhodo International Unitとして取り組んできたのは、ネットワーク(本社toネットワーク間、ネットワークtoネットワーク間)の結びつきの強化です。
ここ数年M&Aや提携で様々なケイパビリティを持った仲間が博報堂グループにジョインしてくれました。そういった仲間たちが、会社の壁を超えて、国の壁を超えて、クリエイティビティを刺激しあえる仕組みをいくつも作ってきました。
はじめはリアルで、コロナ禍ではオンラインで、作品やナレッジをシェアして議論したり、時には競い合ったり嫉妬しあったりすることが、クリエイティビティの強化につながってきたのだと考えています。

―今回の受賞に最も貢献してくれたのは、最高峰のグランデに輝いたタイのクリエイティブブティック、Wolfバンコクですね。

Wolfは、Managing DirectorのPrayerとCCOのTueyが中心となって立ち上げたバンコクのクリエイティブブティックで、3年前の設立以来、急成長しています。毎年、人間のおかしみを楽しく切り取る作品を生み出してくれますが、今回は、「Shop Unfriend」のTVCFで一躍、有名になりました。タイでコロナや政治問題等の暗いニュースが後を絶たない中、ちょっと笑えるエンターテイメント性もある作品となりました。
グランデ受賞を知り、TueyがWolf設立直前にプライベートで東京に来ていた時、一緒に赤坂の鉄板焼き屋に行ったことを思い出しました。当時、僕が共同CEOをしていた博報堂ケトルの作品や経営体制、ポリシーなどに興味を示し、実に沢山の質問を受けました。一緒に博報堂ケトルの立ち上げに尽力してくれた永井健と共に色々と語り合いました。後に、バンコクのWolfオフィスにも立ち寄ったことがありますが、一体感があってクリエイティブのエネルギーに満ちあふれた楽しい雰囲気を醸し出しており、とても博報堂ケトルのオフィスに似ている感じがして、僕らはWolfのことを勝手に「アセアンのケトル」と呼んでいます(笑)。僕たちは彼に対してメンターとして少しは機能したかなと、Wolfの成長を嬉しく思っています。

左から、永井健、木村健太郎、Tuey

タイからは、TueyたちがWolfを立ち上げる前に所属していたSPA博報堂も受賞しています。僕はSPA博報堂のチームと一時プロジェクトで一緒に仕事をしたことや、広告祭で一緒にセミナーをしたこともありますが、タイのローカルクライアントに強い、クリエイティブに定評のあるエージェンシーで、2018年には東京のSIXとコラボレーションした仕事でカンヌライオンズのゴールドを受賞したこともあるんです。

―台湾のGrowww Group、博報堂インドネシアも受賞しましたね。

昨年博報堂のネットワークに加わってもらって、初めてのADFESTだった台湾のGrowww Groupからはその傘下の2社がゴールドを始め多くの賞を受賞しています。51年の歴史を持つローカルのトップエージェンシーであるUCG(United Communications Group)と、設立19年のデジタルエージェンシーのMedialandです。Growww Groupと、もともとあった台湾博報堂グループを合わせ、博報堂は台湾で最大規模のエージェンシーグループになることができました。
今後は両社のクリエイティビティがどんな化学反応を起こしていくか楽しみです。

博報堂インドネシアは、ADFESTでは常連です。今回は、アウトドア部門、ブランド・エクスぺリエンス部門、ニューディレクター部門と多様な部門で受賞しています。博報堂インドネシア会長のイルファン・ラムリは長年、拠点のクリエイティブ力向上と、ADFESTへのエントリーに積極的に取り組んできました。博報堂グループへの貢献は言うまでもありませんが、インドネシア広告業界全体の底上げに尽力してきた人なので、今回のNetwork of the Yearを誰よりも喜んでいくれている一人に違いありません。

―CCOとしてこれからの抱負は?

数年前までの博報堂は、「海外に展開しているジャパニーズエージェンシー」だったと思っています。しかしこの数年で規模的にも質的にも力をつけて、徐々に「クリエイティビティで課題解決をする日本発のグローバルネットワーク」に成長してきたと考えています。

コロナ禍で世界中の社会や産業が大きく変容していく中で、クライアントが求める「別解」を提供することがますます必要とされているのを感じますし、それには、生活者発想をベースとしたクリエイティビティの力が必要になります。「それが博報堂のネットワークをより強く結びつけていくと思っています。まだまだやらなければならないこともやりたいこともたくさんありますが、今回の受賞をまた5年後10年後に振り返った時に「2021年のADFESTが博報堂のグローバルクリエイィブパワー飛躍のきっかけでした」という風になるといいと思っています。

木村 健太郎(きむら けんたろう)
株式会社博報堂 執行役員

1992年に博報堂入社後、ストラテジーからクリエイティブ、デジタル、PRまで職種領域を越境したスタイルを確立し、2006年、従来の広告手法やプロセスにとらわれない「手口ニュートラル」をコンセプトに博報堂ケトルを設立。
NYフェス グランプリ、カンヌライオンズ 銀、D&ADイエローペンシル、ワンショウ 金、スパイクスアジア グランプリ、アドフェスト グランプリなど多数の受賞歴を持ち、国際広告賞の審査経験(審査員長含む)は25回を超える。海外講演の依頼も多く、2013年から5回に渡りカンヌライオンズ公式スピーカーを務めた。
現在は、Hakuhodo International チーフクリエイティブオフィサーとクリエイティブコンサルティング局長、博報堂ケトルの取締役も兼務する。

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