THE CENTRAL DOT

人生100年時代の
キャリジョのサステナブルライフ
第5回 仕事編

2020.08.12
#キャリジョ研
こんにちは、博報堂キャリジョ研です。私たちは、働く女性(キャリアを持つ女性)=「キャリジョ」たちの意識や行動を研究しています。
このコラムでは、人生100年時代と言われる中、キャリジョたちは「ムリせず持続可能であることを選択する生き方・暮らし方」=「サステナブルライフ」志向が高まっているのでは?という大きな潮流について、さまざまな切り口でご紹介しています。
第5回目の最後は、働く女性にとって大事な要素「仕事」について。どんな意識や実態があるのでしょうか?

仕事でのサステナビリティ=キャリアの柔軟な選択

まず、仕事におけるサステナブル志向とは何でしょうか?「同じ会社でずっと長く働き続けること」でしょうか?
この10年の間にも震災や新型コロナウイルスといった、不測の事態での社会や経済の急変を体験し、「一つのことを続ける」ことの難しさとリスクも感じている女性たちは多いです。以前に就活や卒業のタイミングに東日本大震災を経験した年齢の女性にインタビューをした時に、「明確に将来何になるために行動をする」というよりも、「将来がどう変わってもよいように何か準備をしておきたい」という意識や、「一つのコミュニティだけだと、そこが途切れた時になくなってしまうので、複数のコミュニティに属していたい」というリスクヘッジをすごく考えているということが印象に残りました。
元々女性は結婚、出産、パートナーの転勤、介護などのライフイベントの影響を受けやすく、自分の意志だけではないキャリアパスとなる「あみだくじキャリア」になりやすいので、そうした変化に対応“させられてきた”ところがあります。しかし、テクノロジーも発達し、新たな働き方のロールモデルも出始めている今、「自分で柔軟に選択できるように」意識や準備をしておくことが仕事におけるイマドキのサステナブルライフ志向であると考えます。

働き続ける意識は上昇中

20~30代の働く女性へ「あなたは、今後仕事をしていると思いますか」という質問をすると※1、一時的に辞めて働き続ける人も合わせた「働き続けると思う」人の割合は2014年の時点でも9割を超えていました。そして、2017年、2020年と同じ質問をしたところ、本当に少しずつですがその割合は増え、約100%と言ってしまってもよいくらいのスコアになっています。
働き方の詳細も見ていきますと「ずっと仕事をしていると思う」というのと「一時的に辞めて工夫しながら働く」という2つが伸びています。

コロナ禍で進む 場所の柔軟化

ここでの「工夫しながら働く」というのは、在宅勤務やフリーランスを含んだ選択肢となっています。副業やコワーキングスペースなど新しい働き方も少しずつ広がっていた中、特に緊急事態宣言中に在宅勤務が進んだ会社もあったことから、今後はそうした働き方もより選択しやすくなるかもしれません。

自分の力を磨き、活かす

さらに、コロナ禍で見られた2つの意識にも注目をしています。
一つは、学習意欲の増加です※2。せっかくの在宅時間を有効活用しようという動きもあり、転職やキャリアアップの機会として語学や資格の勉強をしようという意識が高まったという傾向があります。そして、面白いことに、実利的なものに限らず、「フランス語」や「韓国語」といった、趣味に近い教養も高まったようです。この辺りは、将来の役に立つことだけではなく、自分の興味やモチベーションも合わせて「ゆるく、ながく、ここちよく」できることを選択している、まさにサステナブル志向と言えると思います。

もう一つは、「自分の出来ることで役立ちたい」という他者や社会への貢献意識の高まりです。具体的には、手作りマスクの販売や自分の特技を活かしてオンラインでヨガやストレッチなどを教えたりするスキルマッチングを始めた女性たちの出現です。
こうした「自分の知識やスキルを人のために役立てて、自分だけでなくみんなで幸せに」という“シェアリング・ハピネス”というインサイトは、これまでもクラフト系アプリでの手芸品やアクセサリーの販売、「#プレ花嫁」コミュニティでのナレッジや小物のシェアなどでも以前から感じていました。しかし、今回は単なるボランティアではなく、ニーズを汲み取ったビジネスとしての広がりも見せつつあり、すでに持っているものを活かしてムリなく、充実感も得やすいため、サステナブル・ワークへとつながっていくのではないかと感じています。

トレンド分析から見つけた「キャリジョたちのサステナブルライフ志向」の紐解きは、メンタルヘルスや人間関係、ソーシャルイシューに至るまでさまざまなジャンルで見られ、まだまだ尽きませんが、いったん今回で終了します。
コロナ禍でこうした志向性は、変化したというよりは強化・加速化していると感じますので、もし機会が持てれば、また改めてご紹介できればと思います。

※1
博報堂キャリジョ研「働く女性の意識調査」
インターネット調査(7大都市エリア) 2014年3月、2017年2月、2020年3月実施
23-34歳の有職で子供のいない女性(パート・アルバイトは除き、個人年収が300万円以上)

※2
博報堂「新型コロナウイルスCOVID-19自主調査」
インターネット調査(全国) 2020年5月実施
20-79歳男女1200名対象のうち、有職女性で分析

松井 博代
キャリジョ研 リーダー
第三プラニング局

2008年博報堂入社。マーケティング担当として主に女性ターゲットの新商品開発、ブランディングに従事。2013年に社内プロジェクト「博報堂キャリジョ研」を立ち上げ、20~30代の働く女性(=キャリジョ)についての考察・発信を行っている。好きな食べ物は焼きそばとスイカ。

博報堂キャリジョ研に関する最新記事をSNSでご案内します。ぜひご登録ください。
→ 博報堂広報室 Facebook | Twitter

FACEBOOK
でシェア

X
でシェア

関連するニュース・記事