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戦略ブティックという新しいエージェンシーの形
「Paasons Advisory」特集#3 ビジネス実践編

2019.08.09
#チームビルディング

広告会社の新しいサービス提供のかたちの模索

広告会社は歴史的にメディアの仲介から始まり、メディアに掲載する広告制作、そして制作物をつくるうえでのマーケティングコミュニケーション戦略サポートへと事業領域を拡大させ、近年はデータ連携やマーケティングシステム領域にも及んでいます。さらに現在、クライアントの抱える課題はますます多様化しており、広告領域に留まらない企業活動全般にかかわる領域でのナレッジやアイデアの提供が求められるようになってきています。特に顕著であるのが、スタートアップ系、テック系、そして外資系企業とのビジネスです。
Passons Advisoryは、生活者発想をフィロソフィーとする博報堂ならではの「生活者のエキスパート」という専門性と、Cloud Platformを土台としたPlanning Platform Modelを掛け合わせ、クライアントからのあらゆる要望に一緒に向き合っていく、新しい形の「パートナー」を目指して活動しています。本記事では、これらのクライアントが抱える課題と、それに対するPaasonsの取り組みをご紹介します。

様々な「プランニング領域」に対応する柔軟なビジネスモデルの構築

様々なスタートアップ企業やテック系企業は、過去の蓄積がない中で事業を成長させるうえで有益なインプットを提供してくれるパートナーとなる存在を求めています。多様なカテゴリー、市場、ユーザーを取り扱ってきた知見のある広告会社は、このようなパートナーになれる素養があるはずです。広告会社においてこれまで、戦略部分は広告出稿に伴う「付帯サービス」としての側面が強かったですが、私たちはクライアントの方針策定のちょっとした話し相手から、中長期的な事業戦略まで幅広く担えるようなビジネスモデルを構築しました。

提案型から共創型へのビジネスプロセス転換

スタートアップ系、テック系企業は組織がコンパクトで意思決定が柔軟で速いという特質があり、生産ラインや在庫をもたないケースもあります。商品やサービスアップデートも逐次行われることも多くあり、決められたタイムラインでビジネスが進むとは限りません。新しいことを始める場合、それはスピードの勝負でもあります。フィードバックをもらって修正し、また提案するという”PDCA型”とも言えるプロセスでは、このスピード感についていくことができません。私たちはテクノロジーの力を借り、事業パートナーとして常にクライアントと並走しながら都度都度の判断を一緒に行っていく共創型プロセスへと、ビジネスプロセスを転換しました。

ビジュアルコミュニケーションを通じた創造的な議論

アイデアを提案したり調査レポートを提供する場合、伝える中身の正確性やクオリティもさることながら、それをどのように伝えるかという点もとても重要です。スタートアップ、テック系のクライアントは、直感的に短時間で理解することができるアウトプットを好む傾向があり、外資系クライアントではさらに文化や言語の壁も出てきます。そのため、より一層視覚的に構造を把握したり、感覚的に内容を理解することを促す工夫が期待されます。ビジュアルコミュニケーションはこうしたクライアントに対して有効で、まさに「百聞は一見にしかず」です。このような可視化アプローチを私たちは”Visibility”と呼び、資料の表現方法やデザインも含めて、インスパイアリングな資料をつかって創造的な議論ができるよう心掛けています。

Paasons Advisoryが設立された意義や、Planning Platform Modelを通じたサービスの有効性は、これまで広告会社が培ってきた専門性やクリエイティビティを強みとしながら、クライアントからの新しい要請に対応できるところにあります。ここからは、Paasons Advisoryが前述のような企業とどのように向き合い、Planning Platform Modelを通じてどのようなバリューを提供しているのかの実例をご紹介します。

スタートアップ系企業とのビジネス事例
~柔軟な報酬設計によりどの事業フェーズでも全方位的にサポート~

これまで広告会社の戦略プランナーが登場する場面は主に、大規模なプロダクト広告予算が確保された上で、そのコミュニケーション戦略を考えるフェーズからというケースが一般的でした。近年では、プロジェクトフィーによる商品・事業開発への参画というケースも増えてきてはいますが、やはり主流は広告ビジネス領域です。そのため、商品化できていないアイデア開発フェーズ・事業計画フェーズにいて、外部委託のための潤沢な予算がないことの多いスタートアップ系企業のサポートは、なかなか難しい実情がありました。

以前あった例として、あるスタートアップ企業からアプリの開発前段階での出資計画、いわゆる「シーズ」段階での事業計画書作成サポートの相談をされたことがありました。まだ広告コミュニケーションを考えるフェーズではないため、広告会社としては事業の入口段階でどのようにサポートするのかが難しい場面でもあります。その一方で、アプリの事業計画書の肝となる「いくら広告費を投下すれば、どのくらいのアプリダウンロードが見込めるか」という事業の出口に関わる獲得シミュレーションは、近年拡大している広告会社の豊富なアプリのMarketing ROIナレッジ、膨大なアクチュアルデータとその分析経験のある広告会社ならではの得意分野でもあります。

こうした要請に対応するべく、Paasons Advisoryはパートナーフィー型による柔軟なサービス提供の形を整備し、事業立ち上げからのサポートを可能にすることで、入り口から出口までをカバーできる体制を整えました。前述のスタートアップ企業の場合は、結果として精緻な事業計画をもとに自社のアプリサービスへの資金調達に成功し、現在はそのアプリの開発を進めています。これにとどまらず、生活者視点での製品コンセプト策定や、コミュニケーションプラン設計など、次のフェーズに向けての取り組みにも参画させてもらっており、次世代のプロダクトを形にする事業パートナーとして評価をいただいています。

テック系企業とのビジネス事例
~クライアントとのワンチーム・プランニングによりアイデアの質を向上~

これまで、広告会社とクライアントとの間でのプロジェクト進行の多くは、クライアントからのオリエンテーションがあり、それを受けて広告会社がプランニングとプレゼンテーションを行い、クライアントによる提案へのフィードバック、そしてそれを踏まえた再プランニング・再プレゼン、というサイクルによる進行が主流でした。双方のキャッチボール形式で進行するこのプロセスは、クライアントの意思決定と広告会社の企画時間がある程度確保できる場合には、これまで通り機能するプロセスですが、前述のような意思決定が柔軟で速いクライアントの場合には、商品やサービスの最新アップデート内容を提案に反映できなかったり、そもそもクライアント内で方針が変わって意図と異なる提案をしてしまうリスクを孕んでいます。

こうした状況に対しPaasons Advisory では、各プロジェクトをクライアントとの共創型プロセスで進行できるように心掛けています。下図は、実際に我々が担当している某テック系企業とのプロジェクト進行のイメージです。従来型のプロセスと大きく異なる点として、広告会社側だけで進めていたプランニング段階に、複数回のクライアントとのディスカッションが加わっています。このディスカッションで私たちは、調査データ等から策定した我々の仮説と、クライアントが保有するプロダクトのアクチュアルデータを照らし合わせ、コミュニケーションの方向性をリアリティをもって段階的に固めています。また、これらのディスカッションは、クラウド基盤を活用することで、時間や場所に縛られることなく実施することができています。

こういった取り組みにより、プロダクトのアップデートを反映しつつ、クライアントの高い納得感と実効性のある提案ができ、さらに広告会社単体ではなくクライアントの視点が加わることで、より広い視野と、より高い視座でプランニングを進めることができました。その結果、アイデア・提案の質を向上させることができ、最終的なアウトプットもクライアントの満足度が高いものとなりました。

外資企業とのビジネス事例
~市況・課題・アイデア、全て鮮やかに可視化するVisibilityメソッド~

緻密な市場分析、的確な課題設定、斬新なアイデア、いずれも提案側の広告会社と受け手であるクライアントが異なる認識を持ってしまうと、当然ながら意味をもちません。特に異なる言語や文化の人々が意思決定に関わる外資企業の場合にはこのリスクは致命的です。いかに直感的に、素早く、明快な共通認識を作ることができるかを我々Paasons Advisoryメンバーは日々悩み続けてきました。

以前、とある外資系企業の大きな意思決定を伴う提案の際にこの問題が浮き彫りになりました。提案は日本支社への提案でしたが、その後には本国への上申があるため資料は英語で、説明は日本語で。さらに様々な国から集まったメンバーが同席するため日本語の習熟度もまちまち。このようなメンバーに対して提案をしつつも、ファシリテーションを行って一つにまとめ、最終的に会議での意思決定をしなくてはならないという場面です。結果としては、マーケットを俯瞰したユーザーインサイトを的確に捉えられた素晴らしいコミュニケーション戦略であると評価をもらうことができましたが、何よりも評価されたのは、「同席した皆が、直感的に明確な共通認識が作れた」ということでした。言語化にとどまらず、市況・ビジネス課題・アイデアを可視化するメソッドである”Visibility”は、素早く感覚的に意味が理解できるだけでなく、実は視覚化することで隠れていた要素間の繋がりや関係性を見つけることができるなど、様々なメリットがあります。複雑化・高速化するこれからのマーケットで戦略を語るうえで、非常に有用な「武器」だと考えています。

ここまでご紹介したスタートアップ系、テック系、外資系企業とのビジネス事例は、それぞれ新たなプロダクトやサービスカテゴリーであるが故に課題へのアプローチに前例がないもの、関係各位のバックグラウンドが多様であるが故に合意結成が容易ではないもの、日々変化するマーケットに対応しなければならない環境変化のスピードなど、いずれも広告業界ではこれまで「特殊」と思われていたケースです。このような「特殊な要望」に、いかにして対応し、正面から向き合えるようにできるかを考えて生み出されたPaasons Advisory独自の取り組みは、従来の広告会社の様々な限界を乗り越えて可能性を拡張した「変革」だと考えています。

どんな課題でも柔軟に対応できるビジネスモデルへの変革

広告会社では対応しきれなかった様々な形の課題に答えられるよう、サービス提供の枠組みを再構成し、それに合わせて報酬を柔軟にカスタマイズできる形にすることで、いままでカバー仕切れなかった部分にも広告会社の戦略プランナーの知恵を活用できるビジネスモデルを構築しました。その結果、前述の事例で示されたような、今まで広告会社の戦略プランナーが積極的に関与しにくかった課題にも、期間と工数次第で報酬設計を決めて取り組める柔軟なビジネスモデルを実現しました。

Cloud Platformで物理的な限界を超える共創型問題解決への変革

与件を踏まえた提案という一方向のプロセスでは、物理的なやりとりによるタイムラグが発生するという限界がありました。Paasons Advisoryでは、クラウド・コンピューティング・テクノロジーを基盤システムにしたPlanning Platform Modelを構築し、クライアントとの物理的な壁を無くして、密なコミュニケーションを通じて心理的な壁も取り去ることを可能にしました。その結果、クライアントとディスカッションを重ね、問いに対する答えを一緒に導きながら、マーケットの変化にAgileに対応できる「共創型問題解決」を実現し、生産性を飛躍的に向上させることができました。

課題の構造化と鮮明な答えを提案するVisibilityへの変革

「言葉」はコミュニケーションの基盤であり、言葉の表現力という強みで様々なコミュニケーション課題を広告会社は解決してきました。しかしながら、日本語ならではのニュアンスによる認識齟齬が起きやすいという問題や、複雑な事象や課題を言葉だけでは構造的に把握しきれないといった「言語化の限界」も感じています。特に説明的な内容よりも直感的な理解を好むスタートアップ系、テック系のクライアントや、異なる言語や文化的バックグラウンドの関係者間での合意形成を求められる外資系クライアントなどをクライアントにもつ我々にとっては特に重要な問題です。「いかに直感的かつ瞬時に理解してもらえるか」をとことん工夫し、概念・構造・アイデアを「可視化する」独自のメソドロジー「Visibilitiy」を我々はもちいています。

国内企業でも増え続ける前例のない漠然とした悩み

こうした取り組みはこれまで、スタートアップ系、テック系、外資系企業など、商品、企業文化、ビジネススピードが特殊な、限られたクライアントからの要望に答えるためのものでした。しかし近年、日本の様々な産業を担う国内の大手企業からも前述のような相談が増えています。

例えば、とある国内のコンテンツプロバイダーから、ソーシャルメディアのデータを用いたシミュレーションモデルの開発を相談されたり、某自動車メーカーからは海外マーケットでのマーケティングマネジメントをゼロから考えたいと相談されたり、ある国内インフラ系企業からは新規ビジネス開発のアイデアについての相談をされるなど、これまでに前例のない依頼をいただいています。こうした依頼は、これまであまり広告会社に対して積極的になされるものではありませんでした。その一方で、その持ち込み先がコンサルティング会社なのか、システム会社なのか、調査会社なのか、判然としない内容でもあります。

漠然とした悩みと真剣に向き合う、真のパートナーへ

こうした例は、先が読めないビジネス環境のなかで、あらゆる企業が前例のない状況に対応しなくてはならなくなっていることのあらわれではないでしょうか。このような「誰に相談すれば良いのかわからない漠然とした悩み」は、この先も増えていくと考えられます。

Paasons Advisoryの役割は、まさにこのような「誰に相談したらいいのかわからない漠然とした悩みを解決してくれる相談相手」だと考えています。漠然とした悩みを可視化し、共に仮説を出し、的確に検証し、解決策を立て、素早く実行していく。それが広告ビジネスに限られる必要はありません。Passons Advisoryは、生活者発想をフィロソフィーとする博報堂ならではの「生活者のエキスパート」という専門性と、Cloud Platformを土台としたPlanning Platform Modelを掛け合わせ、クライアントからのあらゆる要望に一緒に向き合っていく、新しい形の「パートナー」をこれからも目指して行きます。

今現在ご自身の事業で漠然とした悩みを抱えている方、ぜひPaasons Advisoryまでお声掛けください!

青木 隆高
博報堂 ストラテジックプラニングディレクター

李 垣
博報堂 ストラテジックプラナー

豊田 昂
博報堂 リサーチャー

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