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ヒット習慣予報 vol.73『思い出リメイク』

2019.05.28
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの植月です。
5月も終盤に差し掛かり、初夏のような暑さが続いていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
私は、この暑さから気を紛らわせるために、ゴールデンウィークの楽しかった思い出に浸っている今日この頃です。

今回は、そんな思い出に関するテーマとして、「思い出リメイク」を取り上げます。
例えば、成人式で着用した着物など、日常において使うことはないけれど、大事な思い出として取っておきたいものはありますよね。そんな思い出の品を普段使いできるものへとリメイクする風潮が出てきています。

株式会社エム・データ(http://mdata.tv/)による『TVメタデータ』を用いて、最近TV番組で話題になっていることを調べたところ、「ランドセル」のリメイク事例が紹介されていました。
子どもが大きくなって出番のなくなったランドセルを、財布やパスケース、ショルダーバッグなど、日常使いできる小物へとリメイクするサービスです。実際に、「ランドセル」と関連して投稿されている内容を見てみると、「もったいない」「必要ない」「使わない」といったキーワードも出てきていることから、ランドセルにリメイク需要があることも分かります。

〈「ランドセル」と一緒に投稿されている内容とそのつながり〉

出典:TopicFinder

他にも、「制服」のリメイクが挙げられます。
青春の結晶ともいえる制服ですが、卒業すると一気に着る機会がなくなってしまいます。そんな制服をぬいぐるみの洋服としてよみがえらせ、部屋に飾ることのできるミニチュア制服へと転換するサービスが出てきているのです。中には、ミニチュアリメイク専門店もあり、校章のマークやポケットの位置など、元の制服をそのまま小さいサイズで再現してくれます。学生時代の思い出をインテリアとしてお部屋に飾ることができるのも素敵ですね。

また、「ウェディングドレス」のリメイク事例もあります。
結婚式で利用したウェディングドレスはそのまま他者へ譲ることもできますが、リメイクにより他の形で家族に譲るという方法もあるのです。例えば、娘のワンピースや息子のベストなど、素材が多くしっかりしていることから様々なものに変身するポテンシャルがあります。もちろん、カチューシャやポーチなど、ちょっとした小物にリメイクすることで、自身で利用することもできます。そうした日用品利用も魅力的ですが、形を変えて大事な人に受け継がれていくのも、思い出の継承のようでいいかもしれません。

では、なぜ「思い出リメイク」は増えつつあるのでしょうか?
理由は大きく2つあると考えられます。
1つ目は、断捨離ブームです。数年前から、断捨離や片付けに関する著書がたくさん出版され、ミニマリズムという考え方が提唱されるようになりました。そんな中、意外とかさばるが捨てることにはとまどってしまうのが思い出の品です。だからこそ、その葛藤を解決してくれるリメイクに、魅力を感じたのかもしれません。
2つ目は、使いまわしの風潮です。特にファッションにおいては、トレンドがサイクルのようにめぐると言われています。そのため、リバイバルがたびたび起きており、最近では、親が若い頃に着ていた洋服を子どもが喜んで使いまわしている姿も見られます。そうした使いまわしに対するハードルの低さも、リメイクにつながっていると思われます。

最後に、「思い出リメイク」のビジネスチャンスとしては下記のようなことが考えられるのではないでしょうか?

◎「思い出リメイク」のビジネスチャンスの例
■子どもの乳歯を、アクセサリーにリメイクするサービスを導入する。
■掃除代行会社が、オプションサービスで「ダンシャリメイク」を導入する。
■思い出の品リメイクに特化したDIY本を出版する。
など。

みなさまのお家にも眠っている思い出の品があれば、もう一度リメイクによってよみがえらせてみてはいかがでしょうか?

植月ひかる(うえつき・ひかる)
統合プラニング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2017年 博報堂に入社。
2年目のマーケターとして、社会の荒波に揉まれながら、社会に新たな潮流をつくることを夢見て奮闘中。まずはウェディングドレスという思い出の品を手に入れるべく、婚活を頑張りたいです。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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