ヒット習慣予報 vol.414『ゆる監視生活』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの上利です。
ぎょっとするタイトルを付けてしまいましたが、この記事を読んでいるみなさんは今、誰かの視界に入っていますか?それとも、部屋でひとり、誰からの視線も向けられていない状況でしょうか?
部屋でひとり、誰の視線もないときって、本当に自由ですよね。私も一人でいるときは、頭の中に流れてきた曲を急に歌いだしたり、顔に髪がかからないことだけを求めた変な髪型をしたり、夕飯の餃子に話しかけたりしてしまいます。
一方で、一人でいるとつい作業の手を止めてスマホをスクロールしてしまったり、お風呂の前に寝落ちして気づいたら深夜になっていたり、掃除や片付けを後回しにしてしまったり、ダラダラしてしまうのも事実です。
今回はそんな問題を解決すべく、ほどよく他人の目を活用して生活を整える「ゆる監視生活」を取り上げようと思います。
まず一つ目にご紹介するのは、リアルタイム型SNSを活用した「生活まるごと監視」です。
近年、一日一回や一時間に一回、通知が来たタイミングで写真や動画を撮影してシェアする「リアルタイム型SNS」が続々登場しています。その中でなんと、こうしたリアルタイム型SNSを使うことで、友達や家族に見せるためにちゃんと自炊をする、パジャマから着替える、といった生活を整える行動が自然とできるようになるという発見がSNS上で語られているのです。旅行やお出かけの様子を共有する用途が中心かと思いきや、これはもはや「生活改善アプリ」だと評する人もいるほどです。
実際に私も一つのアプリをインストールして週末を過ごしてみましたが、ひとり時間にもちゃんとしたご飯を食べよう、読書をしよう、といった意識が芽生え、いつもよりも少し充実した休日を過ごすことができたような気がしました。

次にご紹介するのは、“タイムラプス勉強法”とも呼ばれる「カメラで勉強を監視」です。
これは、勉強や作業をしている間に、その一部始終をタイムラプス撮影するという勉強法です。撮影したタイムラプス動画はSNS等に投稿する方もいますが、あえて誰にも見せなくても十分効果があると思いました。撮影状態にしておくことで、途中でスマホを触りたくなっても、「サボる様子が動画に残ってしまう」という心理が働き、我慢できるのかもしれません。
SNS上では、「誰かに見られている感じがして不思議と捗る」「長時間勉強し続けられた自分の動画を見ると満足する」といった実践者のコメントが見られました。

最後にご紹介するのは、フィットネス共有アプリを用いた「運動量の監視」です。
ランニングや筋トレの記録をシェアできるアプリを使って、ひとりではなかなか続かない運動の習慣化を目指す人が増えているようです。最近では、歩数の共有など、よりライトな運動を共有する人たちも出てきています。
私もランニング仲間たちと記録を共有するアプリを使っていますが、グループ内での月間走行距離のランキングが表示されるため、それがモチベーションになって走る量が自然と増えています。この事例では、他人の目が強制力になるというだけでなく、一緒に頑張っている連帯感が味わえるのも継続のポイントではないかと思います。

では、なぜこうした「ゆる監視生活」が広まりつつあるのでしょうか?
背景には、vlogコンテンツの普及による「時間の使い方の可視化」があるのではないかと考えました。芸能人やインフルエンサーのvlogを見て、「こんな風に生産性高く過ごしたい」「自分は時間を無駄にしているかも」と思ったことがある人は少なくないでしょう。「他人の時間の使い方」を目にすることで、生活者は「自分の時間の使い方」にも強く注意を向けるようになったのではないかと思います。vlog自体は登場してから時間が経っていますが、その注目度は今もなお伸び続けています。
<「vlog」の検索量推移(2015年から現在)>

しかし実際には、ショート動画はじめオンラインコンテンツの量は増大し続け、「上手に時間を使いたい」という意識とは裏腹に、むしろダラダラとスマホに時間を費やしてしまうことも増えています。そんな理想と現実のギャップを何とかしたいと思うも、自分ひとりの意志の力で解決するのは難しい。そんな悩みに対して、あえて「他人の目」を自分の生活に取り入れ、有効活用するという技が編み出されてきたのではないでしょうか。
最後に、「ゆる監視生活」のビジネスチャンスとして、下記のようなことを考えてみました。
『ゆる監視生活』のビジネスチャンス例
■ 1日1回部屋全体の写真が自動でスマホに送られる、片付け応援定点カメラ
■ 自分の食生活を家族や友達に丸見えにする、食事記録共有アプリ
■ お風呂に入る前のダラダラに終止符を打つ、入浴時刻共有アプリ
「自由」を使いこなすにもスキルが必要というところでしょうか。「他人の目を気にする」というとネガティブな印象がありますが、「他人の目を有効活用する」という手はなかなか面白いなと感じました。
皆さんの「ゆる監視」されたいことは何でしょうか?
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

上利 真悠子(あがり・まゆこ)
PR局
ヒット習慣メーカーズ メンバー
2022年 博報堂に入社。 趣味は演劇を観ることと、作ること。最近急な体力低下を感じ、タンパク質を沢山摂ろうと奮闘中。