ヒット習慣予報 vol.409『界隈アクティビティ』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの村山です。
毎年、気づいたら桜が散っていて、ああ今年も桜を楽しむことできなかったなあと葉桜を眺めた時に思うことが多かったのですが、今年は咲き誇る桜をちゃんと眺めることができました。めちゃくちゃキレイでした。突然ですが、個人的には、趣味の波みたいなものがあって、こっちの趣味に熱中している時はあっちの趣味はちょっと下火、あっちに飽きた時はこっちに熱中、というような、その時々で複数の趣味への熱があがったりさがったりする周期があるように感じることがあります。先ほどの桜がきっかけ!?かは、わかりませんが、最近下火だった植物熱が再び高まってきまして、改めて自分は植物界隈なのかも!?と思い立った次第です。さて、今回はそんな「界隈」に関する新習慣で「界隈アクティビティ」をご紹介します。
「界隈」の検索数推移

出典:Google トレンド
「界隈」という言葉はもちろん古くから存在する日本語ですが、2024年に一気に流通し話題なったことも記憶に新しいと思います。一つの流行や価値観をもつ社会ではなくSNSの台頭を背景に多様な価値観が同時に乱立する社会を表す言葉として流通していると思います。博報堂がSHIBUYA109エンタテイメントの『SHIBUYA109 lab.』と共同で発表したレポート「Future Evangelist Report vol.3 界隈消費」でも「自分は何かしらの「界隈」にいる人だと思う」と回答した人が多く見られました。(※)実際にSNSで「界隈」を検索してみると「謎解き界隈」や「起業家界隈」など趣味やステータスを表す言葉として使われていることが多く、ある価値観を有したコミュニティを指す言葉であることが見て取れます。
(※博報堂 『Future Evangelist Report』 Vol.3(2024.11.15)
「界隈消費 ー生活者発のコミュニティ起点で起きる、未来の消費とは?ー」共著:SHIBUYA109 lab.
https://files.hakuhodo.co.jp/files/user/2024/11/FutureEvangelist3-1.pdf )
さらにここ最近は、界隈という言葉が定着すると同時に、特に「界隈」をコミュニティというよりは「アクティビティ」、「行動」として捉える価値観も広まってきている傾向を感じます。代表的なものに、風呂キャンセル界隈があるかもしれませんが、この場合はまだ「風呂キャンする」といったように省略して動詞化することが多いと思います。
この言葉よりももっとストレートに、アクティビティ化している界隈が存在しています。例えば、「自然界隈」です。この言葉通りに受け取ると自然を趣味にしている僕のような植物好きも含まれるように思うのですが、SNSを見ていると「自然界隈してきた」のような気軽に楽しむアクティビティのように受け取られている様が見て取れます。もちろん嫌いであればやらないので、好きではあると思うのですが、なにか熱狂的なトライブに所属しているというコミュニティ性よりも、2年間の時間を経て、もっとライトな行動として捉えられはじめているように思われます。界隈が自分の所属している価値観を表す言葉というよりも、「新しくはじめる体験」を表す言葉としても使われ始めているということです。
他にも、最近また「伊能忠敬界隈」が話題になっていました。これも2024年から盛り上がっている界隈ですが、とにかく伊能忠敬のようにとにかく歩く“界隈”です。これも同様に「伊能忠敬界隈してきた」のような動詞としても使われているところが特徴だと思います。特にウォーキングアプリやこんな人が伊能忠敬界隈なの!?という意外性も含めて、定期的に話題になっていることも含め、「界隈アクティビティ」として排他的な趣味のコミュニティというよりはライトに楽しめるエンタメのようなアクティビティとしても認識されていることが面白いと思いました。
最後の事例は「石界隈」です。僕も子供の頃、記憶が定かではないのですが、温泉地などにいくとお土産者として天然石が売られていて、そのキラキラとした輝きや物語に登場しそうな不思議な色の透明な固形物に興奮したことを覚えています。そんな天然石が石界隈として人気になってきており、スピリチュアルな石の意味から宝石的な価値まで様々な文脈で発話されています。「石界隈」で面白いなと思ったアクティビティは2つあり、1つ目が石をAIやイラストで擬人化して楽しむ行動です。確かに石は動物や植物と違って生物ではないので、愛着や物語を感じにくいところもあるのかなと思うのですが、擬人化することでなにかその奥にあるストーリーを顕在化することができるような感覚になり面白い体験なのではないかと思いました。2つ目は天然石を販売するフェスのようなイベントが開催されていることです。それも駅前のような広場で開催されているのを地方都市に遊びに行った時に目撃し、さながらビールフェスのような佇まいについ足を踏み入れてしまいました。一部の人たちが限定的なコミュニティの中で楽しむのではなく、界隈外の人たちへも開かれたアクティビティとして解放されていることに面白さを覚えました。

なぜ、「界隈」はアクティビティ化しているのでしょうか。ひとつに新しい行動習慣へのハードルがAIやSNSはじめとした情報接触の簡便さによって下がっていることが挙げられると思います。昔であれば限定的なコミュニティであればあるほどそのコミュニティの情報を獲得するのに工数がかかったと思うのですが、テクノロジーがその壁を軽やかに超える環境を用意したことがあると思います。さらに、なにか手触りがある体験への欲求があるのではないでしょうか。普通の生活の中で誰もが手が届く体験よりも、界隈化するような濃くて手触りのある体験を追い求めようとする欲求が芽生えているようにも感じます。
それでは、「界隈アクティビティ」のビジネスチャンスについて、考えてみたいと思います。
【「界隈アクティビティ」のビジネスチャンス例】
■ 自分だけのリキュールのフレーバーを調合できる「お酒界隈してきた」
■ 服を自分らしくデコレーションする「リメイク界隈してきた」
■ 昼寝を自分らしいアロマやアイマスクで楽しむ「昼寝界隈してきた」
しばらく忙しさを理由に距離をおいていた植物たちとも今週末の天気がいい日に向き合ってみます!もういちど、塊根植物界隈してみようと思います。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

村山駿(むらやま・しゅん)
PR局 / ヒット習慣メーカーズ メンバー
車からお菓子に至るまで様々なクライアントの企画立案に携わる。痩せたいし健康になりたいので、生活を見直したいなと思っています。