【イベントレポート】
自分の「好き」を、社会を変える力に。Hasso Camp in 鶴岡 開催レポート
―博報堂DYホールディングス・慶應先端研が社会貢献活動を通じて育む、次世代の「発想力」―

参加した高校生たちや若手社員、登壇者との集合写真

3月19日、山形県鶴岡市の慶應義塾大学先端生命科学研究所(以下、先端研) 鶴岡メタボロームキャンパスにて、地元高校生に向けた探究学習プログラム「Hasso Camp in 鶴岡」が開催されました。
本プログラムは、博報堂DYホールディングスが社会貢献活動として中高生を対象に2024年から実施している探究学習プログラム「Hasso Camp」の一環です。普段は東京・赤坂の本社を拠点にこれまで40回ほど開催されていますが、2024年4月に慶應義塾大学先端生命科学研究所(以下、先端研)と包括連携協定を結んだことを契機に、先端研との共催という形で東北地方での初開催が実現しました。
この包括連携協定は、地域の社会課題をこれまでにない方法で解決していくソーシャルイノベーションの創出と、イノベーションをリードする人材育成を目的としています。締結以降、博報堂DYホールディングスは、人材育成プログラムへの参画や地域ベンチャーへの実習支援、さらにはグループ会社による地域連携プロジェクトの立ち上げなど、実業と連動した多面的な活動を展開してきました。今回の取り組みも、地域のエコシステムと深く連携しながら未来を切り拓く人材を育む共創活動の一環として位置づけられています。
当日は、地元3高校から1~3年生の約40人が参加。広告ビジネスで「アイデア」を武器にする博報堂DYグループと、「生命科学」で世の中の課題に挑む先端研という、アプローチは異なれど「未知なる問いに臨む」両者がタッグを組み、高校生たちへ新しい視点や発想力を育む機会を提供しました。

 先端研・荒川所長による講演

荒川所長

プログラムの前半では、先端研の荒川和晴所長による講演が行われました。

講演の中で荒川所長は、環境や食料、医療といった現代の社会課題の多くが生物学(バイオ)の問題になってきている、と指摘しました。現代の生物学は、DNAというデジタル情報をコンピューターで解析する「データ駆動型」へと進化しており、その最先端拠点である鶴岡は、小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰ったサンプルの解析にも貢献するなど、世界を牽引する研究を行っています。また、代謝物質分析を手がけるヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)や、唾液で早期の膵臓癌まで診断する「サリバテック」など、鶴岡発のベンチャー企業の挑戦を紹介。
「サイエンスは、端的に言うと未来を創る仕事といえる。未来を創る、ということは、それを思い描く発想力がまず必要」と強調し、「小さな目標より地球を救う、といったような大きなゴールを掲げる方が協力者は増え、物事は動く。未来を描く大胆な発想で今日を楽しんでほしい」と生徒たちへ力強いエールを送りました。

「心を動かす正体」を探るワークショップ

後半は、9つの班に分かれて「ミライの仕事を考えてみよう」をテーマにしたグループワークを実施。ワークショップのゴールは、それぞれの「自分の心を動かす正体」を集めて、
まだ見ぬ“ミライの仕事・サービス”のアイデアを考えることです。各班には博報堂DYグループの20~30代の若手社員がサポート役として入り、生徒たちの議論を伴走しました。

【Quest 1】自分の心を動かすものを「言語化」する

最初のステップでは、自分のワクワクや、ついやってしまう行動を棚卸します。ここで重要となるのが、単に「音楽が好き」といった名詞で終わらせず、「○○を●●すること」という主体的な行動の形で書き出すことです。生徒たちは自分らしさが詰まった「心の動く瞬間」を次々と付箋に書き出し、その中から、これからも自分の心をうごかし続けそうだと思うものを一つ選び、赤ペンで大きな丸をつけました。

【Quest 2】心を動かすものの奥底にある「正体」を突き止める

続くステップでは、選んだ行動の奥底にある「なぜ心が動くのか」という正体(原因・理由)を突き止めます。ここでは、表面に見えている行動の下に隠れた本質を探ります。
グループの仲間や社員サポーターから「それは友人に対してでも同じ?」「場所が違っても楽しい?」といった多角的な質問(深掘り)を受けることで、生徒たちは自分でも無意識だった「自分だけの情熱の源泉」を言葉にしていきました。

【Quest 3】アイデアの種を掛け合わせ、ミライの仕事を考える

最終段階では、一人ひとりが抽出した「好きの正体(アイデアの種)」を持ち寄り、まだ世の中にないミライの仕事やサービスを構想しました。
個人の「好き」を否定せず、リスペクトを持って他のメンバーの種と合体・膨らませていくことで、ユニークで温かみのあるアイデアがあちこちで生まれていきました。

高校生の自由な発想から生まれた、多彩なミライのアイデア

ワークショップの最後には、各チームからユニークな新サービスが次々と発表されました。発表されたアイデアの数々から浮かび上がってきたのは、「ありのままを肯定し合える安心な居場所」と、「日常を抜け出し、形に残るワクワクする体験」の両方を未来に求めている。
という共通のインサイトでした。

自分を全肯定してくれるアプリや、趣味の合う仲間と繋がる仮想空間といった「安心できる居場所」を求める想い。その一方で、VRによる深海体験や保護猫を助けるサバイバル旅といった「日常を越える体験」への憧れ。一見対照的にも見える「安心感」と「ワクワク」が共存していること。それこそが、彼らが構想した「ミライの仕事」の根底に流れる共通の想いであり、正解のない時代に新たなサービスを生み出すための、足がかりなのかもしれません。

「多様性」と「リスペクト」が未来を創る

すべての発表を受け、荒川所長は「ハッとさせられるアイデアが多く、非常にワクワクしました」とコメント。新しいことを考える上で大切な2つの要素として、異なるバックグラウンドを持つ仲間と協働する「ダイバーシティ(多様性)」と、他者や自分の意見を否定せず可能性を信じる「リスペクト(尊敬)」の重要性を語り、「未来は批判と悲観からは生まれない。ぜひ周囲をリスペクトし、自分自身を信頼して未来に向けて取り組んでください」とエールを送りました。

「次世代を担う力に」――企業と研究機関、高校生による共創の1日

これからの正解がわからない時代において、自分の「好き」を深く掘り下げ、仲間と視点を持ち寄って新しい価値を生み出した今回の「Hasso Camp」。企業と研究機関、そして地元の高校生たちが一体となって未来を描くこの取り組みは、参加した生徒たちにとって自らの手で未来を創り出すための大きな一歩となりました。

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