「循環型経済」でマーケティングが進化する。WELCOME TO REGENERATIVE WORLD「システムチェンジ」編 -循環型経済の収益化を、生活者起点で考える-を開催

博報堂SXプロフェッショナルズは、生活者価値デザインのプロフェッショナルとして、サステナブルな取り組みを生活者が実感できる価値に転換・再設計し、「経済的インパクト」と「社会的インパクト」の両方の実現を目指す全社プロジェクトです。 博報堂SXプロフェッショナルズが【「循環型経済」でマーケティングが進化する。WELCOME TO REGENERATIVE WORLD「システムチェンジ」編】と題したイベントを3月上旬に開催。企業や自治体、メディア、教育機関等の皆さんが参加し、互いに創発しながら循環型経済の収益化のヒントを探る試みに挑戦しました。その様子をレポートします。
■循環社会をつくるポイントは、生活者を消費者から「共創パートナー」へ変えること
セミナー冒頭に、博報堂SXプロフェッショナルズ共同代表の小田部巧が、「直線型経済から循環型経済へ変わるマーケティング」へとシステムチェンジを実現させるには、「直線型経済」が「循環型経済」へとつながり、コミュニティや実践が生まれていくことが必要だとし、「まさに今日のこの場が、ベストプラクティスが生まれる種まきの場になる」と語りました。

続いてハーチ株式会社代表取締役の加藤佑氏による、循環型経済をめぐる最新動向を紹介。

国内では環境省や経済産業省による戦略や法規制の整備が進められているほか、各自治体においても循環都市推進の動きが普及しつつあり、昨年は特に万博がサーキュラーエコノミー浸透の大きなきっかけになった一方で、循環型経済推進における課題としては、法整備の必要性やコスト負担、消費者への啓発、技術的なアップデートなどがあると指摘。これらの壁を乗り越えるカギとして、「生活者との共創」を挙げ、「冒頭に触れた“価値”をいかに生活者とともにつくっていけるかが、循環を回していくポイントになると思う」と語りました。

■企業と生活者とのタッチポイントや体験デザインを作ることがビジネスチャンスにつながる
続いて、博報堂SXプロフェッショナルズから小杉祐美子、吉村真由が「生活者との共創」についてさらに掘り下げていきます。サーキュラーエコノミーの企業メリットについてデータをもとに解説。短期的メリットと長期的メリットを整理し、「規制対応や環境対応にとどまらないさまざまなメリットが企業にはある」と述べました。

続いて吉村が、生活者参加型のサーキュラーエコノミーの構造を紐解きながら、「最近は生活者が生産者や販売者、資源を戻す循環の環に入る形へと変化してきている」と解説。

「修理や回収など、多岐にわたる企業と生活者のタッチポイントをいかにビジネスチャンスとしてとらえ、生活者にとってのいい体験にデザインするかが重要」とし、リペアの成功事例として、複数ブランドが連名で行った店頭修理イベントを挙げ、「生活者にとっては自己充足感や、特別感、大切なものを長く維持できる安心感、あるいは仲間やつながりが増えるという価値があり、ブランドにとっては売上拡大や評判形成などにつながっている」と吉村。
そして博報堂SXプロフェッショナルズとハーチ社が共同開中のフレームワークを紹介した上で、サーキュラーに熱心に取り組んでいるにも関わらずそれが生活者価値につながっていない企業にとって、「どの生活者メリットを入り口にして、どの企業メリットを最大化するかを考えること」が生活者と共創していくポイントであることを示しました。
■システムチェンジワークショップ『生活者視点で、サーキュラービジネスを生み出そう!
~循環の壁をシステムから見つめ直し、ビジネス機会に変える』
最後に、企業や自治体、メディアなど、さまざまな背景を持つ参加者たちと博報堂のメンバーがチームとなって取り組むワークショップを実施。進行を務めるのは、小田部と、持続可能なファッションを実現するための研究開発を行うスタートアップ、Synflux株式会社の代表取締役CEO、川崎和也氏。

博報堂が開発した「サステナブル買い物クラスター」とSynflux社の「サーキュラーデザイン戦略ワークショップ」を使い、循環のさまざまな障壁をどう乗り越えてビジネスに仕立てられるかの仮説を立て、循環型ビジネスモデルのヒントを見つけることを目指しました。

各チームのテーブル上には、情報やアイデアを書き込んだ多数の付箋紙が並び、チームごとに「サステナブルな買い物クラスター」を選択して事業のターゲットとして設定し、事業アイデアの仮説のための問いを設定し、事業価値や具体サービス、共創相手について話し合い、それぞれ発表を行いました。

約半日という短い時間でしたが、参加者が多様な視点を持ち寄り、具体的な生活者のクラスターをヒントに、どういった領域のどのような課題を、具体的なシステムでどう解決することができるのか、より明確なイメージを描くことができた貴重な時間となりました。

循環型経済は決して一社だけの取り組みでなし得ることではありません。博報堂SXプロフェッショナルズは、今後も共創のネットワーキングやソリューション開発支援などを通して、持続可能な社会を支える次世代ビジネスモデルの創造に貢献していきます。

小田部 巧
株式会社博報堂
博報堂SXプロフェッショナルズ共同代表
2004年博報堂入社。マーケティング局、エンゲージメントビジネスユニット、HAKUHODO THE DAY を経て、2016年より現職。国内クライアントを中心に、戦略からエグゼキューション、トータルなコミュニケーションデザインを行う。生活者をパートナーと捉えた、創発型プランニングを好む。また、自身もNPO運営をしており、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)業務を推進。 2025年4月より、SXプロフェッショナルズ共同代表。

加藤 佑
ハーチ株式会社
代表取締役
2015年にハーチ株式会社を創業。社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン「IDEAS FOR GOOD」創刊者。循環経済専門メディア「Circular Economy Hub」、横浜市における循環都市移行プラットフォーム「Circular Yokohama」などを運営するほか、企業・自治体・教育機関との連携によりサステナビリティ・循環経済推進に従事。2023年4月にB Corp認証を取得。ニッコー株式会社・社外取締役。大学院大学至善館 Circular Futures Design Center センター長・特命准教授。慶應大学SFC研究所員。東京大学教育学部卒。

小杉 祐美子
株式会社Hakuhodo DY ONE
コミュニケーションデザイン本部 コミュニケーションデザイン局
クリエイティブプロデューサー
制作プロダクションを経て、2011年に博報堂 ⅮYグループに参画。地域/文化/社会課題をテーマに、コミュニケーションのプランニングやメディア開発に携わる。現在は、博報堂グループの横断組織「博報堂SXプロフェッショナルズ」にて、サステナビリティを推進するプロジェクトを担当。楽しくポジティブに参加できるリジェネラティブな社会づくりを模索中。

吉村 真由
株式会社博報堂Gravity
ビジネスデザイン本部
SXプロデューサー
スタートアップでの事業開発を経て、博報堂Gravityに入社。現在はクライアントと伴走しながらビジネスとコミュニケーションの両面からプロジェクトを推進するとともに、ファッション×サステナビリティ領域のSX企画・開発を担当。博報堂グループ横断組織「博報堂SXプロフェッショナルズ」にて広くサステナビリティを推進するプロジェクトにも携わる。コミュニケーションを通じて、社会課題を「正しさ」ではなく「選びたくなる価値」に翻訳し、価値観が自然に更新されていく社会のあり方を探っている。

川崎 和也
Synflux株式会社
代表取締役 CEO
1991年生まれ。スペキュラティヴ・ファッションデザイナー。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科エクスデザインプログラム修士課程修了。専門は、デザインリサーチとファッションデザインの実践的研究。 主な受賞に、H&M財団グローバルチェンジアワード特別賞、文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品選出、Wired Creative Hack Awardなど。Forbes Japan 30 under 30 2019、WWD JAPAN NEXT LEADERS 2020選出。経済産業省「これからのファッションを考える研究会 ファッション未来研究会」委員。単著に『惑星のためのファッション』(ビー・エヌ・エヌ、2026)監修・編著書に『SPECULATIONS』(ビー・エヌ・エヌ、 2019)、共著に『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』(フィルムアート社、 2022)、共編著に『サステナブル・ファッション』(学芸出版社、 2022)がある。
Synflux
Synfluxは先端的なテクノロジーを駆使し、惑星のためのファッションをつくるスペキュラティヴ・デザインラボラトリー。「FASHION FOR THE PLANET / 惑星のためのファッション」をミッションに掲げ、2019年3月の創業以来、自社サービスの研究開発をはじめ、アパレル・ファッション企業との新商品開発や、大学・研究機関との共同研究など、多角的に事業を展開しています。
近年、ファッション産業では自然環境の持続可能性への関心が高まり、生産や設計の過程で環境負荷を低減する新たなテクノロジーやソリューションが強く求められています。
このような市場環境のもと、Synfluxは「ファッションデザインの力で、惑星と人類が生き生きする未来へ」というビジョンを掲げ、機械学習、3Dシミュレーション、アルゴリズミックデザインを駆使したデザインシステム「Algorithmic Couture(アルゴリズミック・クチュール)」を開発・事業化。衣服生産において避けられない素材廃棄を最小限に抑える仕組みを提供しています。
すでに多くのブランドで導入・商用化が進んでおり、H&M財団グローバルチェンジアワード、毎日ファッション大賞 新人賞・資生堂奨励賞、Kering Generation Award Japanファイナリストなど、国内外でその価値が高く評価されています。
2024年度には経済産業省の補助事業「みらいのファッション人材育成プログラム」に採択され、ゼロウェイストファッション事業におけるLCA評価導入調査事業に取り組みました。その成果として開発された「サーキュラーデザイン戦略ツールキット」は、ファッション産業が循環型モデルへと移行するために必要な環境配慮戦略の実装に有効なデザインツールです。本ツールキットを活用したワークショップは、企業内外の多様なステークホルダー間の協働を促進、取り組むべき課題の精査や役割と責任の明確化、効果的な連携体制の構築が可能となります。