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【博報堂生活総合研究所】みらい博2024「ひとりマグマ 『個』の時代の新・幸福論~」をリアル開催
―生活総研ウェブサイト内に特設サイトオープン

2024.03.06
#リサーチ#生活総研#生活者研究
博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)は、恒例の研究発表イベントとしてみらい博2024「ひとりマグマ ~『個』の時代の新・幸福論~」を1月25日(木)に東京・渋谷ヒカリエにて、また2月13日(火)に大阪・グランフロント大阪にて開催いたしました。
みらい博としては昨年に続きリアル会場での開催となり、企業のマーケティング担当者や経営層、メディア関係者など、両日合わせて約456名が参加しました。
本レポートでは、講演の概略をご紹介いたします。

※「ひとりマグマ」についての詳しい内容は、こちらの博報堂生活総合研究所の「みらい博」特設サイトからもご覧いただけます。
https://seikatsusoken.jp/miraihaku2024/

毎回、様々なテーマで日本の未来像を描き出す「みらい博」。
今回のテーマは、日本に溜まる「ひとり」を求めるエネルギー「ひとりマグマ」です。

はじめに

講演の冒頭では、石寺所長よりご挨拶と、今回のテーマ「ひとりマグマ」について導入となる話がありました。

□コロナ禍によって、「ひとり」でいることの良さやメリットに気づいた生活者の変化に着目
□今回取り上げる「ひとり」は、生活者の「ひとり」になりたいという意識や、「ひとり」でやりたいという行動について
□「ひとりでいる方が好き」な生活者は、30年前と比べて大幅に増加し過半数となり、日本は“総ひとり好き社会”ともいえるように
□日本は世界的にみても「ひとり」になれる施設が多く、サービスも進んでいる「ひとり先進国」でもある
□今回の講演では、“総ひとり好き社会”を生きる生活者の意識と行動を深堀りしていく

Part.1 “総ひとり好き社会”の背景

長期時系列データをもとに、誰もが「ひとり」好きになった日本社会の背景について、内濱上席研究員より説明しました。

□“総ひとり好き社会”となった背景
・背景① 技術・サービスの変化 → 個人行動と集団行動の併存が容易になった
・背景② 人間関係の変化 → 「ひとり」が介在する余地が生まれた
・背景③ 情報環境の変化 → 過剰な接続から解放されたいという気持ちが芽生えてきた
□「ひとり」好きになっていくことは、「いっしょ」嫌いになっていくことなのか?という新たな問い
・「ひとり意識・行動調査」の30年変化でみると、家族、会社、友人に対して「ひとり化」と同時に「いっしょ化」も進み、「ひとり」と「いっしょ」のそれぞれの良さを使い分け、自在に行き来できるようになってきている
・つまり、生活者は「ひとり」は好きだが、「いっしょ」も嫌いではないという意識を持つように
□「ひとり」の性質が、婚姻や就業状況による「属性」から、どんな属性の人でも使える「モード」に変化したことで、「総ひとり好き社会」の方向へ

Part.2 「ひとりマグマ」の発見

Part.1の最後で提示された問い「日本の『ひとり』は今後も広がっていくのか?」を受け、日本全体に開放しきれずに溜まっている「ひとり」を求めるネルギーとしての「ひとりマグマ」の発見と、「ひとり」行動をはばむハードルの存在について、松井上席研究員より説明しました。

□何らかのハードルを持ち、「ひとり」欲求を解放しきれない人は、調査をすると7割も存在
□日本全体に解放しきれずに溜まっている「ひとり」を求めるエネルギーを「ひとりマグマ」と命名
□調査やインタビューで集まった生活者の生声を元にまとめた、「ひとり」行動の解放をはばむ3つのハードルについて
・ハードル1: 「環境」が許さない
・ハードル2: 「対応力」に自信がない
・ハードル3: 「自意識」が邪魔する
□各ハードルに対して企業ができるアイデアの紹介
・「ひとり」の口実をつくる
・「ひとり」の段階をつくる
・「ひとり」の仲間をつくる

Part.3 「ひとりマグマ」が日本を熱くする

いちはやく「ひとり」行動を実践する“新・ひとり生活者”へのインタビューをもとに、「ひとりマグマ」を解放することによる生活者の変化と、その先の社会像について、伊藤上席研究員より説明しました。

□「ひとり」欲求を解放した10名の“新・ひとり生活者”のインタビューをご紹介
□「ひとりマグマ」を解放することで生まれる3つの生活者変化
□「ひとりマグマ」の解放によってもたらされる生活やビジネスへのインパクト

おわりに

最後に、再び石寺所長が登壇し、ここまでの発表を受けて、 “総ひとり好き社会”に求められる「ひとり」に対する発想転換について提言を行いました。

なお、今回の講演はリアルタイム・アンケートにより参加者に「ひとり」に対する意見をうかがい、「ひとりマグマ診断」を行うなど、インタラクティブなやりとりも交えて行われました。

講演終了後、来場者からは、

・「マイナスのイメージを持っていた“ひとり”を、客観的かつポジティブに捉えることができました」
・「“ひとり”に目を向けると、自社商品の考え方が変わることに気づきました」
・「個人行動と集団行動の併存が進むと、消費行動や情報接触も変わり、ビジネスにも活かしていけると思いました」
・「自分はずっと“ひとり好き”だったので、ようやく市民権が得られた感じで嬉しかった」
・「個が強くなることで、つながりも強くなるという考え方に共感しました」

などの声をお寄せいただきました。

博報堂生活総合研究所は今後も「ひとりマグマ」のさらなる探求をはじめ、生活者のきめ細やかな調査研究を通じて、よりよい未来を提言する活動を続けてまいります。どうぞご期待ください。

石寺 修三
博報堂生活総合研究所 所長

1989年博報堂入社。マーケティングプラナーとして得意先企業の市場調査や商品開発、コミュニケーションに関わる業務に従事。以後、ブランディングや新領域を開拓する異職種混成部門や、専門職の人事・人材開発を担当する本社系部門を経て、2015年より現職。著書:『生活者の平成30年史』(共著:日本経済新聞出版社・2019年)法政大学 非常勤講師。

内濱 大輔
博報堂生活総合研究所 グループマネージャー/上席研究員

2002年博報堂入社。マーケティングプラナーとして、多様な市場カテゴリーでのブランディング、商品開発、コミュニケーション設計に従事。2015年より現職。研究所のリサーチ全般のプロデュース、生活変化の研究業務などを担当。共著:『生活者の平成30年史~データでよむ価値観の変化~』(日本経済新聞出版社)

松井 博代
博報堂生活総合研究所 上席研究員

2008年博報堂入社。マーケティングプラナーとして、多様な市場カテゴリーでのパーパス設定、ブランディング、商品開発、コミュニケーション設計に従事。「働く女性」を研究対象とした「キャリジョ研」の立ち上げ、買物研究所でのショッパー・リテール研究や潜在意識調査の開発、行動デザイン研究所でのデジタル時代の新情報行動モデルの開発などにも携わり、2回の産休・育休を経て、2023年から現職。

伊藤 耕太
博報堂生活総合研究所 上席研究員

2002年博報堂入社。国内外の企業や自治体のマーケティング/ブランド戦略の立案や未来洞察、イノベーション推進の支援に携わりながら、企業向けの研修講師や中高生向けキャリア教育プログラム講師を担当。2021年より現職。ACCマーケティングエフェクティブネス部門メダリスト(2016年)。講師を務めた博報堂の中高生向けキャリア教育プログラム「H-CAMP」が2017年経済産業省キャリア教育アワードの最優秀賞・大賞を受賞。また論文『デジタリアンは縄文土器の夢を見る−生命情報からデータエスノグラフィーへ』で日本広告業協会懸賞論文2018年銀賞受賞。通算4度目の受賞で協会史上3人目となる。2019年から同審査員。

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