「ぼうさいこくたい2023」トークセッション実施レポート
どんなリスクも乗り越えもっと豊かになる100年を目指す
レジリエントライフという生活様式

博報堂も参画する「レジリエントライフプロジェクト」は、2023年9月17日(日)「ぼうさいこくたい2023」にて、『どんなリスクも乗り越えもっと豊かになる100年を目指すレジリエントライフという生活様式』というテーマでトークセッションを行いました。当日のセッション内容についてレポートいたします。

セッションでは、プロジェクトを紹介する動画を上映後、I-Resilience株式会社(以下I-レジリエンス)代表取締役社長 小林誠氏が登壇し、「この新しいライフスタイルを社会に定着させるために、産官学民連携が必要だ」と、10法人でスタートしたプロジェクトを、今後も連携法人を増やしながら育てていきたいと意気込みました。その後、参画法人の代表者によるプレゼンテーションが実施され、各法人の活動概要や今後への想いが紹介されました。最後に、I-レジリエンス顧問であり京都大学名誉教授である林 春男顧問は、「なぜ今レジリエントライフが必要なのか?」というテーマで、今後大規模な災害も予測されている日本においては、「自助」を高めるための市場サービスを充実させていく事が重要であると、プロジェクト推進の意義を語り、プレゼンテーションを締めくくりました。

■イベントハイライト

⑴ オープニング
オープニングに上映された動画では、レジリエントライフプロジェクトの目指す未来やその概要について紹介されました。「レジリエントライフプロジェクト」とは、自然災害のみならず身の回りの大小さまざまなリスクに起因する困難に適応・回復しながら成長する力「レジリエンス」を高めることで、より豊かな暮らしを実現するためのプロジェクトです。

⑵ レジリエントライフプロジェクト概要説明
登壇者:小林 誠(I-レジリエンス株式会社 代表取締役社長)

小林氏は、「レジリエンス」の解説と「レジリエントライフプロジェクト」の展望について説明をしました。「レジリエンス」とは、自然災害だけにとどまらず社会・個人に起因する、日常に存在するリスクが生み出す困難を乗り越えるチカラと説明し、適応・回復・成長・予防のプロセスが大切だと解説。「レジリエンス」を高め、より豊かな生活の実現を目指すライフスタイルを浸透させていく取り組みが「レジリエントライフプロジェクト」であると述べ、今後の活動に向けて、「レジリエントな企業や組織、人を増やしていき、ともに『レジリエントライフ』という新しいライフスタイルを社会で実現していきたい」とその意気込みを語りました。

⑶ レジリエントな社会の実現に向けて
登壇者: 田端 憲太郎(国立研究開発法人防災科学技術研究所 上席研究員)

田端氏は、レジリエントな社会の実現に向けた防災科研としての取り組みを紹介しました。自然が引き起こす災害(ハザード)は、受け止める社会の「防災力」によって規模が大きく変わると説明。「災害を知れば被害を抑えることができ、回復力でより早く復旧を図ることができる」と語り、防災科研として災害に関する情報知見を創出することでレジリエンスを高めていきたいと話しました。「オールハザード、オールフェーズのレジリエンスを、科学技術を結集させることによって高め、科学によって生きるを支えていきます」と今後の活動へ向け、意気込みを述べました。

⑷ 参画企業各社による参画への思いや考え
1. タイガー魔法瓶株式会社:『食卓に新たな常識を』
登壇者: 浅見 彰子(タイガー魔法瓶株式会社 取締役)

浅見氏は、タイガー魔法瓶がこのプロジェクトに参画した意義を説明後、レジリエントライフプロジェクトに関連した新製品『魔法のかまどごはん』を紹介しました。タイガー魔法瓶の創業は関東大震災と同じ100年前の1923年であるということや、実際の関東大震災の現場でも製品が無傷であったことなど、タイガー魔法瓶と関東大震災との関わりを説明。これからの100年を見据えて、災害時はもちろん、キャンプのような日常時でも簡単に炊きたてのごはんが楽しめる『魔法のかまどごはん』の開発に挑戦したと語りました。浅見氏は今後の活動に向け、「次の100年はレジリエンスで、災害に使えるだけでなく、日々楽しさを感じられたり、生活を向上していける商品を出していきたい」と述べました。

2.日本製紙クレシア株式会社:『紙でできるレジリエントライフ』
登壇者: 髙津 尚子(日本製紙クレシア株式会社 取締役 マーケティング総合企画本部長)

髙津氏は、日本製紙クレシアが提案したい「紙でできるレジリエントライフ」について語りました。新型コロナの感染拡大時でもティッシュペーパーなど紙の生活必需品の買い占めが起こったことを受け、衛生用品がいかに日常生活から非常時まで必要不可欠かを説明。一方使用するだけでなくその後の「災害ゴミ」対策にも取り組んでいくと話しました。今後へ向け、「日本製紙グループは『木とともに未来を拓く』会社。レジリエントライフプロジェクトを通して、サステナブルライフを意識し、さらに人にも地球にもウェルビーイングな社会を実現していきたい」と熱弁しました。

3.株式会社博報堂:『レジリエントライフの浸透・定着へ向けて』
登壇者: 井関 律 (株式会社博報堂 執行役員)

井関氏は、博報堂として「レジリエントライフ」を浸透・定着させるための考え方について語りました。まずは博報堂のフィロソフィー/DNAである「生活者発想」「パートナー主義」を紹介。自分ごと化できていない今の防災のあり方を一新するため、生活者に関心を持ってもらい、生活をポジティブにしていく情報発信やサービスの設計をしていくことが必要であると述べました。「社会実装を進めていくとともに、生活者の意識の中に自然と取り込んでいけるよう働きかけていきたい」と意気込みを語りました。

4.株式会社マイナビ:
登壇者: 西 達矢 (株式会社マイナビ 取締役 常務執行役員)

西氏は、マイナビの事業と災害における課題とのつながりを説明。レジリエントな社会づくりに向けて「マイナビのプラットフォームを迅速に使いやすく提供すること」、「自治体とボランティアの各ニーズをマッチングさせること」、「学生のキャリア教育を充実させること」を推し進めていくと述べました。また、実際に作成した学生向けの探究学習のテキストも紹介しながら、「まずは最初の一歩として、様々な可能性を考えながらレジリエントライフプロジェクトのメンバーとともに取り組んでいきたい」と今後の抱負を語りました。

5.株式会社三菱総合研究所:『レジリエンスのためのコレクティブインパクト』
登壇者: 関根 秀真 (株式会社三菱総合研究所 参与 レジリエンス担当本部長)

関根氏は、三菱総研が実施している防災に関する調査結果を紹介。防災への備えについて「積極層」、「ライト層」、「消極層」の3つのグループに分けたところ、自ら防災に備える「積極層」はわずか16%、「ライト層」は60%、「消極層」が24%という結果になった事を取り上げ、これからは、自ら取り組む自発性を高める「自助」が重要であると強調。「三菱総研も、シンクタンクとしての研究だけでなく、新しい生活様式の定着にも貢献したい」と、プロジェクト活動への抱負を語りました。

6.株式会社読売新聞東京本社:
登壇者:針原 陽子 (株式会社読売新聞東京本社 防災ニッポン編集長)

針原氏は、これまでの読売新聞の防災への取り組みと、今後の具体的な活動について説明しました。防災報道が数多くのニュースに埋もれてしまう事に危機感を感じていた読売新聞は、防災専門の情報サイト「防災ニッポン」を2020年9月に開設。これまで「スーパーエルニーニョ」や「南海トラフ」といった災害知識を提供する記事や、「100円ショップで買える防災グッズ」等のお役立ち情報を提供してきた事を紹介。また、ぼうさいこくたい2023の翌日9月18日(月)には、東京ドームにて「レジリエントライフデーsupported by 三菱自動車」を開催するなど、今後もレジリエントライフの啓発活動に注力していくと、意気込みを語りました。

⑸ なぜ今「レジリエントライフ」が必要なのか?
登壇者: 林 春男(I-レジリエンス株式会社 顧問 /京都大学 名誉教授)

最後は林氏が、「なぜ今レジリエントライフが必要か」というプロジェクトの背景を解説しました。林氏は、「近年は社会の備えが進んだ事で小規模な災害の経験者が少なくなっているため、生活者にとって災害はTVの中で見る遠い存在。それよりも身近な健康等の不安に関心が寄せられている一方で、自然災害が発生すると大きな被害が出ている」と説明。今後2035年前後には「南海トラフ」「首都直下地震」が起きてもおかしくない状況に、地球温暖化による極端気象や異常気象が重なってくる、と今後の災害の見通しを語り、日本では人口減少もあり、「公助」の質が下がる事を懸念。「自助」を高めるための、市場サービスを充実させていく事が重要であり、自身の役割は「日常的な健康問題から、生活者意識の遠くにある自然災害リスクまでを連続的なものに繋いでいく事。被害をゼロにする事はできないが、少しでも被害を減らす努力をしたい」と、プロジェクト推進の意義を語り、プレゼンテーションを締めくくりました。

■「ぼうさいこくたい2023」レジリエントライフプロジェクトトークセッション概要
開催日時: 2023年9月17日(日) 14:30~16:00
開催場所: 横浜国立大学 教育学部講義棟7号館 101講義室(※オンライン配信有り)
配信映像:https://www.youtube.com/watch?v=dCJXVahyO9A
登壇者(登壇順・敬称略):
小林 誠(I-レジリエンス株式会社 代表取締役社長)
田端 憲太郎(国立研究開発法人防災科学技術研究所 上席研究員)
浅見 彰子(タイガー魔法瓶株式会社 取締役)
髙津 尚子(日本製紙クレシア株式会社 取締役 マーケティング総合企画本部長)
井関 律 (株式会社博報堂 執行役員)
西 達矢 (株式会社マイナビ 取締役 常務執行役員)
関根 秀真 (株式会社三菱総合研究所 参与 レジリエンス担当本部長)
針原 陽子 (株式会社読売新聞東京本社 防災ニッポン編集長)
林 春男(I-レジリエンス株式会社 顧問 /京都大学 名誉教授)

■「レジリエントライフプロジェクト」とは
本プロジェクトは、⾃然災害をはじめ、社会、そして個⼈に起因するリスクまで、あらゆるリスクが⽣み出す困難を乗り越えるためのレジリエンス(適応⼒、回復⼒、教訓を得て成⻑・予防のサイクルに繋げる⼒)を⾼め、より豊かな⽣活の実現を⽬指す取り組みです。 I-レジリエンスが主体となり、企業と研究機関との共創型プロジェクトとして、今後、①各種メディアでの継続的な情報発信、②地⽅⾃治体や企業との共助型コミュニティの推進、③商品・サービスの開発と認証、④レジリエントライフに関わる研究開発などのアクションを実施していきます。

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