【LIA2022】
ロンドン・インターナショナル・アワード2022審査員の博報堂 木村健太郎と受賞者Wolf BKK Torsak Chuenpraparに聞く、今年の受賞傾向と受賞の秘訣。

2022 年 10 月 18 日、ロンドン発の権威ある広告賞のひとつ、ロンドン・インターナショナル・アワード(LIA)2022の受賞者が発表されました。日本からは、金賞1点、銀賞2点、銅賞6点の計9点が受賞し、博報堂グループからはTBWA\HAKUHODOが銀賞と銅賞、Wolf BKKが銅賞を受賞しました。

Non-Traditional部門の審査員を務めた博報堂執行役員、Hakuhodo International CCOの木村健太郎に審査を終えた感想と今年の受賞傾向について、TV/Cinema: Humor部門で銅賞を受賞したWolf BKKのCo-Founder & Chief Creative Officer、Torsak Chuenpraparに受賞の秘訣について聞きました。

木村 健太郎
博報堂執行役員、Hakuhodo International CCO

■審査を終えたご感想をお聞かせください。

木村
昨年は同じLIAのTV/シネマ/オンラインフィルム部門(フィルム部門)の審査委員長をやりましたが、フィルム部門が映像という制約の中で技を競い合う「伝統の頂点」を決める審査だとすると、今回審査したノントラディショナル部門はそれとは対極的に、フィルムとグラフィック以外の様々な手口が競い合う「革新の頂点」を選ぶ審査でした。
さらにいうと、フィルム部門では、議論がどんどん手法のディテールに向かっていってグランプリが決まっていくのに対し、ノントラディショナル部門では、社会に対する本質的な意味や業界の向かうべき方向を俯瞰する方向に議論が深まっていくのが対照的で、それは2014年に経験したカンヌライオライオンズのチタニウム部門審査以来の新鮮な感覚でした。
もうひとつ印象的だったのは、この2年半オンライン審査ばかりしてきましたが、今回は久々のリアル審査だったことです。現地なので3日間基本どっぷり審査に集中できたし、会議室以外でも色々な審査員と話ができるので議論の深さが違います。審査後の乾杯も格別でした。やっぱり対面のディスカッションに勝るものなしだと痛感しました。

■今年のLIAの受賞傾向についてお聞かせください。

木村
人類がこれだけ多くの深刻な社会課題に直面している時代だけに、「実効性のあるソーシャルアクティビティによって企業のパーパスを際立たせる仕事」が上位の受賞を占めました。ノントラディショナル部門のグランプリは、投票用紙不足を言い訳に選挙を延期しようとする政府に対し、紙の新聞を休刊にして用紙を提供したレバノンの新聞社のブランドアクティビズムでした。他にも、ディープフェイクを使った零細小売店サポート、歌を使ったBtoB広告、購入履歴データを使った女性支援、ドローンを使った戦火でのLGBTQ支援、食べられる切符を使った公共交通機関でのストレス解消施策、トラックをビルの隙間に縦置きするビールのアウトドア広告など、ゴールド受賞のラインナップを見るだけで、こんなにも多くの手口があるのだとまだまだ驚かされます。
そんな中、残念ながら日本からのエントリーや受賞は激減してしまいました。現地ではLIAのチェアパーソンを務めるテリー・サベージ氏(元カンヌライオンズ会長)と、先日は来日中のカンヌライオンズCEOのサイモン・クック氏ともその理由について議論しましたが、 僕はあまり悲観していません。個人的な印象として、アジアの国々は欧米の国々に比べてポストコロナに突入するのが半年から1年遅れているのを感じます。ですから今年アジアから受賞したことは特に貴重な意義があると思いますし、来年は、日本からもたくさん素晴らしい受賞作が生まれることを期待しています。

2022年度の受賞作品は、LIA公式サイト(英語)でご覧になれます。
https://www.liaentries.com/winners/

木村 健太郎
博報堂執行役員、Hakuhodo International CCO

大学時代に1年間休学して世界一周旅行した経験から、越境による固定観念の創造的破壊に目覚め、博報堂に入社。アカウントプランニングからクリエイティブに領域を広げ、2006年嶋浩一郎と博報堂ケトルを設立、手口ニュートラルなキャンペーンを量産する。2017年からグローバル領域の仕事を兼務するようになり、2021年クリエイティブ領域とグローバル領域を担当する執行役員に就任し、ケトルでの得意先ECD業務とのハイブリッドロールをこなしている。
2021年度は、One Showのデータ部門審査員、LIAのフィルム部門の審査委員長、アドフェストのブランデッドエンタテイメント部門とエフェクティブ部門の審査委員長を務めている。

Torsak Chuenprapar
Co-Founder & Chief Creative Officer
Wolf BKK

■LIAで受賞した今のお気持ちをお聞かせください。

Torsak
昨年は銀賞を4つ獲得しましたが、今年は銅賞を1つ獲得しただけなので、正直なところ少しがっかりしています。もちろん、何も受賞しないよりはいいのですが。今年の結果を受けて、来年はもっと頑張ろうという気持ちが非常に強くなりました。LIAは、Wolf BKKにとって最も重要なトロフィーのひとつです。

部門:TV/Cinema: Humor
受賞作品:Bollywood Badass
広告主:Calbee Tanawat Co., Ltd.
エージェンシー:Wolf BKK

<動画>はこちら

■LIAで受賞するための秘訣についてお聞かせください。

Torsak
LIAや他のアワードで受賞するための秘密のレシピはありません。受賞作品は、新しさが際立っていて、真に人間を理解している必要があります。それは、私たち博報堂グループのクリエイティブ・チームが常に心がけていることだと思います。あえてLIAでの秘訣を述べるとすると、エントリーするカテゴリーの選定ではないかと思います。作品に最適なカテゴリーを見つけることは、非常に重要なことだと感じています。

Torsak Chuenprapar
Co-Founder & Chief Creative Officer
Wolf BKK

2018年に"Brands that DO!"をフィロソフィーとしたWolf BKKを共同設立。Spikes Asia 2021のグランプリ、ADFEST 2021のGRANDE、42nd AWARD Awardsのゴールド2つに加え、New York Festivalsのシルバー2つ、LIAシルバー4つ、CLIOシルバー、 Ad Stars、 Gerety Awardなど、受賞多数。

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