Finance Insight News vol.4
~第四回のテーマは「サブスクサービス」。サブスク利用意向から見る「選ばれる消費」と「見直される消費」は?~

経済や暮らしに関わるニュースは日々飛び交いますが、それが実際に生活者の意識や行動にどう影響しているのかは見えにくいものです。博報堂金融プロジェクト「HAKUHODO Fintex Base(HFB)」は、独自調査をもとに、金融・経済ニュースに対する生活者の反応や、金融テーマに関する生活者の声を読み解いていきます。 第四回のテーマは「サブスクサービス」。近年、サブスクリプションサービスは多様な領域へ拡大していますが、今回実施した調査データから、今後の消費行動において「継続されるサービス」と「選ばれにくいサービス」の明確な二極化が進んでいることが浮かび上がってきました。

【目次】
1.金融ニューストピック:総裁選新体制下、賃上げ定着と日銀利上げ再開
2.消費意識トピック:サブスク利用意向から見る「選ばれる消費」と「見直される消費」は?
3.消費意識トピック:各サブスクサービスは何のための支出か?

1.金融ニューストピック:総裁選新体制下、賃上げ定着と日銀利上げ再開 

2026年2月の日本経済は、成長率こそ0%台後半と高くないものの、賃上げと物価上昇の鈍化を背景に、実質賃金がようやくプラスに転じつつある局面に入りました。その一方で、日銀はマイナス金利を脱しつつも短期金利0.75%程度を維持し、追加利上げのタイミングを慎重に探るなど、市場では段階的な利上げが続くとの見方が強くありました。こうした中、衆議院選挙や政権の成長戦略が「次の一手」として意識され、候補者が物価対策・賃上げ促進・財政規律・日銀との関係などをどう位置づけるかが、日本経済の方向感を左右する重要な論点にもなりました。このような状況下で、実際生活者は金融ニューストピックについてどれくらい関心を抱いているのかを全国1,000名にWEB聴取しました。

「消費意欲」「投資意欲」「景気が良くなると思う」の3観点に対し、いずれも「高市政権の成長分野宣言」が最も高く、特に景況感での寄与が大きいことから、人々は実績よりも将来の成長ストーリーに期待している様子がうかがえます。次点には2025年の実質GDP上昇が並び、足元の景気改善も一定の安心材料だが、数値は全体に20%未満と慎重ムードも根強いです。消費面では自民党の圧勝による政治的安定、投資面では円安是正期待なども影響しているが、為替など外部要因より国内の成長戦略への期待が左右していると見受けられます。

2.サブスク利用意向から見る「選ばれる消費」と「見直される消費」は?

近年、サブスクリプションサービスは多様な領域へ拡大しているが、本調査からは、消費行動における「選ばれる消費」と「見直される消費」の二極化が進んでいることが明らかとなりました。

様々なサブスクリプションサービスへの利用意向をうかがったところ、動画・音楽配信やクレジットカードは継続意向が高く、生活に不可欠な“インフラ型サービス”として定着しています。一方、物置きや家事代行、趣向品レンタルといった“生活補助型サービス”は、「なくても困らない」存在として優先度が低く、利用意向は限定的にとどまっています。

また、AIと学習サービスは対照的な動きを見せる。AIは効率化ツールとして実用段階に入りつつあり、今後の拡大が期待されるのに対し、学習サービスは関心の高さに反して継続が難しく、利用の定着に課題を残す。さらに、食事宅配やフィットネスも一定の需要は見られるものの、価格や手軽さが普及のハードルとなっている可能性もあります。

総じて、サブスクが選ばれるか否かは、「生活に不可欠か」「コストに見合う価値があるか」というシンプルな基準に集約すると考えられます。この条件を満たすサービスは定着し、そうでないものは淘汰される構造が、今後一層強まっていくのではないでしょうか。

3. 各サブスクサービスは何のための支出か? 

各サブスクサービスが“人生においてのどのような費用”であるかを自由回答にて聴取いたしました。自由回答結果を分析すると、同じサブスクでもその“役割”は大きく異なることが見えてきました。

動画・音楽配信は、気分転換や日常の充実を支える存在として捉えられており、娯楽でありながら生活に組み込まれた“日常維持の支出”として機能しています。一方で、学習やフィットネスは将来への投資という前向きな意識を伴いながらも、継続の難しさがつきまとう“理想と現実のギャップを抱えた支出”となっています。
また、AIは作業効率や生産性を高める“実用的な支出”として受け入れられ始めており、従来のサブスクとは異なる価値軸を形成しています。これに対し、食事宅配や家事代行は時間創出という明確なメリットを持ちながらも、価格や心理的抵抗が利用拡大の壁となっています。

さらに、ファッションやファンクラブは自己表現や応援といった“情緒的価値”に支えられた支出であり、必需性ではなく個人の価値観や余裕によって選択される傾向が強いです。加えて、車のリースのような合理的サービスにおいても、所有志向が根強く残るなど、価値観の転換は道半ばであることが見えてきます。一方、クレジットカードはすでに生活インフラとして完全に定着しており、支出という認識自体が希薄化していると考えられます。

これらを踏まえると、サブスクは単なるサービスではなく、「日常維持」「投資」「効率化」「情緒」といった複数の役割を担う支出として位置づけられています。今後の消費は、機能や価格だけでなく、そのサービスが生活の中でどのような意味を持つのかという“役割認識”によって選択されていく時代に突入していくのではないでしょうか。

■調査概要
※ HakuhodoFintexBase「金融マンスリー調査 」 2026.3
【調査エリア】全国
【調査対象者】20~60代男女 1,000名
【実施時期】2026年3月
【調査委託先】QO株式会社

※肩書は取材当時のものです

山本 洋平(やまもと・ようへい) HAKUHODO Fintex Base代表/博報堂 ストラテジックプラニング局 チームリーダー

新卒で外資系大手SIer入社。その後、大手メディアサービス企業にてネット業界ブランディングに従事、総合広告会社を経て現職。クリエイティブ・事業からシステム基盤と振り幅の広いスキルを最大限に活かすフィールドを求め、博報堂に転身。現在は、BtoB、飲料、通信・自動車・HR・Fintechとあらゆる業種を担当し、事業視点からのマーケティング戦略を策定するチーフイノベーションディレクターとして活動。JAAA懸賞論文戦略プランニング部門3度受賞、共著「ウェルビーイング市場を拓く技術開発戦略」

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