2025.11.25
どてらい男 AI REMAKE PROJECT
『どてらい男 AI REMAKE PROJECT』は、関西テレビ、Google Cloud、博報堂の3社による、動画生成AIを活用した映像復元プロジェクトの取り組みとなる。過去のドラマを動画生成AIで復活させる取り組みは、日本の放送局では初の試みとなる。(※関西テレビ調べ)
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「どてらい男」は、1973年から77年にかけて全181話が放送され、最高視聴率35.2%を記録した関西テレビのドラマである。しかし、当時の放送業界においてテープは高価で、放送後に上書きして再利用するのが一般的だった。そのため、放送話の一部は欠損したままの状態になっており、今も見つかっていない。
本プロジェクトでは、動画生成AIを活用し、失われた回の再構築に挑戦した。ただし本プロジェクトは、過去の映像を忠実に復元することだけを目的としていない。「どてらい男」が描く「商売の本質」や「自分の信念を貫くことの大切さ」、そして「誠実さ」「義理人情」といったテーマは、時代を超えた普遍的な魅力を持っている。そこで、本プロジェクトでは「現代的な再解釈」を目指した。
このプロジェクトは、ゼロからAIに生成させるものではなく、関西テレビが保有する貴重なIP(知的財産)—現存するフィルム、500名以上の出演者が記された台本、保管されていた20箱ものネガ写真など—をAIへ与えるデータとして活用している。
本プロジェクトにおいてAaaS Tech Labは、動画生成AIによる映像制作・編集およびワークフロー刷新のためのUIUX開発を担当した。すべてのシーンは出力が商用利用可能なVertex AI上でGoogle Veo3/3.1によって生成、ナレーションは音声生成AIであるChirp3を用いて生成した。生成には現代的なカラーグレーディング、登場人物ごとの個性を所作や表情に反映させるプロンプトの工夫をした。
またAI Agentを活用したワークフローを構築し、カットの展開をチャット形式でチェックする機能や、個々の登場キャラクターの性格を踏まえた演技のプロンプトの自動生成などを行うことができるUIUXを本プロジェクト用に独自開発、現在も開発進行している。
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本プロジェクトは、Google AI Agent Summit’25 Fallで発表され大きな話題となった。今後も本プロジェクトでは、技術の進化とともに、さらなる挑戦を継続的に続けていく。
※(本プロジェクトの動画を含む公式ページ)
※(本プロジェクトのリリース)