朝のザッピングは「テレビをつけて4秒」で決着する?Atmaで見えた生活者の朝のルーティン

テレビ全体のビジネスアップデートによる価値の最大化を目指す「TV AaaS Lab」では、放送局のセールス支援や新たな商品開発の実現に向け、注目すべき様々な市場の研究・分析を実施しております。

今回はその一環として、朝の時間帯における生活者の視聴行動の分析を行いました。

1分1秒が決まったルーティンで動く朝の時間帯。 慌ただしいこの時間、家庭内の「テレビのリモコン」は一体どのように扱われているのでしょうか?

今回は、インターネット結線TVの視聴ログデータを活用した博報堂DYグループ独自のソリューションである“Atma”を使い、生活者の朝5時~7時の視聴行動を可視化しました。そこから見えてきた生活者のリアルな実態を紐解きます。

“Atma”とは?

“Atma”とは、インターネットに結線したTVから取得した「視聴ログデータ」を活用したソリューションです。

近年、インターネットに接続可能なテレビ(スマートテレビ)が増加し、現在、そのインターネット結線率は60.8%を突破しました(*1)。

この急速なスマートテレビの普及を背景に、重要視されているのが「視聴ログデータ」です。視聴ログデータとは、視聴者がリモコンで操作した履歴を、インターネット回線を通じてテレビ機器から機械的に収集したデータを指します。これらを活用することで、「いつ」「どのテレビで」「どのチャンネルが」表示されていたかを可視化することができます(*2)。

“Atma”を用いることで、この視聴ログデータと、博報堂DYグループが所有する膨大な生活者データを連携させ、テレデジ統合でのプラニングや効果検証を実現することが可能です。

今回はこの“Atma”のデータを用い、朝5時~7時の生活者が「どのくらいチャンネルを変えているのか?」を調査いたしました。

<調査概要>
・調査エリア:関東
・集計期間:25年11月の平日(※祝日は除く)
・チャンネル切り替え回数の定義:機器ごとに1日単位で該当時間帯(1時間)の枠のチャンネル切り替え回数をカウントし、それらで1ヶ月の平均値を算出。
・N数:749,389

実態①:生活者が朝起きるとともに、チャンネルもONになる傾向

まず、テレビの稼働状況を5時台・6時台それぞれで1時間ごとに見てみます。 すると、5時台にはチャンネルをONにしている機器は全体の45%程度でしたが、その後7時台には、80%以上の機器がチャンネルONとなっています。 起床した生活者がテレビをつけるという、テレビが生活のリズムを作る時計のような役割を担っている様子が窺えます。

実態②:生活者は、朝はチャンネルを変えない?

次に、同様のグラフ内のチャンネルを切り替えている機器の割合に着目します。 チャンネル切り替え回数が「0回」と「1回」が圧倒的多数を占めており、中でも「0回」の層は、6時台・7時台においては約4割を占めています。

チャンネル切り替え回数が0回の機器においては、テレビは一度電源がついたら、家を出る(あるいは視聴を終える)その瞬間まで、一度もチャンネルが変わっていないことになります。

ここから想像されるのは、朝のテレビ視聴が番組を選んで見るというよりも、ついていることが当たり前のインフラ環境に近い状態で扱われている光景です。彼らは前夜の視聴や家族の選択によって偶然ついているチャンネルを、そのまま視聴し、ルーティンを作るための機能として用いているのではないでしょうか。

実態③:チャンネル切替の鍵は視聴開始からの4秒間?

では、チャンネルを切り替えている層は、どのタイミングでチャンネルを変えているのでしょうか?

ログをさらに詳細に分析し、「TVをつけてから何秒後にチャンネルを変えたか?」を追いました。 この結果を見ると、ほとんどの機器がテレビをつけて4秒のタイミングでチャンネルを切り替えていることが分かります。

これは、番組の中身を見て面白くないから変えようと判断している時間ではなく、TVをつけた瞬間リモコンを操作し、いつもの局へ合わせ直す。いわばルーティンの指名行動が行われていると考えられます。

そして、このテレビをつけて30秒を過ぎると、それ以降ログの動きはピタリと止まります。

まとめ:Atmaで見えた生活者のルーティン

Atmaのデータが映し出した朝の視聴スタイルは、大きく分けて以下の2つでした。

1.チャンネル切り替え回数0回層: チャンネルを全く変えずそのまま視聴。
2.チャンネル切り替え回数1回層:視聴開始4秒以内に即座に判断、チャンネルを切り替え。

そこに、番組をあれこれ探して回るザッピングという行動は、ログ上ほとんど確認されませんでした。

朝の視聴者は、我々が想像する以上に機械的で強固なルーティンの中で生きており、その選択は開始4秒でほとんど完了している様子が窺えました。

TV AaaS Labでは、このように広告主のメディア効果を最大化するためのAtmaデータ利用だけではなく、テレビコンテンツの価値向上や生活者の視聴実態の把握としての調査・分析を行っております。ご興味のある方や、共同での研究をご希望の方がいらっしゃいましたらお気軽にご連絡いただけますと幸いです。

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(*1)博報堂メディア環境研究所「メディア定点調査2025」より引用。

(*2)テレビメーカーから利用許諾を取った1300万台規模の視聴ログデータを購入。(2025年12月段階)匿名化されたIDで行動履歴を記録している。

AaaSビジネス戦略局

TV AaaS Labコンサルタント

安田凜(YASUDA RIN)

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