TV AaaS Labでは、テレビの価値向上を目指し、テレビ広告ビジネスにおける新しい取り組みや事例、研究結果を発信していきます。第一弾は、TV AaaSのソリューションを活用したTVCMキャンペーン期間中の柔軟な運用について、博報堂DYメディアパートナーズ統合アカウントプロデュース局の近藤 駿さんに話を聞きました。
キャンペーン期間中の素材運用による効率アップ
――今回の取り組み内容についてご紹介をお願い致します。
近藤:
博報堂DYグループが提唱する広告メディアビジネスの次世代モデルである“AaaS”を活用した、TVCM放送期間中の素材高速運用に取り組みました。広告主KPIであるサイト来訪数の向上に対するTVCMの効果を最短翌日反映のダッシュボードでモニタリングし、放映期間中に素材ごとの効率の分析を進め、素材割付の最適化運用を行いました。
TV AaaSでは、TVCMの効果分析に特化したダッシュボードの存在により、時間帯・エリア・放送局・番組ジャンルといった様々な軸でのサイト来訪効率の分析をダッシュボードで即座に確認することが可能になっています。広告主の商材と最も相性の良い時間帯や素材を知ることもでき、効率の高い組み合わせでキャンペーン期間内に割付の最適化を実施することができたと思っております。

視聴率以外の計測指標でCM放送枠を評価する
――この取り組みで評価されたポイントについて教えてください
近藤:
このTV AaaSのダッシュボードを活用することで、広告主にとってはサイト来訪数というKPIに対する効率に基づいた素材運用が放映期間中に可能になり、実際の結果として運用開始初月と翌月を比べ、関東では119%・関西では141%・中京では231%、TVCMによるサイト来訪効率が増加しました。また、TV AaaSの活用により深夜帯に相性の良い素材を発見できた結果、視聴率が比較的低い深夜帯の活用方法を見出すことができました。TVCMの放送枠の価値を決める上で絶対的な指標である「視聴率」とは異なった計測指標で分析・運用を行うことで、今までスポットライトを浴びにくかった深夜帯が評価され、TVCM放送枠の再価値化へと貢献できたと思っています。
相性の良いジャンルを見極め、番組提供枠への足掛かりに
近藤:
今回の分析ではスポットと横並びで番組提供枠のサイト来訪効率を分析し、番組提供枠のサイト来訪効率がスポットより数倍高いことが判明しました。その結果、スポット出稿が中心のTVCM枠の買い付け方針だったところから、現在では番組提供枠の割合が大幅に増加しました。また、細かな分析を行ったことにより、広告主の商材と相性のよい番組ジャンルや曜日時間帯を見極めることができ、プラニング時に重要視される「リーチ」や「視聴率」以外で、番組提供枠の新たな強みや出稿を検討する際のロジックを提示することができました。
――今後どんな展望がありますか
今回の事例では、「キャンペーン期間中の運用を柔軟に行ったこと」、「視聴率以外の計測指標でTVCM放送枠を評価したこと」で、TVCMキャンペーン全体の価値向上やTVCM放送枠の再価値化につなげることができたと思います。今後、テレビ広告ビジネスのアップデート及び、再価値化を実現させていくために、放送局の皆様との連携を深めていき、運用のオペレーションフローの柔軟性を高めることができれば、よりTVCM放送枠の価値向上を望めると考えています。これからもTVAaaSを活用し、あらゆる観点からTVCMの価値の可視化を進め、高度な運用によるテレビ広告の可能性拡大に繋げたいと思っております。

