今回は、前回お話したFASTサービスを展開している、ネットワークやスマートTV事業者、その他プレーヤーについてお話します。
ネットワーク各社はそれぞれSVODを展開してきていますが(DisneyのDisney+やNBCUのPeacockなど)、2019年頃より、それまで独立系で存在していた既存のFASTサービス(TubiやPlutoTVなど)を相次いで傘下に収め、SVODとAVOD/FASTの両方でビジネス展開をしています。なお、契約形態は異なるものの、ビジネスモデルとしては広告付きとなるため、AVODとFASTは同じ様に捉えられることもあります。
ネットワーク各社の自前のサービスだけでなく、SamsungやRokuといったスマートTV事業者やスマートTVプラットフォームも、インターネット結線されたテレビのホーム画面上での動画配信プラットフォームを展開しており、ネットワークなどのコンテンツ事業者から集めたコンテンツを多数のチャンネル構成で提供しています。コンテンツ事業者は個々にチャンネルを開設し、スマートTV事業者やプラットフォームから広告売上のレベニューシェアを受け取ったり、それぞれが広告枠を販売しマネタイズしています。
最近では、プラットフォームサイドがサービスのオリジナリティを持たせるためにFASTオリジナルコンテンツを制作したり、音楽レーベルのミュージックチャンネルといった特定のジャンルに特化したコンテンツを保有する企業が独自のFASTチャンネルを立ち上げるなど、新しいタッチポイントとして活用、視聴者へのリーチを拡大しマネタイズしようとする動きも見られます。
なお、主なFASTサービスとして提供されているチャンネル数は約1500(2022年10月現在、Variety調べ)とも言われ、CATVの多チャンネルを彷彿させます。
参考:主なFASTサービスの開始年と提供チャンネル数(2022年10月現在、Variety調べ)
- ネットワーク系
Tubi(Fox):2014年~(2020年からFox傘下)、約210チャンネル
PlutoTV(Paramount):2013年~(2019年からParamount傘下)、約340チャンネル
Xumo(Comcast):2011年~(2020年からComcast傘下)、約300チャンネル - スマートTV/PF系
Roku Channel:2017年~、約330チャンネル
Freevee(Amazon):2019年~、約120チャンネル
Samsung TV Plus:2015年~、約260チャンネル
LG Channels+:2016年~、約340チャンネル
Visio WatchFree+:2018年~約250チャンネル
ポイント
今回は二回にわたりFASTについて取り上げましたが、解釈や定義には定まったものがないため、別の捉え方もあることはご承知おき下さい。
日本でもチャンネルを持つストリーミングサービスは存在していますが、ストリーミングサービス全体の今後の流れとしては、自社で制作するオリジナルコンテンツに限らず、幅広い視聴者に見てもらえるライブラリーコンテンツの充実やコンテンツタイプ毎のチャンネル展開なども考えられるのではないでしょうか。

