2026.10.16
GPSアートで日々のランニングをエンタメ化する
AaaS Tech Labの髙橋です。
市民ランナーとまでは言えませんが、走ることが趣味で、社会人になってからはトレイルランやマラソンに積極的に取り組んでいます。昨年10月の金沢マラソンでサブ4を達成し、今の目標はサブ3.5 (3時間30分切り)です。ただ、そのためのトレーニングにはひとつ悩みがありました。
普段の日課として走っている6〜8km程度の決まったコースなら全く苦にならないのですが、サブ3.5を目指すとなると20km走や30km走といった「ゆっくりでも長時間走り続ける練習」が欠かせません。この長距離・長時間のトレーニングがとにかく億劫で、どうしても退屈に感じてしまうのです。
「この長く走る時間を、もっと楽しく変えられないか?」 そう考えていたときに知ったのが、#GPSart や #StravaArt といったハッシュタグでした。
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走る行為そのものを「絵を描くアート」に変える取り組みはすごく面白いと感じたのですが、実際にやろうとするといくつか壁がありました。自分の家の近くや最寄り駅スタートのコースがあるか、あるいは今日走りたい距離(たとえば10km)と描きたい絵のコースがうまく噛み合うか、といった点です。
それなら「駅名・走りたい距離・描きたい絵を指定したら、GPSアートのコースを自動生成してくれるWebアプリを作ればいいのでは」と思い立ち、自ら開発をしてみました。
つくったもの:「ヒトフデラン」
そうして開発したのが、一筆書きのランニングコースを生成・掲載するWebアプリ「ヒトフデラン」です。
最寄り駅と走りたい距離、そして描きたい絵を指定すると、その駅から出発して一筆書きで同じ駅に戻ってこられるコースを出力します。
機能としては「距離から探す」と「場所から探す」があります。今日5km走りたい人も、フルマラソン(42km)に挑みたい人も、距離に応じて絵を選択できます。場所モードでは、東京23区の地図からスタート駅を指定してコースを選ぶことが可能です。
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各コース画面を開くと、駅名・距離・所要時間・スタート地点が記載されており、地図ビューワーで実際の通過ルートを目視確認できます。また、一筆書きは描く順番が分かりづらいため、書き順を再生するアニメーション機能も載せています。
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GPXファイルの書き出しにも対応しているため、StravaやGARMIN等のGPSウォッチに持っていき、ナビゲーションさせながら走ることも可能です。
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コース生成のロジック
バックエンドの処理としては、まずOpenStreetMapから交差点と道路データを取り出し、グラフ構造化します。あらかじめ23区を500m四方のマス目に区切って道路量や水域・大型公園の面積を集計しておき、道路密度が高く川や大きな公園を避けた候補地に絞り込むという前処理を行っています。
次に地図上への絵の配置とコース生成です。モチーフとなるイラストの外周(線の長さ)を測り、それをベースにどれくらいの大きさで地図に置くかを計算します。置く大きさが決まったら、絵の輪郭を150〜300mの区間に切り分け、区間ごとに始点の交差点から終点の交差点まで、描きたい線分から離れずに行ける道すじをダイクストラ法で1本ずつ求めていきます。最後にそれらを順につなぎ合わせることで、途切れない1本のコースを生成します。
コスト関数を以下のように設定し、描きたい線からのズレにペナルティを加算することで最適ルートを探索します
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生成されたコースは、離散フレシェ距離やラスタIoUといったルールベースの指標で評価した後に、LLM as a JudgeでLLM自体にも「地図上の線が正しい絵に見えるか」を判定させて精度を担保しています。
開発の工夫
今回はコース生成の処理をローカル環境で実行し、Webアプリ側には生成済みのコースデータを載せる構成にしました。アプリを誰でも無料で使える形で公開したかったため、Web側でリクエストのたびにLLMの処理や重い推論が走らない仕様にしています。
ローカル環境側では、ユーザーの入力(距離・駅名・イラスト)からコース生成・判定・出力までを一通り自動化できるよう、Claude CodeのSkillsを定義し、ハーネスを組み合わせて構築しました。
今回は無料公開という制約に合わせてローカル生成に寄せましたが、Webアプリ上でユーザーから任意の絵のリクエストを受け付け、バックエンドでLLMとハーネスを連携させてリクエストごとにコースを動的生成するようなシステム構成へ拡張することも可能です。
実際に走ってみた
出来上がったコースを使って実際に走ってみました。
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信号のある大通りを安全に渡るルート設計になっているなど、実際に走って初めて得られた気づきもありました。軌跡に多少のギザギザは残るものの、走ったログはしっかり狙った絵の形になり、「ランニングコースとして十分に成立する」という手応えを得られました。
これから冬に向けて、横浜マラソンや東京マラソンなど2つの大会を控えています。このアプリを活用しながら、楽しくトレーニングを重ねていきたいと思います。
最後に
私たちAaaS Tech Labは、ビジネス領域におけるデータサイエンス活用にとどまらず、メディアやコンテンツ開発へのAI技術応用にも取り組んでいます。少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひお気軽に contact よりご連絡ください。