博報堂生活総合研究所は、新年恒例の研究発表イベントとして、みらい博2018「進貨論~生活者通貨の誕生~」を、1月24日(水)東京都内の東京ミッドタウンホールにて開催しました。

今回のみらい博は「お金の未来」をテーマとして、事業側・テクノロジー側から語られがちな「お金」について、生活者側の視点から展望し、未来の生活者とお金のあり方を提言しました。会場には企業のマーケティング担当者や経営層、メディア関係者など、約800名が来場しました。

講演は大きく4つのパートで構成。「パート1 生活者とお金の関係変化」では三矢上席研究員が登壇し、過去から現在にかけて生じている生活者とお金との関係変化について、生活者側のお金に対する「キモチの変化」とお金の側で生じている「カタチの変化」の両面から紹介しました。

<生活者とお金との関係変化>
お金へのキモチの変化…稼ぐ、使う、貯めるのどの面でもお金のチカラが弱まり、今のお金に対する信頼に揺らぎが生じている
お金のカタチの変化…フィンテック発達により電子化が急速に進行、お金の流動性が高まり、本来の価値交換のための道具としての使い勝手が増している

発表中の三矢上席研究員

続く「パート2 お金の進化への胎動」では、上記2つの変化を受け、この先に起こるであろうお金の進化の方向性について、現在起こっている兆しなどを基に「3つのベクトル」という形で紹介。さらに、それらの動きが高まっていった先に生まれる新しいお金とそのしくみについて「生活者通貨」という新しい概念を提示しました。

<お金の進化 3つのベクトル>
お金の「複線化」…使うお金は個人が自由に選ぶようになる
お金の「小圏化」…個人起点でお金が流通する経済圏が生まれる
お金の「実名化」…お金が個人と紐づき価値も連動する

<3つのベクトルの先にあるお金の未来>
「生活者通貨」の誕生…もっと簡単に、素早く、楽しく価値交換できるお金のしくみが、生活者主導で次々と生まれる

「パート3 生活者通貨のある未来」は十河研究員が登壇。未来にはどんな生活者通貨が誕生するのか、生活者意識の将来変化などの兆しを基にした4つの通貨コンセプト仮説を提示しました。さらに、それら通貨が加わることによって、日々の生活がどんなふうに変わっていくのか、生活者通貨のある暮らしの未来像も提示しました。あわせて、生活者通貨は独立したものではなく現行の経済圏と併存して流通することや、今後も生活者自らが新しい通貨を生みだす可能性についても触れました。

<生活者通貨 4つのコンセプト仮説と暮らしの未来像>
①協賛通貨…自分にはできないことを他の人に託すお金
→高齢者が見知らぬ子どもの未来に協賛、「祖父母100人」も現実にetc.
②遊戯通貨…お金で得るものより人とのやりとり自体を楽しむお金
→ちょっとしたお礼に、気持ちを表す「デコマネー」を送金etc.
③連帯通貨…持つことや使うことでつながりを深めるお金
→同じ通貨を持つ仲間が一堂に会して「通貨オフ会」で交流etc.
④自力通貨…自分自身の信用やスキルを使って取引できるお金
→目の前の相手の能力・信用を測定する「自力測定デバイス」でいつでも取引etc.

発表中の十河研究員

最後の章となる「パート4 生活者通貨の使いかた」では、石寺所長が登壇。未来に生まれる生活者通貨が、企業・社会にとってどんな意味や可能性を持つのか、様々な切り口から提言を行いました。

<生活者通貨の使いかた:問われるのは“金額”から“金質”へ>
生活者通貨と経営…出資者(株主)に加え、協賛通貨で“出志者”づくりを
生活者通貨とブランド…コアなファンと、連帯通貨で“ブランド経済圏”構築を
生活者通貨と働き方…社内に流通させる遊戯通貨を、組織の紐帯に
生活者通貨と人生設計…人生100年時代に、自力通貨を新たな自己資本に
生活者通貨と教育…キャッシュレス・ネイティブへの新しいお金教育を

発表中の石寺所長

また今回の講演では、講演内容に対する来場者のリアクションがリアルタイムでスクリーンに映し出されるシステムを導入。「どの内容にどんな反応が集まったのか」も含めて、知見として持ち帰っていただけるよう、初の試みを行いました。

来場者の発表に対するリアクションを画面表示

講演終了後参加者からは、
「お金の意味や捉え方を考え直すきっかけになりました」
「モノが売れない時代に、共感など新たな価値をマネタイズできる可能性を感じました」
「聴講者とのリアルタイムな連動が、効果的で新鮮でした」
などの声が多く寄せられました。

博報堂生活総合研究所は今後も、生活者のきめ細やかな調査研究を通じて、よりよい未来を提言する活動を続けてまいります。

<終>