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【Consulactionセミナー】デジタル&リアル基点の「アクティベーション」で、効かせる統合へ。~「生活者の行動」をシナリオ化する、次世代型統合マーケティング Vol.2

2017.05.17
#Consulaction
2017年5月17日(水)にConsulactionセミナーが開催されました。
このページでは、当日の講演内容を要約した、セミナーレポートをお届けします。

4月に開催した「『生活者の行動』をシナリオ化する、次世代型統合マーケティング~統合マーケティングの効果を最大化する『アクティベーション発想』」。
その第2弾となったこの日のセミナーのテーマは、デジタルとリアルのそれぞれを基点とするアクティベーションの方法論でした。
博報堂が考える次世代型統合マーケティングとしてのアクティベーション。
その「実践」の方法が熱く語られました。

博報堂 アクティベーション企画局 局長 エグゼクティブクリエイティブディレクター 才田 智司 (写真右)博報堂 アクティベーション企画局長代理兼デジタルアクティベーション部長 博報堂DYグループ 次世代オウンドメディア・マーケティングセンターリーダー 茂呂 譲治 (写真左)博報堂 アクティベーション企画局アクティベーションクリエイティブ一部長 行動デザイン研究所 尾崎 徳行 (写真中央)

デジタル基点のアクティベーション

「買ってもらう」から逆算するプランニング

本日は、ビジネスのゴールから逆算して生活者の行動をデザインし、ブランドをアクティベーションする「マーケティング×クリエイティブ×デジタル立案フレーム」をご紹介したいと思います。

従来のマーケティングのプランニングは、ブランドについてまず「知ってもらい」、そこから「買ってもらう」という行動を促す流れになっていました。そこで重要なのは、生活者に情報を伝えるいわば「メガホンの大きさ」でした。

しかし、世の中と生活者が大きく変わり、この方法が通用しない時も出てきてしまっています。
主な要因としては、情報量が膨大に増え、ブランドもコモディティ化してしまったことです。
情報を発信しても、数々の情報に埋もれて生活者にメッセージが届かなくなったのです。
そんな中で、生活者は必要な情報を自ら探すようになりました。
かつて、生活者にとって情報はどこかから「手に入るもの」でしたが、今では、情報は自ら「手に入れるもの」になっています。生活者が主導して情報選択をする時代になったのです。

このような時代には、「知ってもらう」から始めるのではなく、「買ってもらう」から逆算するプランニングが必要になります。
買ってもらうために生活者を「どのように動かすか」を考え、そのために「どのように知ってもらうか」を考えるのです。

「行動」視点プランニングの7つのステップ

この「行動」視点のプランニングは、具体的にどのように行えばいいのでしょうか。

売上などの重要目標達成指標を「KGI=key goal indicator」、それを達成するために必要な指標を「KPI=key performance indicator」と呼びますが、その2つを明確にして、それを実現するためのマーケティングのシナリオをつくる──。
それがこのプランニングの基本的な考え方です。フローは次のようになるでしょう。

【 ゴ ー ル 設 定 】
1 ビジネスゴールを設定する
2 動かすべきターゲットを設定する
3 行動ゴールを設定する

【 課 題 設 定 】
4 KPIカスケード(連鎖)を描く

【 ア イ デ ア 開 発 】
5 行動デザインの仕掛けをつくる

【 シ ナ リ オ 設 計 】
6 アクティベーションシナリオを設計する
7 KPI×POE(※)マトリクスで検証する     ※Paid、Owned、Earnedの各メディア

このうち「ゴール設定」と「課題設定」が、数値にコミットする「左脳フェーズ」、アイデア開発とシナリオ設計が、生活者の行動を作り出す「右脳フェーズ」に当たります。

KGIから逆算するアクティベーションの強み

以上ご説明してきた方法論には、次のような強みがあります。

・KGIにつながるUX(生活者体験)が描ける
・クリエイティブに科学的根拠がある
・課題解決型のメディアプランが作れる
・マスとデジタルの真の統合が可能になる

「KGIにつながるUX」とは、生活者とブランドがどう出会い、生活者はその商品をいつ、どのくらいの頻度で使うのかを徹底的に洗い出すことで、ブランドとの出会いから体験、購入に至るまでの道筋を描く、その基点となる生活者体験のことです。
これは、ブランドの都合から見た「理想論的UX」よりも極めてリアルで説得力のあるUXと言えるでしょう。

「科学的根拠があるクリエイティブ」とは、ビジネスゴールに明確に結びつくようなロジカルなクリエイティブのことです。
「課題解決型メディアプラン」とは、マスメディア重視の固定化されたパッケージプランではなく、KGI達成を重視した、柔軟かつ投資効率の高いメディアプランのことです。
「マスとデジタルの統合」に用いられるのは、単なるタッチポイントを組合せるだけの統合ではなく、捉えるべきターゲットの池を起点に、結果そこに必要なメッセージやメディアがマス、デジタル横断で統合されるという手法です。
このやり方で、多くの企業さまと短期のみならず、中長期のPDCAを一緒に見させてもらっています。
「現在のコミュニケーション戦略はビジネスにコミットできていないのでは?」
「マスとデジタルの融合がもっとできないか?」
「新しいマーケティング、新しいクリエイティブにチャレンジしたい」──。
そういった悩みを抱えていらっしゃる企業さまは少なくないと思います。
それが小さな課題か大きな課題かにかかわらず、私たちはその課題に適した解決の方法をご提示することが可能です。
ぜひ、一度ご相談ください。

コネクテッド時代のリアル体験統合マーケティング

人は体験したことの90%は忘れない

世の中のデジタル化が進む一方で、「リアル体験」があらためて注目されています。
キッザニアの創業者であるハビエル・ロペスは、「人は読んだことの10%しか覚えていないが、体験したことの90%は忘れない」と言っています。
テクノロジーが進化することによって「体験」の質も変化しています。また、デジタル化によってコミュニケーションのあり方も日々進化しています。
IoT化が進み、あらゆるものがつながる「コネクテッド時代」には「リアル体験」もアップデートしていかなければなりません。

博報堂では、リアル基点のアクティベーションの方法論を「Reac」と呼んでいます。
Reacは、リアル体験を基点とした次世代型統合マーケティングのフレームであり、リアル体験の領域を「拡張」し、リアル体験の情報を「拡散」し、リアル体験のデータを「フィードバック」し、生活者とビジネスをリアルに「活性化」させる方法論です。

Reacの具体的なファンクションは以下の3つです。

1 エクスペリエンス・クリエイティブ
●商品やサービスの本質を深く体験してもらうためのクリエイティブ
●先進テクノロジーを活用して新しい体験をもたらすクリエイティブ
2 シナリオ・プランニング
●SNSほか、あらゆるメディアを活用して情報を拡散させるシナリオのプランニング
●情報拡散を可視化し、PDCAサイクルを回すプランニング

3 プラットフォーム・アーキテクチャー
●リアル体験をデータ化し活用するためのプラットフォームの設計
●体験者データと企業のマーケティングデータを結び付けるプラットフォームの設計

VR/ARから体験型施設まで

エクスペリエンス・クリエイティブは、1日から1週間程度のイベントなどの「短期型」、シナリオ・プランニングと組み合わせて3カ月から6カ月程度の期間展開する「中期型」、さらにプラットフォーム・アーキテクチャーと組み合わせて1年を超えて展開する「長期型」に大きく分けられます。

短期型のエクスペリエンス・クリエイティブでは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などのテクノロジーを活用し、生活者にこれまでになかった体験を提供するクリエイティブ開発が重要になります。
ここでは、博報堂プロダクツのオリジナルソリューション「hakuhodo-VRAR」を活用いただけます。

中期型のエクスペリエンス・クリエイティブに関しては、集中的に「深い特別なブランド体験」を提供することで、ブランドに対する好意を急速に醸成し、販売まで一気につなげる「ポップアップストア」が最近増えています。リアル体験を基点とし、SNSなどで体験が拡散することを目指す統合的コミュニケーションを可能にするのがポップアップストアです。
ここでご活用いただけるのが、情報拡散効果測定ツール「Reaction」です。
Reactionは、全マスメディアでの露出、SNSでの話題化、ストアの実体験者、販売データなどをトータルで人数換算できるツールで、インスタグラムまでを含むSNSを網羅しています。

長期型のエクスペリエンス・クリエイティブに該当するのは、ブランドショップなどの体験型恒久施設です。
このような施設は、ライフスタイルや価値観の共有が可能であり、訪問者の深いデータを取得することが可能なことから、博報堂が提唱するデータ・ドリブンマーケティングの拠点になりえます。

リアル情報の「拡張活用サイクル」

リアル体験で得られるデータを有効に活用するためには、リアル情報の「拡張活用サイクル」を回す必要があります。それは以下のようなサイクルになります。

  • データ取得……フィジカルデータ、対話データなど
  • データ分析……専門家・研究機関による分析、AIによる分析など
  • フィードバック……分析結果の提示、カウンセリング、商品コンサルテーションなど
  • データ拡張……ディープラーニング、広告配信データ活用、顧客データベース/ID-POS連携など

このサイクルでは、データ取得のポイントとなる顧客接点がとりわけ重要になります。
博報堂では、最大の顧客接点である販売現場の対話をデータ化し、顧客ごとに最適化したセールスシナリオを導き出すソリューション「Forecastalk(フォーキャストーク)」を近日リリースする予定です。

またリアルな施設を使ったコミュニケーション施策の効果を測定するにあたっては、オリジナルの調査手法「Ex-Point Research」をご活用いただけます。
施設そのものの効果はもとより、施設を設置することによる波及効果も含めた投資効果の分析やKPI設定にも役立てていただくことが可能です。

求められる「マーケティングのプラットフォーム化」

本日のタイトルである「デジタル&リアル基点」の「基点」とは、プラットフォームのことであり、アクティベーションには「マーケティングのプラットフォーム化」が必須であると私たちは考えています。
このプラットフォームの上で、データ活用、顧客体験、コンテンツ生成、顧客管理・CRM、PDCAサイクルなど、さまざまなマーケティング活動を動かしていくことが、すなわち次世代型統合マーケティングです。
「一度やって終わり」のキャンペーン発想から、継続的展開が可能で、かつ歩留まりのいいプラットフォーム発想へ──。
そこに博報堂が考えるアクティベーションの本質があるのです。

講師プロフィール

※掲載時プロフィールです。

才田 智司(さいだ ともし)
博報堂 アクティベーション企画局長 エグゼクティブクリエイティブディレクター

1988年博報堂入社。コピーライターとして、配属。現在の弊社会長である、戸田の下で修業を積む。1990年代より各種広告制作業務を担当し、アルコール、飲料、食品、自動車、航空、化粧品等、多様なジャンルに携わる。
統合マーケティング、統合ソリューションに早くから取り組み、広告、プロモ、PR、イベント、デジタル等々、他領域で業務実績。
2005年クリエイティブディレクター
2008年シニアクリエイティブディレクター
2009年チームリーダー(部署長)
2011年グループマネージャー(局長代理)
2012年Cannes Lions、ADFEST、SPIKES等、国際賞9冠
2013年エグゼクティブクリエイティブディレクター
2014年第一クリエイティブ局長
2016年アクティベーション企画局長

茂呂 譲治(もろ じょうじ)
博報堂 アクティベーション企画局長代理兼デジタルアクティベーション部長
博報堂DYグループ 次世代オウンドメディア・マーケティングセンターリーダー
360×365Planning

デジタル・ソーシャル起点にマス~店頭までの統合プランニングから、プラットフォーム戦略まで従事。
「カンヌ2015」ブロンズ受賞/「Globe賞」グランプリ他。
「ad-tech Tokyo2016、2014」オウンドメディア、ソーシャルメディア領域にてモデレーター歴任。

尾崎 徳行(おざき のりゆき)
博報堂 アクティベーション企画局アクティベーションクリエイティブ一部長
行動デザイン研究所

ブランドの深い理解を大切にし、様々なレイヤーでのコミュニケーション コンセプト及び全体シナリオのプランニングを行う。
特にエグゼキューションレイヤーでは行動デザインを起点に 人・もの・ことを具体的に動かすことを、多様な経験を武器に実践中。子育ても、奮闘中。

第一弾のセミナーレポートは、
「生活者の行動」をシナリオ化する、次世代型統合マーケティング
~統合マーケティングの効果を最大化する「アクティベーション発想」とは?~

第三弾のセミナーレポートは、
コンテンツ基点の「アクティベーション」で、売れる&売れ続ける統合へ。
~「生活者の行動」をシナリオ化する、次世代型統合マーケティング Vol.3~

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