博報堂とオーストリア・リンツ市を本拠地とするメディア・アートの文化機関「アルスエレクトロニカ」による共同プロジェクト「FUTURE CATALYSTS」は、6月14日、東京・赤坂の博報堂本社にて、新たな「地域創造」のためのナレッジや発想、具体的なソリューションアイデアを共有する「地域創造フォーラム〜未来に向けた創造都市戦略」を開催しました。

 「地域創造フォーラム~未来に向けた創造都市戦略」のメインゲストは、オーストリア・リンツ市のクラウス・ルーガー市長と、リンツ市を拠点とするアルスエレクトロニカの総合芸術監督であるゲルフリート・ストッカー氏のお二人。

オーストリア・リンツ市は、芸術文化と先端テクノロジーをコアコンピタンスとして、産業、教育、雇用創出、多様性社会の実現など、地域社会にとっての様々な成果を生み出した街として世界的に知られています。その成果によって、2009年には欧州文化首都に、また2014年にはユネスコ創造都市に選出されています。また日本の地方自治体からも今大きな関心を寄せられているところです。
そして、アルスエレクトロニカは、リンツ市が所有する文化事業機関として、この街の成長に大きな役割を果たしてきた存在です。

オーストリア・リンツ市のクラウス・ルーガー市長

フォーラムの前半の「未来に向けた創造都市戦略」の冒頭、ルーガー市長は、現在では未来志向の創造都市として世界的に知られるリンツ市が、1970年代、産業の斜陽化、高い失業率、環境汚染など、多くの深刻な社会課題を抱えていたことを振り返り、その危機を乗り越え、地域経済をふくむ地域社会の発展を果たすことができた大きな要因が、「ハード面だけでなく、幅広い芸術文化の持つソフトパワーを取り込むこと」にあったと語りました。「市民ひとりひとりが、新たな変化をオープンに受け入れる気持ちに変わっていくことが大切なのです」。

そして、ストッカー氏からは、アートフェスティバル、国際コンペティション、「未来の学校」というコンセプトの文化センターの運営など、具体的な取り組みと、こうした活動が地域社会に果たす役割についてのプレゼンテーションがありました。ここでもキーワードは「オープン」。新しく生まれてくる創造性、テクノロジーの進化を、市民が直接体験・体感できる「開かれた機会」を創り出すことの 大切さが述べられました。
現在、リンツ市では、こうした取り組みが実を結び、地域産業の活性化、新しい産業創出、そして何より未来に対してポジティブなビジョンを持った若者達が育ってきています。

アルスエレクトロニカのゲルフリート・ストッカー総合芸術監督

フォーラム後半のディスカッション「アート×テクノロジー×社会〜地域社会を変えるクリエイティブの力」では、アーツカウンシル東京のオリンピック・パラリンピック文化戦略担当ディレクターである石綿祐子氏を迎え、博報堂とアルスエレクトロニカとの共同プロジェクト「FUTURE CATALYSTS」プロジェクトリーダー/博報堂 クリエイティブプロデューサー鷲尾和彦がモデレーターとなり、4名でオープンディスカッションが行われました。
「オープンな市民意識の醸成」、「行政や市民との恊働スキーム」、「文化と経済の橋渡し役の存在」、「市民の創造性を支援する取り組み」など、これからの地域社会を育んでいくための大切な視点を、お互いに共有し合いながら、同時に、東京や日本が乗り越えて行くべき課題、そして未来への可能性についてもディスカッションが深まりました。

鷲尾は今回のフォーラムを通じ、下記のように振り返っています。
「現在は、成熟社会とか定常期と言われますが、それは新しい生活価値観、新しい社会のあり方が試行錯誤され、生まれようとする可能性に満ちた時代だと思いま す。今回の機会は、博報堂とアルスエレクトロニカとのパートナーシップを通して実現することができました。今後もこうした外からの新鮮な視点に刺激を受け ながら、日本の地域社会と生活者にとっての新しい価値発見につながる機会を創っていければと思っています」。

FUTURE CATALYSTSウェブサイト → http://future-catalysts.com/