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【コラム】子育て女性、家族の絆や未来重視(博報堂こそだて家族研究所上席研究員 脇田英津子)

2013.04.03

旅行や教育に支出 子育て女性、家族の絆や未来重視 食品・日用品は節約志向

○パパの領域とみられていた自動車、カメラなどでも、ママが積極的に商品選択に関与
○子供をきっかけに意識も変化。旅行や教育など家族の絆や未来の基盤をつくる支出を重視
○食品や日用品など日々の生活で消えゆくものはできるだけ節約

著者:博報堂こそだて家族研究所上席研究員 脇田英津子

博報堂こそだて家族研究所は、子育て家族の意識や実態を把握するため、9歳以下の子どもを持つ20~40代の既婚女性1223人にインターネット調査を実施した。子育てをきっかけに消費意識が変化しており、旅行や教育など家族の絆や未来の生活基盤をつくるための支出を重視していることが分かった。逆に食品や日用品などはできるだけ節約する意向が強いようだ。

子育て家族の家計管理は、7割以上の世帯でママが握っているとみられる。今回の調査のカテゴリー別商品選択者をみると、ママが主に選んでいるのは生鮮食品で95.0%、育児用品で95.6%となり、掃除機(58.7%)なども高かった。(図1)(図2)

一方、パパが選択する比率が高いのは自動車で47.5%、テレビの46.5%、カメラ・ビデオも40.6%などだった。また、夫婦一緒に選ぶ家族もあり、自動車で、33.7%、テレビで35.5%、カメラ・ビデオカメラで31.5%だった。

ただ、家事育児に関わる商品は、やはりママが主選択者である割合が高く、夫婦一緒選択の割合も加味すると、ほとんどの世帯で、ママが選択のカギを握っているといえそうだ。

さらにこれまでパパがメインターゲットだと考えられていた「自動車」「テレビ」「カメラ・ビデオカメラ」などのカテゴリーでも、ママが選ぶ場合と夫婦一緒に選ぶ割合を合わせると、ママが積極的に関与している実態がみえてきた。

では、子育て家族の家族消費を「子供」という視点からみるとどうなるか。

子供をきっかけとした家族消費は、様々なカテゴリーでおきている。実際に購入した物として割合が高いのは、学資保険(46.7%)、デジタルビデオカメラ(42.7%)、自動車(36.8%)など。子供が家族に加わることで、家族に新たな消費が生まれることは間違いないだろう。

また子供の存在は商品を選ぶ基準にも変化を起こしている。(図3)

子育て家族ママの65.8%が、子供をきっかけに、選択基準が変わったものがあると回答。普段遊びに行く場所(39.6%)、食品(39.5%)、衣料用洗剤(25.2%)など、直接子供と関わるもののほか、自分のファッション(30.5%)、シャンプー・コンディショナー・ボディーソープ(23.3%)などの個人使用が想定されるものまである。

子育てをするママをターゲットとして考える場合、家族消費はもちろん、個人消費の商品であっても、子供をきっかけとした気持ちの変化に着目することが、彼女たちの心をつかむことにつながると考えられる。

では実際に彼女たちの心をつかむためにはどうすればよいのか。そのヒントは、彼女たちのお金の使い方に表れた。(図4)

現在お金をかけていると感じているものは、食品(59.5%)、家族との旅行・お出掛け(44.5%)、家族との外食(33.9%)など。家族の日々の生活に必要な物や、家族との絆を深めるものにお金を使っている様子がうかがえる。

また、今後お金をかけたいと感じているものは、家族との旅行・お出掛け(51.7%)、貯蓄(51.3%)、子どもの教育(41.0%)などが高くあがった。

家族の絆を深めるものや、家族の未来を考えた投資を意識していることがわかる。この傾向については、実態と意向の差をみていくとさらに顕著となった。

今ほどお金をかけたくない意向がみられたものは、食品、日用品、住居、自動車関連など。逆に今後よりお金をかけたい意向がみられたものは、貯蓄、子どもの教育、自分のファッション、夫へのプレゼント、家族との旅行・お出掛けなどがあがった。

日々の生活で消えゆくものについては、今後はできるだけ節約していきたい意向がみえ、逆に、家族の未来に向けての基盤をつくるものについては、今以上に投資していきたい意向がみえる。

また、「夫へのプレゼント」や「家族との旅行・お出掛け」も上位にあがり、家族や夫婦の絆を強めることも、彼女たちにとって重要な投資テーマだといえよう。

<調査の概要>

博報堂こそだて家族研究所が全国の0~9歳までの子どもをもつ既婚女性(20~40代)1223人を対象にインターネットを通じて実施した。

(2013年4月20日 日経MJ「消費分析」欄より転載)

関連情報
こそだて家族研究所 調査レポートVol.1「子育て世帯の消費と意識」(2012年12月25日)
こそだて家族研究所 調査レポートVol.2 「ママのワークスタイルと消費」(2013年3月11日)

こそだて家族研究所

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