(株)キューワークス:(左から)白石 葵、大倉 誠一、代表取締役の西村 康朗

2017年6月、博報堂DYグループの公募型ビジネス提案プログラム「AD+VENTURE」から、新会社「キューワークス(Cueworks)」が生まれました。「コミュニケーションツールからチームワークを刷新する」というビジョンの下、現場を見える化し、効率的な稼働を実現するチームコミュニケーション/マネジメントツールの開発、クラウドプラットフォームを活用した業務用ソリューション開発およびコンサルティングサービスの提供を行う専門会社です。

第一弾サービスとしてこのたび提供を本格的に開始したのが、サービス業やイベントの現場を見える化し、効率的でスムーズな業務遂行を実現するスマホ・PC向けアプリケーション「Cueworks(キューワークス)」※です。
昨年12月のβ版導入以来、すでに様々なイベントやホテルに導入いただき、「現場スタッフのコミュニケーションを円滑にするツール」として、好評をいただいています!
あらためてCueworksのメンバーに、サービス開発に込めた想いと、現場からの評判について聞きました。

※1 アプリケーション「Cueworks」(キューワークス)とは
チャットでのやりとりは、コメントが増えるとタイムラインの中に用件が埋没してしまい、現場での活用が難しいとされてきました。Cueworksは、To-Doリストとチャットを一体化した「タスクチャット™方式」を採用。用件を「cue(キュー)」というカードにまとめてスタッフと共有でき、その進捗が色でわかるので、誰がどのタスクに対応しているかがひと目で把握できます。しかもそのタスクが完了したら、起票者はスタッフのTo-Doリストからcueを消すことが可能。これによってスタッフ全員で現場の残タスクをゼロにしていきます。(特許第6268668号)
■詳細はこちらをご覧ください⇒https://cueworks.co.jp/

現場で”cue”が、クリエイティブに活用されている例が寄せられている

Cueworksが、導入先から好評をいただいています。その実例をいくつかおしえていただけますか?

大倉:
まずは、昨年10月に開催された「ad:tech tokyo 2017」の運営公式アプリとして、コムエクスポジアムジャパン様が採用してくださいました。実際に現場スタッフ28名の方々に使って頂き、2日間の会期中に延べ100以上のタスクがこのCueworksを通じてやり取りされました。

大倉 誠一

白石:
私が驚いたのは、スタッフの方々が初めてだったにもかかわらず、思ったより悩まずに使いこなしてくれたことですね。マニュアルも用意しましたが、皆さん直感的に操ってくれたんですよね。自分の経験から言うと、通常朝早くから夜遅くまでの大きなイベントの場合、15時も過ぎると現場スタッフの顔に疲れがにじみ出てきます(苦笑)。でも今回の現場では、最後までスタッフが生き生きと笑顔で働いていました。 最後も「もう終わっちゃったんだ」といったコメントまで出ていたので、イベント運営の成功に加え、現場やチームの雰囲気をポジティブなものにする手助けができたんだなとわかりました。
他にも、なくしたものが見つかった時に、Cueworksで写真とか拾った場所の位置情報を共有したり、「偽造のチケットを持って入場する人がいるからこういう人に気をつけてください」といったブラックリスト的情報の共有など、使い方が工夫されていました。

西村:
あと、イベントの最近の傾向として、イベントディレクターが作るマニュアルに、イベントの目的が書かれていない、ということに気づきます。彼らは分厚い完璧なマニュアルを作ります。事故があったらこうしなさい、服装はこうしなさい、こういう笑顔をつくりなさい、とかね。でも、何のためにイベントをやるのか、つまり自分たちが何のために存在しているのか、という説明がまるで欠如しているのですよ。笑顔をつくらなきゃ、お客様には丁寧に接しなければ、とわかっていても、「じゃ、何のために笑顔をつくるんだっけ?」というのがわかってないので、「やればいいんでしょ」となる。

私は、イベントを預かるときには、cueで「こういう目的でやるんですよ」、「その目的を達成するためにこういう目標を立てます」「例えば一時間の間にこうしましょう」ということを明確にして共有します。何のためにやるかわかってくると、笑顔だとか、声出すとかなんていうのは自然に出てくるのです。 その目的に対して自分は動いているかということを感じるだけで、全然顔つきが変わります。私は、“cue”は、イベントの目的を共有するものでもあるべきと信じています。

西村 康朗(代表取締役)

おもてなしのプロ、ウェスティン ルスツ・リゾート様にも喜んでいただけましたね。

大倉:
総支配人の宮崎敦さんは、ホテルスタッフがインカムをぶら下げて話している姿を見て、「なんだかものものしいな」と常々感じていらしたようです。お客さまに対し、不要な緊張感を与えてしまいそうで、正直なんとかならんかな・・・と。そこに、Cueworks無料トライアルの話が飛び込んできて、「ぜひ、試してみたい!」とお申込みいただきました。最も効果的に活用できるシチュエーションやその使用方法について、総支配人自ら現場スタッフと密にディスカッションを重ねたようです。

ウェスティン ルスツ・リゾート 宮崎 敦さん

一流の大規模ホテルにおいては、思いきった決断ですよね。

西村:
ホテル内にはオフシーズンでも充席率が瞬間的に100%を超えることも多い3つのレストランがあり、それぞれへのお客様の誘導から使い初めていただきました。今までは1店ごとに空席を確認しながらの作業でしたが、1度のcueで同時にそれぞれのレストランの空きを確認できるようになり、業務効率が上がりました。

あと、総支配人の重要な任務のひとつに、ホテルご利用頻度の高いリピーターへの対応があります。普段は五月雨式においでになるのですが、朝ごはんの時間帯は比較的足並みが揃うため、その時がコミュニケーションのチャンス。スタッフが「今、●●様着席されています」と即座にcueを飛ばし、総支配人が直ちにご挨拶に行くということが今ではほぼ100%できているそうです。けっこうすごいですよね。
総支配人ご自身も、cueを貰うまで自由に、そして積極的に他のお客さまに対応することができるようになったとおっしゃっていました。

リピーターのお客様に対してのケア強化というのは大きな成果ですね。一方で、目下のスタッフから総支配人に“cueを出す”のはやりにくいものではないのでしょうか?

大倉:
いえ、むしろ「cueを貰った方が全然いい」とおっしゃっていました。総支配人ご自身も「スタッフが自分にcue出ししてくれるのを待つだけ」でいいので、今まで以上に自由に動けるようになったとおっしゃっています。それもスタッフと最適な運用方法を編み出して、一緒になって実践されているからこそだと思います。

白石 葵

白石:
あと、客室対応が向上したというお話も伺いました。現在このホテルでは、「サービスエキスプレス」という、ランドリー、シューシャイン、インルームダイニングなどを一度に全てのお客様のご要望にお応えするルームサービスの提供を始めています。
その際、ベルサービスタッフやルームサービスをしたスタッフが、任務を終えてフロントに戻る前に部屋番号のcue「今2010号室にます」をとばすだけで、「帰りに、20階でこれをピックアップしてくれないか」などそういう連絡がスムーズになる。お客様のリクエストにお応えした後、すぐにフロントに直帰するのではなく、途中に次のお客様のリクエストを申し伝えできるようにしたわけです。役割を果たしたスタッフは、フロントに戻ってcueを消せば、常にサービスエキスプレスがどこで稼働しているかがひと目でわかります。

年次の上下関係なく、若いスタッフも積極的にcueをとばす

とてもプロならではのクリエイティブな使い方ですね。スタッフの皆さんにはどのような変化があったのでしょう?

西村:
スタッフ一人ひとりが目の前で起きていることに対して、今までよりも積極的になり、一歩前に出るようになったと伺いました。cueを入力すれば、手元から一旦ボールを離すことができる。だから、目の前のことに集中できるようになったのだと思います。一人で何もかも抱えてしまうのではなく、何かあっても誰かがバックアップしてくれる。だから、一歩前に出ることができるのだと思うんです。チームの支えがあってこそ、スタッフは主体的に動けるのだ、と。
あと、若いスタッフはスマホを使うことが全然苦になってないため、宮崎さんが彼らと現場で話すきっかけもこのツールの導入からはじまったそうです。
この手のツールは、よく業務効率や数字の話で語られがちですが、「目の前の人をもてなす」というホテルマンとして極めて人間的な営みを実現するのに、 Cueworksを役立ててくださっているようで、開発側として大変うれしい限りです。

大倉:
私たちがウェスティン ルスツ・リゾーツへの導入をお手伝いして改めて認識したのは、その現場に行って「こういう使い方をしてみたらどうか」という提案をした上で、その場で仮説を試すことの重要さです。ベルサービスの方について行って一緒にお部屋をまわらせてもらったり、今ある運用方法のいくつかはこのようにして生まれました。
Cueworksはしょせん「道具」です。道具は結局、使い方次第なので、実際の現場に行ってその使われ方を開発者自身がチェックし、学びを得ることは道具作り、開発に欠かせないことです。

導入して終わり、ではなく、後のコンサルが重要なのですね。

西村:
いやいや、一緒にまわらせていただき、横でずっと見させてもらっているだけです。ただ、その都度「ここでは、こうやって使ったらいかがでしょう?」とご提案しています。
どんな場面でどういうふうに利用されているのかというのは、ある程度想像はできても、机上の空論。商品をお客様に提供して終わりではなく、ご協力いただき、さまざまな実証実験をさせていただいているという意識です。

Cueworksは、トランシーバーの代替品ではない

白石:
結局、色々使ってみると、Cueworksは、トランシーバーに取ってかわるものではないんですよね。音声でのやりとりには、リアルタイム性とかメリットも沢山あります。現場によってはトランシーバーもあっていい、音声もあっていいけど、テキストや画像もあっていい。この現場に一番効率的なコミュニケーションは何なのだろうと、模索しながら進めているところがありますね。

大倉:
そうですね。トランシーバーは指示内容が明確で、使う人同士がツーカーな体育会系的なノリの現場ではとてもパワフルなツールです。一方受け手の側に立つと、知らない者同士がゼロから関係を構築したり、利用者一人ひとりがのびのびと主体性を発揮するのにはあまり向いていないかもしれません。道具と使い方にはそれぞれ得意分野と不得意分野があるのだと思います。

Cueworkで、人々の働き方を変えたい。

大倉:
今後はこのアプリをベースに「人々のやりとりを集計し、データとして記録する」という機能を活かしてヒューマンリソース領域に踏み込めないか検討しています。たとえばログを分析して現場が抱える課題を浮き彫りにして、その解決に活かすようなことができるのではないかと考えています。

西村:
ここから何年かは、たぶん、「働き方改革」は経営課題のど真ん中になっていくはずなので、その一端を担うツールづくりをしていきたいです。「働き方改革」のメインテーマは、時短ではありません。AIが現場に入り込んでくることや、ベーシック・インカム制度的なモデルが導入され、働く人の環境やモチベーションが変わる時の、企業と従業員との関係づくりが課題になってくると思います。
このような環境下で、Cueworksが、全ての働く人たちの意識の部分に、何か一石を投じるようなものになっていけばいいですし、今後会社としても、Cueの仕組みで、誰もが働きやすくなるような、稼働しやすくなるような環境づくりの一助になっていけたらと思っています。

★8月8日、Cueworksサービスインのプレスリリースはこちら→http://www.hakuhodo.co.jp/archives/announcement/48778