博報堂DYグループのCSRは、生活者と社会の中に「新しい幸せ」を生み、つなげ、ともに広げていくことを基本理念として掲げています。このインタビューシリーズでは、生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現を目指し、日々の仕事の先に存在する社会課題に対して、自らの「クリエイティブの力」「伝える力」「一人ひとりの個性」を主体的に発揮しながら取り組んでいる社員たちの声をお届けします。

東京広告協会主催、大学生による意識調査プロジェクト「FUTURE」。

マーケティングスキルとチームビルディングを学生に伝授!

大学生意識調査プロジェクト「FUTURE」とは、大学生が広告やマーケティング&リサーチを実践的に学ぶことを目的に、東京広告協会の主催で1994年にスタートしたプロジェクトです。1994年にスタートして以来、博報堂の社員がアドバイザーとして技術指導にあたっています。23回目となる2017年度は「大学生のマナー」に関する意識調査を行い、大学生ならではのマナー意識を“忖度と損得”と名付けて12月に発表しました。

【2002年から本プロジェクトのアドバイザーを務めるストラテジックプラニング部吉田英一郎(中央/所属はインタビュー当時)、古賀晋(右)、今年度初参加のプロセスコンサルティング部の寺前慎太郎(左)】

大学生自らが調査の企画から分析、記者発表会を実施

吉田
「FUTURE」というプロジェクト名は、「Five Universities in Tokyo Uni-Research」に由来しています。私立大学で広告やマーケティングを学ぶ学生が毎年4月に集まり、アドバイザーと一緒に今年の調査テーマを話し合うことから始めます。決定したテーマをもとにした調査票を7月に作成し、首都圏の大学生1,000人を対象にしたアンケート調査を学生自らが行います。データ化された調査結果をもとに学生がさらに分析を行い、調査報告書としてまとめます。12月初旬には記者発表会を行っています。

【これまでの調査報告書】

古賀
2017年度は、青山学院大学、駒澤大学、上智大学、専修大学、千葉商科大学、日本大学の6つの大学から広告やマーケティングを学ぶ29人の学生が集い、4月のチーム発足から12月の発表会までの8ヵ月間、共にプロジェクトを進めてきました。毎週月曜日に赤坂の博報堂に集まり、博報堂社員と学生29人が顔を合わせて打ち合わせを重ねた時間はなかなか濃密です。

今年のメンバーが選んだテーマは「マナー」

大学生独自のマナー基準とは

吉田
ワールドカップで日本人サポーターが試合後にゴミを拾ったことが世界から賞賛された、というニュースは記憶に新しいですが、2020年 の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定に伴って、分煙やバリアフリーなど様々な対応が進んでいます。その一方で、「歩きスマホ」に代表されるテクノロジーの進化等によって露見した新たなマナーについて多く報道されるようになりました。まだ制度化されていないマナーに関して現在の大学生はどのような意識をもっているのだろうか。現在の大学生のマナーに関する意識を本調査によって紐解いていきました。

古賀
調査では、公共の場におけるマナーに関する一般常識や知識は兼ね備えている一方で、スマホ利用やSNSにおけるコミュニケーションを中心に世間とは異なるマナー観を持っていて、マナー違反か否か明確な判断がしにくい行動に対しても独自の判断基準をもっていることが明らかになりました。

【2017年度大学生による意識調査プロジェクトの結果より/詳しい調査結果はこちら

寺前
その他の分析結果では、「すぐに返信ができないとき、LINEの既読無視より、未読無視を選ぶ」「急ぎの返信が必要な場合は、誰かと会話中でもLINEの返信をする」など、学生は特に「友人・知人の目」を配慮した行動をとる傾向があることも見えてきました。また、「授業内容を正しく記録するため、板書・スライドをスマホで撮影する」「譲るべき人がいない場合に、優先席に座る」など、学生は効率化を優先し、マナーのグレーゾーンを合理的に解釈して許容していることも調査結果から読みとれています。

吉田
このように仮説に基づいた調査を行い、様々な分析をかけることによって、新たな発見があることを学生に実際に体験していただき、「マーケティングっておもしろい!」と感じてもらえたらと思います。

「発見に満ちたトレジャーハンティング」

マーケティングの醍醐味を学生たちに伝えたい

吉田
僕らストラテジックプラナー職には、得意先の課題を解決するための仮説を立て、それに基づいた戦略を立てるというミッションがあります。仮説に欠かせないのが「発見」です。

古賀
身の回りにあるさまざまな事象や現象への気づきから始まり、調査や分析によって「本当はこういうこと」という核心が見えたときは、やっぱり嬉しい瞬間ですよね。

吉田
このプロジェクトにも「発見」が満ちていて、トレジャーハンティングをしているような楽しさがあります。「こうなったらいい!」という想いや夢を戦略に盛り込んでいく過程が一番おもしろく、まさにマーケティングの醍醐味です。プロジェクトに参加する学生にもそれを実感していただきたいです。

プロジェクトを成功させるために必要なことは「チームの力」

吉田
博報堂では「粒ぞろいより、粒違い」と「チーム」という言葉を大切にしています。社員一人ひとりが異なる個性を持ち、そこから生まれる多様な発想のぶつかり合いが、今までになかった新しいアイデアを生みだす源泉だと考えているからです。共通の目的を実現するため、お互いに刺激し合い、認め合い、高め合っていくのがチームです。本プロジェクトは一連のマーケティングスキルを学ぶだけでなく、チームとしてプロジェクトを成功させるために学生一人ひとりが取り組むことが重要だと考えています。

寺前
12月の記者発表会では、MCのほか各1章ずつのプレゼンタ―がステージ上に立って発表を行うのですが、ステージに立てるのは6人だけです。そこで導入しているのがバディ制度です。バディ2人が1人のプレゼンタ―につき、当日に向けて手振りや目線、話し方などを厳しくアドバイスする役割を担います。バディは日に日にアドバイザーのような目線を持てるようになり、大きく成長していきます。

【2017年12月の記者発表会の様子】

吉田
ここ数年はプロジェクトのOBが参加し、指導を手伝ってくれます。代々続けて行くうちに、卒業生たちの連携が自然と出てきました。人と人とのつながりが宝物になることも、伝えていきたいと思っています。
もっと多くの学生にこのプロジェクトに興味を持っていただけるよう、互いに自由にアイデアを出し合いながら、何か新しい試みを始められたらとも思っています。

【2017年度に本プロジェクトに参加した学生のコメント】

代表 青山学院大学 沼田恵大(写真左)
今年のリーダーを務めましたが、リーダーには全体を見渡す広い視野とチームとして最大の成果を出すために何が必要かを考える力が求められているのだと痛感しました。また、アドバイザーの皆さんとプロジェクトメンバーに支えていただき、社会人になってどう働きたいかというイメージが自分の中ではっきりしました。

副代表 上智大学 坂下鈴奈(写真右)
このプロジェクトへの参加を通じて、自分の人生をどんな風に生きていきたか、どういう人間でいたいか、ということを改めて考え直すきっかけを与えてくれました。教えていただいた一つひとつのことが、自分を大きく成長させてくれたと思います。

【プロフィール】

吉田 英一郎(よしだ・えいいちろう)

2000年博報堂入社。
企業の戦略立案のみならず、商品/企業ブランディング、新商品開発、統合プラニング戦略の構築、国民運動の立ち上げ等、さまざまな領域を得意とする。本インタビュー当時は第一プラニング局シニアストラテジックプラニングディレクター。現在は、経営企画局に所属。

古賀 晋(こが・すすむ)

2004年博報堂入社。
ブランディング部門を経て、現在は第三プラニング局ストラテジックプラニングにて国内外の企業のブランディングおよびマーケティングを担当。

寺前 慎太郎(てらまえ・しんたろう)

2014年博報堂入社。
企業のマーケティング戦略立案に携わり、2017年よりマーケティングシステムコンサルティング局プロセスコンサルティング部にてクライアントのマーケティング、コミュニケーションの仕組み作りを支援。