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ヒット習慣予報 vol.14『思い出しテイメント』

2018.03.06
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの濱谷です。

コラムは3周目に差し掛かりました。ちらほらと、「コラム読んでいます!」という声を聞くこともあり、嬉しい限りです。メンバー一同、3周目で早くもネタが尽きかけておりますが、頑張ります。読者の皆さん、これは今後きそうだ!というネタがあれば、こっそり知り合いのメンバーに教えてください笑。

さて、第14回目のテーマは、「思い出しテイメント」です。
デジタル上で何でも記録しておける時代に、そのログを見返して、楽しむ習慣です。

具体的なエピソードでは、会社の後輩で、グルメサイトで行った店を記録しておき、寝る前に行った店を見返すことが何よりの楽しみだという人がいました。僕自身も、移動中の空き時間に、google map上に表示される、自分が行った店を見て、「あー、あの時友達とこの店行ってこんな話したな」と懐かしい気持ちになることがあります。
あと、ヒット習慣メンバーズの中にも、見た映画を記録しておくアプリを入れて、「見た映画コレクション」を眺めることが好きな人もいました。映画コレクションに関しては、僕も使ってみましたが、見た時の状況が鮮明に蘇ってくるのでおすすめです。

かつては撮り貯めた写真を見返して楽しむぐらいでしたが、このように、レストランや映画など、趣味に関することを記録して見返す習慣がくるのではないかな、と予想します。

少し前から、SNS上で、「●年前のこの日」の投稿をシェアする機能が追加されましたが、これはデジタル上で、昔のことを見返して懐かしみたい欲求に応えるものだと思います。

では、なぜ、このようにデジタル上の記録を見返して楽しむようになっているのでしょうか。

1つは、「過去に対する意識の高まり」です。かつて、経済成長を続けていた時代では、未来は過去よりも便利な時代になり、あれがほしい/こういう生活が送りたい、と欲求や意識は未来に向いていました。今は、過去も十分に良い時代で、逆に未来にそれほど希望が見いだせず、過去に意識が向くようになっていると感じます。
定期的に同窓会を開いて、昔の友達とずっと仲良くしていたり、昔憧れていたスニーカーを大人になってから買っていたりなど、過去を大切にする意識や行動って、「思い出しテイメント」以外にも見られるトレンドかなと思います。

もう1つは、「記録コストの低下」です。容量無制限の写真保存アプリがあったり、前述の通り、食事や映画など、趣味に関する記録をするアプリが出てきたり、記録することが安価で、手軽にできるようになっています。これにより、思い出として見返す先であるデジタル上の記録の幅が増えていることも、「思い出しテイメント」習慣が増えている一因だと考えます。

さらに、「思い出しテイメント」をより定着させるために必要なことに想いを巡らせてみました。ビジュアル的に優れたインターフェースにすること、はもちろんですが、「時間の記録・表示」が意外と重要なのではないか、と思います。ログを見て楽しむ時って、“あの時に”こんなことがあったな、という思いになる気がします。いつ時点のものだったかが分かると、より楽しみが増幅されるのではないでしょうか。この観点では、SNS上の「●年前のこの日」は、●年前という表示がうまくインサイトを突いているな、と思いました。

さて、今までのヒット習慣予報と同様に、「思い出しテイメント」にも色々なビジネスチャンスがあると考えます。

「思い出しテイメント」のビジネスチャンスの例
■ お気に入りの服を記録して、デジタル上でコレクションしておくアプリ。
■ 航空会社/旅行会社のアプリが、過去搭乗した飛行機や座席を記録しておく機能を実装。
■ 名刺管理アプリが、「過去の仕事」を記録しておく機能を実装。など

この記事にちょっとでも興味を持っていただけたなら、皆さんも、今好きなことや趣味を記録してみてください。ドラマ好きの僕は、見ているドラマを記録していこうと思います。

濱谷 健史(はまたに・けんじ)
第三プラニング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2010年 シンクタンクに入社し、2014年 博報堂に中途入社。
ヒット商品やヒット習慣を作りたいと願いつつ、日々マーケティング/コミュニケーション立案に取り組む。2000年代のドラマ好きで、おすすめは「僕の生きる道」と「華麗なる一族」。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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