今年で20周年を迎えたADFEST 2017(以下、アドフェスト)が3月22から25日まで、タイ・パタヤにて開催され、博報堂アジア・パシフィックのWOON HOH(ウーン・ホー)、博報堂インドネシアのKOK KEONG CHOW(コック・キョン・チャウ)、博報堂の松井美樹、博報堂DYメディアパートナーズの嶋田三四郎の4名が審査員を務めました。

以下、4名が審査員を務めた各部門のグランプリ受賞作品と受賞の秘訣、審査員ならではの視点をご紹介します。

■DIRECT LOTUS & PROMO LOTUS部門-審査委員長

WOON HOH(ウーン・ホー)

博報堂アジア・パシフィック
チーフクリエイティブオフィサー

ダイレクト・ロータス部門のグランプリは、サムスンの『Touchable Ink』に輝きました。『Touchable Ink』とは、視覚障害者のための点字を立体的に印刷できる「触れるインク」という意味です。この作品の優れた点は、生活者とブランドの会話を生み出し、イノベーティブで人間味のあるブランドイメージを醸成し、サムスンに対する生活者のポジティブなダイレクトレスポンスを創出した点にあります。

プロモ・ロータス部門のグランプリは、伝統的メディアのひとつであるラジオを使って、ターゲットである若者層向けのブランドプロモーションを成功させたNESCAFÉの『Dead hour in India』が受賞しました。エージェンシーが主導権を持って、ラジオリスナーのいない時間帯「Dead hour」を利用した若者層向けの番組(ユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツ)を創り出した秀逸な作品です。そして、職場や学校で強いプレッシャーを感じている若者層をラジオ局に招き、彼らの怒りをオンエアーするというアイデアで、番組への参加を促し、紅茶嗜好の彼らをコーヒー嗜好にシフトすることにも成功しました。

この2つの部門の受賞の秘訣について言えば、「斬新」、「イノベーティブ」、「シンプル」かつ、「洞察力がある」ことが重要だと思います。特に今年は、それがよりよい生活につながるアイデアになっているか、がキーであったと思います。

DIRECT LOTUS部門グランプリ

THAI SAMSUNG ELECTRONICS / THAI ASSOCIATION OF THE BLIND『TOUCHABLE INK』(J. WALTER THOMPSON/タイ・バンコク)
http://www.adfest.com/winners2017_showcase.php?category=3
(注)動画URLは、公式サイトで一定期間閲覧可能。

PROMO LOTUS部門グランプリ

NESCAFÉ『THE DEAD HOUR BY NESCAFÉ』(MCCANN WORLDGROUP/インド・ムンバイ)
http://www.adfest.com/winners2017_showcase.php?category=18
(注)動画URLは、公式サイトで一定期間閲覧可能。

■INTEGRATED LOTUS/INNOVA LOTUS/LOTUS ROOTS部門

INTEGRATED LOTUS部門グランプリ
ADIDAS『ADIDAS ODDS』(TAPROOT DENTSU/インド・ムンバイ)

INNOVA LOTUS部門グランプリ

TOYOTA I-ROAD『SMILE LOCK OUTLET』(電通/日本・東京)
http://www.adfest.com/winners2017_showcase.php?category=7
(注)動画URLは、公式サイトで一定期間閲覧可能。

LOTUS ROOTS部門

CAMPAIGN AGAINST THE RETURN OF THE MARCOSES TO MALACAÑANG (CARMMA)『CORRECTING HISTORY』(TBWA\SANTIAGO MANGADA PUNO/フィリピン・マニラ)http://www.adfest.com/winners2017_showcase.php?category=11
(注)動画URLは、公式サイトで一定期間閲覧可能。

■DESIGN LOTUS & PRINT CRAFT LOTUS部門-審査員

KOK KEONG CHOW(コック・キョン・チャウ)

博報堂インドネシア
エグゼクティブクリエイティブディレクター

私は、デザイン・ロータス部門のグランプリを受賞したAP社(タイの大手不動産ディベロッパー)の『THE UNUSUAL FOOTBALL FIELD』がとても気に入っています。『THE UNUSUAL FOOTBALL FIELD』とは長方形ではないいびつな形のサッカー場という意味です。AP社は人口密集エリアの限られた空きスペースに、人々が潜在的に望んでいた集いの場を造ったことで、高い評価を得て人々とブランドの関係を築きました。7人の審査員による最終的な議論で、「このキャンペーンはデザインの領域をはるかに越えた、目的を持って社会課題を解決するアイディアである」という結論に至りました。

デザイン・ロータス部門とプリントクラフト・ロータス部門受賞の秘訣について言えば、この部門はクラフトが非常に重要であるという点です。優れたアイデアでも、クラフトのせいでそのアイデアが殺されてしまうケースもあります。プレゼンテーションボードや、サポートマテリアル(実物大のポスターや実際の商品など)は、重要な審査の参考になります。サポートマテリアルは完璧に仕上げることを心がけていただくとよいと思います。

DESIGN LOTUS部門グランプリ

AP (THAILAND) PUBLIC COMPANY LIMITED『THE UNUSUAL FOOTBALL FIELD』(CJ WORX/タイ・バンコク)
http://www.adfest.com/winners2017_showcase.php?category=2
(注)動画URLは、公式サイトで一定期間閲覧可能。

PRINT CRAFT LOTUS部門グランプリ

該当なし

■FILM LOTUS & RADIO LOTUS部門-審査員

松井 美樹

博報堂
統合プラニング局長
エグゼクティブクリエイティブディレクター

フィルム部門では、博報堂グループからグランプリ候補が生まれました。3つの金からグランプリを選ぶ際、審査員の何人かが、パーキンソン病への募金を募るCMこそグランプリと推しました。パーキンソン病の症状を軽減するための、脳深部を刺激する手術のリアルな映像を使いつつ、人類はまだパーキンソン病を克服できていないと語るのだが、なんとカメラが回り込むと、そのナレーションは手術をまさに受けている患者が語っているという、ショッキングなCMです。

ルールとしてパブリック目的のカテゴリーからグランプリは出せないとなり、TBWA\HAKUHODOが作ったリリカルスクールのPVが、次のグランプリ候補に躍り出ました。フィルムをテレビだけで見る時代は過去となり、今、スマホが動画の主役になろうとしている。それをまさに祝福するかのようなフィルムがアジアから生まれたことに審査員たちは興奮しました。しかし、議論が熟した時に審査員長はこう言いました。「新しさは確かにある。しかし、世の中を動かす大きなアイデアがあったか?グランプリなしも取り得る選択肢なのでは?」

グランプリなしの結論に、僕以外の審査員全員が賛成しました。リリカルスクールは、すぐれた金だが、グランプリではないという結果となりました。博報堂グループからのグランプリはなくなりました。そして、世界の頂点を目指すためには欠かせない、”新しさ”と”大きなアイデア”の両立という宿題が僕たちの手元に残されたと感じました。

FILM LOTUS部門グランプリ

該当なし

RADIO LOTUS部門グランプリ

該当なし

■MEDIA LOTUS & EFFECTIVE LOTUS部門-審査員

嶋田 三四郎

博報堂DYメディアパートナーズ
メディア・コンテンツクリエイティブセンター
エグゼクティブ マネージャー

今回「ADFEST2017」で、「MEDIA LOTUS & EFFECTIVE LOTUS」という性質の全く違う2つの部門の審査員を努めさせていただきました。エントリーする側としては見えなかった…「審査員側の視点」から見えた事を今回はレポートさせていただきたいと思います。

■MEDIA LOTUS審査のポイント

「メディアライク × サブカテゴリーライク」による“ 合わせ技1本 ”!!

「我々はクラフトを競う部門ではない…メディアの部門である!」「だからこそ、アイデアが、メディアを活かした仕上げになっているかが重要!」といった「メディア部門」としてのアイデンティティと、16個ある「サブカテゴリーらしさ」がうまく掛け合わさっている事が、審査の重要なポイントとなりました。

MEDIA LOTUS部門グランプリ

AP (THAILAND) PUBLIC COMPANY LIMITED『THE UNUSUAL FOOTBALL FIELD』(CJ WORX/タイ・バンコク)
http://www.adfest.com/winners2017_showcase.php?category=12
(注)動画URLは、公式サイトで一定期間閲覧可能。

タイ大手のディベロッパー「AP Thailand」によるプロジェクトで、バンコクの人口密集地域のいびつな形の空地スペースをサッカー場にしてしまった!という内容。いわゆる長方形ではなく、台形だったり、直角に曲がってたり…通常の発想だとサッカー場にならないような場所でも、サッカーを楽しむには充分なスペースであり、地域の人が集り、皆が未来に向けて勝ち負けではない純粋なサッカーを楽しめる場所になるという、スペース自体をメディアととらえ、無→有への大胆な価値転換をスケールの大きい仕掛けで行ったこの作品は、まさにGRANDE(グランプリに相当)に値すると審査員一同賞賛の嵐!

■EFFECTIVE LOTUS審査のポイント

「STRATEGYとCREATIVITYとRESULT」の“HARMONY”!

「EFFECTIVE」というと…「効果・効率だけを見る部門?!」と思いがちだったのですが、そうでもなく…重要だったのは審査の基準ともなっている「STRATEGY:33.3%」「CREATIVITY:33.3%」「RESULT:33.3%」という調和の取れたバランスでした。

EFFECTIVE LOTUS部門グランプリ

ICE POPS “GARIGARIKUN”『OJIGI』(電通/日本・大阪)
http://www.adfest.com/winners2017_showcase.php?category=4
(注)動画URLは、公式サイトで一定期間閲覧可能。

このキャンペーンは、もう知っている人も多いと思うので、内容は省略させていただきますが、「STRATEGY と CREATIVITY とRESULT」に秀逸な“HARMONY”があると同時に、全ての要素に、日本らしさとユーモアが加わっている点で、他より秀でていたという総評でした!

アドフェスト2017 アーカイブ

博報堂グループが第20回アジア太平洋広告祭(ADFEST2017)にて 部門最高賞であるグランデ1つを獲得 -全体としてはグランデ1、金7、銀12、銅11を受賞-

【アドフェスト2017】博報堂アジア・パシフィックのWOON HOH(ウーン・ホー)CCOが、DIRECT LOTUS & PROMO LOTUS部門の審査委員長に。その他、博報堂DYグループから3名が審査員に決定。