■ 高まる社会不安の中、晩婚化や未婚化を背景に一人で過ごす時間は増加傾向

■「友人は多ければ多いほどよい」という意識は 約6割から約3割へと半減

■「人脈拡張」から「友達選別」へ、友達の意味を問い直すべく人間関係の再編が始まる

 

2013年12月4日

 

博報堂生活総合研究所は、毎年末に翌年以降の生活者動向を予測する「生活動力」を発表しています。今回、2014年に向けて提言するテーマは「インフラ友達」です。単身世帯が全世帯の三分の一を占め、血縁・地縁が薄まる中、人間関係の再構築は喫緊の生活課題です。当研究所は、先行き不透明な時代を生き抜くため、信頼でつながり、日常の様々なシーンで、生活の土台として機能を果たす「かけがえのない使える人々」を「インフラ友達」と名付けました。この20年間友達の数は増え続けていますが、一方で「友人の数は多ければ多いほどよい」と考える生活者の割合は減り続けています。人間関係を選別し、インフラ友達とともに自らの生活の質を高めようとする生活者の実態とポテンシャルについて、考察した内容をご報告いたします。

※下記の内容はニュースリリースに詳細をまとめています。
 ニュースリリースはこちらから(PDF)

 

1. 友達関係は量から質へ

● 高まる社会不安の中、一人で過ごす時間は増加

・将来保障への満足度は 3.8% に
『生活定点』調査によれば、1992年から2012年までの20年間で「将来の保障(年金・保険など)」への満足度は15.5%から3.8%に大きく減退。また「経済的繁栄」という日本への誇りも3分の1以下(45.4%→13.7%)に低下。さらに「社会の安定」という誇りも2分の1以下(39.7%→18.5%)に下落しました。かつては頼りになっていた公への安心感の崩壊。生活者は、不安やストレスの行き場を公に求めることも難しくなっています。

・増える単独行動。 一人で過ごす時間は 5時間20分/日 に
かつてないほど、日本人の一人で過ごす時間が長くなっています。この15年間で晩婚化や未婚化が進行。総務省『社会生活基本調査』によると、日本人(10歳以上)一人当たりの一日における「一人で過ごす時間(睡眠除く)」の平均値は1996年から2011年までの15年間で約30分(4時間49分→5時間20分)伸び、単独行動が増えています。

 

●「友人は多ければ多いほどよい」という意識は 約6割から約3割へと半減

今、人は世界中の人と簡単に友達になれる時代です。ソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)や、社会貢献活動、趣味のサークルなど、バーチャルな場でもリアルな場でも知り合えば、「友達リクエスト」を送ったり、連絡先を交換したりして、「友達」になることができます。事実、この20年間で友達の数は増え続けています。一方、『生活定点』調査によれば、この世相とは逆行するかのように「友人は多ければ多いほどよいと思う」という回答率は、大幅に下降しています。拡張を続ける人脈の中で、人々は「誰を友として生きるか」を、真剣に模索し始めているのです。                                                                                                            出典:博報堂生活総合研究所
                                                                                                            生活定点調査 n=3,232

 

2.「かけがえのない使える人々」インフラ友達の誕生

●「人脈拡張」から「友達選別」へ

1990年代に入り、携帯電話とインターネットが普及。2000年代に入りSNSなどのサービスが登場し、インターネット上で交流することが容易になりました。こうした環境変化のもと、生活者が意識的に、時には積極的に人脈を拡張してきました。しかし、人脈を拡張させればさせるほど、友達の概念は曖昧化し、相手を理解するほどの関係性が構築できないというジレンマに陥るようになりました。社会不安が高まる中、友達の意味を問い直すべく人間関係の再編がはじまっています。

●「インフラ友達」と前途多難な社会を生き抜く

生活者は日々の暮らしの土台を支えあえるかどうかという視点で友達を選別し、改めて信頼できる人間関係を再構築しようとしています。暮らしの土台を支えあい交わり、生活の骨格となるような友達が【インフラ友達】です。

それは、表層的な知り合い関係を超え、互いが互いを生きる土台(インフラストラクチャー)と呼べるような関係性です。土台というと、あらゆる機能を備えている大きな存在で、一人いれば十分と思われるかもしれませんが、そうではありません。一人の友達が果たす機能の数は一つか二つ程度です。たとえば、風邪をひいたら面倒を看に来てくれる友達、災害時にバッテリーや井戸水を分けあう友達、高齢者のケアや子育てを支援しあう友達など、自分のライフスタイルに応じて、多種多様なインフラ友達とともに、生活の土台を整備します。そして、複数人の友達を持つほど、生活の土台は盤石になります。

こうした彼らは生活者にとって、この前途多難な社会を生き抜くための「かけがえのない使える人々」ともいえるのです。

 

3. 生活者が欲しいのは「避難所友」「教友」「命友」

以下は、当研究所がおこなった友達に関する調査(※)から、「欲しい」と回答したインフラ友達のランキング表です。当研究所がおこなった友達に関する調査より、生活者の欲求が高かったのは以下のとおり。

(※)どのようなインフラ友達の形が考えられるか、生活総合研究所内でアイデアブレストをおこない、数多くのアイデアの中から、注目されるであろう50個をセレクト、性年代別に調査しています。詳細はニュースリリース(PDF)の「生活者が欲しいインフラ友達ランキング50」をご参照ください。

・大災害時に、避難所的に受け入れてくれる「避難所友」が欲しい率:55.0%
・生活の質を上げる知恵を教えてくれる「教友」が欲しい率:52.6%
・生きるのがつらいときに活力を与えてくれる「命友」が欲しい率:49.9%

 

4. インフラ友達から考える未来仮説

インフラ友達の登場は、社会や市場を変えていくと思われます。企業や行政には、インフラ友達の「生活のマイナスやネガティブな側面をカバーしてくれる機能」を活用しながら、社会課題解決のためのシステムを開発することが重要になってくるでしょう。また、インフラ友達の「毎日を意欲的に過ごし、何かにチャレンジしようとする時に、力になってくれる」機能を活用しながら、生活や人生の質の向上に貢献するための商品やサービスを開発することも求められるでしょう。

友達減税
介護保険等、国や地方が提供するサービス部分を、友達にお願いできた場合、その分を減税措置。介護する人も、被介護者も優遇される。

お歳暮リノベーション
お歳暮は従来、仕事上での儀礼として贈りあっていたが、その文化は徐々に下火に。しかし友達への日常的なプレゼントは増えている。そこで、インフラ友達への感謝の気持ちを伝える手段としてお歳暮を活用。従来のお歳暮商品だけでなく、地場の特産品や相手が喜ぶモノ、サービス、コンテンツを贈りあうマーケットが生まれるだろう。

友達発電所
電気自動車が普及すると、行く先ざきで補充が非常に重要になる。その際に、各地に電力補充友達がいればとても便利。電力補充ネットワークが全国に結ばれたり、友達数人で集まってソーラーパネルを設置したり、電力を融通し合うようなサービスが生まれる。

複数人登録自動車
自動車は、土地と違って、複数人で共有登録はできない。それができるようになれば、自分ではたまにしか乗らないからクルマを買わないという人でも、クルマを買うかもしれない。他人のクルマを借りるのは気が引けるという人も、気兼ねなく運転できる。クルマのシェア社会をデザイン。

レスキュ友アプリ
事前に、どの友達に何を助けてもらいたいかを、このアプリケーションに登録しておくと、緊急事態にクリックするだけで、電話やSNS経由で、即時に友達に連絡がいくシステムになっている。警察や病院などの代替サービスとして機能したり、必要以上に警察や病院に問い合わせてしまうトラブルの回避に貢献。

インフラ友達相談所
結婚相談所のインフラ友達版。自分の悩みや困っていること、夢などを、自分のプロフィールや経歴と併せて登録。その悩みや夢に共感した人やサポートしたいと思う人たちが相談所にオファーを出す。その際、相談所は両者が合うかどうかを見極めてマッチングする。

クリーニング店が「着まわし仲間」の共有クローゼットに
「着まわし仲間」と服をシェアすると、使用頻度が高まり汚れやすくなったり、他人の汚れが気になったりするためクリーニングが必要となる。クリーニング店は新たなサービスとして服をシェアするための共有クローゼット機能を持つ。それは「着まわし仲間」の間で服を保管、デリバリーし使用後にクリーニングするためのサービス。

 

※上記の内容はニュースリリースに詳細をまとめています。
 ニュースリリースはこちらから(PDF)