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ヒット習慣予報 vol.45『パーパスマッチング』

2018.10.16
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの植月です。
夏の猛暑から一変して、肌寒い日が続いていますね。
そうして冬が近づくに連れて、人肌も恋しくなってくるもの……ということで、私の周囲では、暖かい冬を迎えるために出会いを求める人も増えてきました。

今回のテーマは、そんな出会いにまつわる「パーパスマッチング」のお話です。マッチングアプリといえば、恋愛目的で利用することが一般的ですが、最近では恋愛以外の出会いを求めてマッチングアプリを利用する人が増えています。

一昔前までは、“出会い系”と呼ばれて敬遠されがちだったマッチングアプリですが、現在では20~30代の5人に1人が使ったことのあるツールとなっています。(MMD研究所調べ)

もはや物珍しいものではなく、恋愛相手を探し求める際の選択肢として自然と浮上するようになったマッチングアプリ。しかし、一部では、恋愛ではない別の目的を持って、マッチングアプリを利用している人がいるようです。
その一例が、就職活動時のOB・OG訪問。
マッチングアプリは、SNSと連携しないと利用できないものも多いため、人によっては勤め先の企業名もしくは業界名が公開されていることがあります。それを基準に、就活生が相手を選別し、自身の志望する業界や企業の方とマッチングできたら、会ってお仕事の話を聞いたり就職活動の相談にのってもらったりしているのです。

他にも、一種の習い事として利用しているパターンもあります。
例えば、英語を学びたいと思っている人が、英語圏で育った方や外国の方とマッチングして、実際に会って英会話を楽しむというものです。そうして、その後も英語で連絡を取り続けたり、何度か会ってお話ししたりすることもあるといいます。恋人探しのみでなく、このような友達づくりにも広く活用されているようです。

また、実際に試しやすそうなものは、旅行時の現地住民との交流です。
マッチングアプリの中には、スマートフォンの位置情報を元に、周辺の人のみを表示してくれるものもあります。旅行時に、そのようなマッチングアプリを起動することで、そのマッチングアプリを利用している現地の方にめぐり合うことができるのです。そして、現地人のみぞ知る絶景スポットを教えてもらったり、おすすめの飲食店に連れて行ってもらったりできます。このように、旅行の醍醐味である、一期一会の出会いを自ら創り出すことも楽しいかもしれませんね。

では、なぜ「恋愛マッチングアプリ」を恋愛以外の用途で利用する人が増えつつあるのでしょうか?
理由は大きく2つあると考えられます。
1つ目は、利用者の幅の広さです。前述したとおり、近年は利用経験者も多く普及してきているゆえに、ユーザーにも色々な属性や趣味を持つ方がいます。だからこそ、マッチングアプリは “一緒に△△について語り合える友達がほしい”などのニッチなニーズにまで応えてくれるポテンシャルがあると利用者は考え、実際にアプローチし始めたのではないでしょうか?

2つ目は、程よい他人感です。マッチングアプリの利用が多い20~30代は、いわゆるミレニアル世代です。SNSに慣れ親しんで育ったからこそ、知り合いには忖度し、見知らぬ人とは気軽に話せる傾向があります。マッチングアプリでは、SNSの友達が表示されないよう設定できる場合が多く、基本的には初対面の人との出会いを前提としているため、ちょっとしたお願い事もしやすいという理由で、恋愛目的以外でも利用されているのかもしれません。

最後に、「パーパスマッチング」のビジネスチャンスについて考えてみました。
需要と供給が存在するところすべてにマッチングの可能性があるため、下記のようなことが考えられるのではないでしょうか?

◎「パーパスマッチング」のビジネスチャンスの例
■位置情報探知機能と翻訳機能を兼ね備えた、旅行時の現地交流専用ツールの開発。
■「食材を腐らせてしまいそうな人」×「金欠だけど料理は得意な人」をマッチングさせ、後者が調理して一緒にご飯を食べることを目的としたアプリの製作。
■自分の居住地域と趣味を選択し、近くに住んでいる同趣味の人をめぐり合わせるアプリの製作。
など

恋愛目的で利用している方に差し支えない範囲で、自分のコミュニティを広げるためにマッチングアプリを利用してみるという手もあるかもしれませんね。

植月ひかる(うえつき・ひかる)
統合プラニング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2017年 博報堂に入社。
2年目のマーケターとして、社会の荒波に揉まれながら、社会に新たな潮流をつくることを夢見て奮闘中。最近は、キュンキュンを求めてひたすらドラマと少女漫画を見ています。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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