7月末、新潟日報メディアシップにて「新潟の食の付加価値を考えるセミナー」が開催され、ブランドたまご編集長の岡田庄生が登壇。モノがあふれている現代において、新しいブランドを立ち上げることは容易ではないなか、従来の「営業」や「マーケティング」の常識にとらわれず、生活者がつい買いたくなるようなアイデアを生み出すための発想転換や、ブラたまでものづくり企業を取材して見えてきた、既存の資産を活かした日本流ブランディングの手法について、具体的な事例とともに紹介しました。

発想の転換が新しい市場を広げる

まずは「発想の転換が新しい市場を広げる」をテーマに、博報堂の大切にしている「生活者発想」、そして博報堂ブランド・イノベーションデザインの考える「ブランド」の定義について解説。ブランドとは高級品のことではなく、「社会にとって有意義な、魅力ある個性=らしさである」と定義したうえで、「ブランドたまご」のコンセプト紹介に続きます。

ブラたまでは、日本の伝統から生まれた新しいイノベーション・ブランドから、これからのブランディングのヒントを探っているため、取材先の選定基準として、「生まれて5~10年以内」「日本の伝統的な技術・職人・素材を活かす」「その業界や社会に一石を投じている」としていることを解説しました。

特に生まれて数年以内のブランドは、立ち上げたときは盛り上がりをみせますが、一度落ち込む時期が少なからずやってきます。ブラたま編集部ではそれを「悩みの沼」と呼び、そこを抜けた1→10のフェーズにあるブランドに焦点をあてています。

さらに35件以上の取材を通じてみえてきた、それぞれのブランドがもつ3つの要素「志・形・属」(詳しくはこちら)について、具体的に紹介していきます。

まずは神戸マッチ「hibi」(第2回 / 擦る、香る。五感マッチ 「hibi」)。市場が減少し、不発商品があったなか「マッチを擦る行為を残すことが使命だ」と発想転換し、お香メーカーと3年がかりで“マッチのように擦るお香”を開発、代官山蔦屋のバイヤーの紹介をきっかけに大ヒットとなりました。
その「hibi」の3つの要素について、【志】はマッチを“擦る”行為を伝え、人間が“火”を知る機会を提供したこと、【形】はなじみのあるマッチ型・10分間のアロマにしたこと、【属】は兵庫県の会社とのタッグ・蔦屋書店とのコラボ、というポイントがあったと岡田編集長。そのほかの事例として、「フロートレモンティー」「筒井時正玩具花火製造所」「さぬきマルベリーティー」をあげていきました。

そしてブランドたまごの3つの要素の具体的な特徴として、【志】は自社都合ではなく社会的な価値を目指していたり、業界の常識や現代の社会に対して、一石を投じていること。【形】は、見た瞬間「ワクワク」すること、志を反映した一貫したデザインになっていること。【属】は、身近に関わる人(生産者、流通、社員…)に還元できていること、身近な人からお客さんに至るまで、ブランドの思いが熱量を落とさずに共有できていること、と考察を語りました。

発想転換はどのようにして生まれるのか。
新しいブランドづくりの成功の秘訣とは

では、35件以上の取材先を通してみえてきた「ブランドたまご」が生まれるまでの秘訣とはーー。岡田編集長からはまず「強いブランドの志には、A→Bの発想転換があり、その発想転換のもとは作り手の信念と義憤から生まれている」と続けます。

その発想転換には、「カテゴリ範囲を一段上に上げる」「作る工程に価値を見出す」「単品だからこそ価値になる」「たくさんの選択肢を提示する」「長い時間で捉え直す」の5つのパターンがあると解説。それぞれのパターンにあてはまる、取材先の事例を紹介していきました。

発想転換が起こる背景である作り手の信念や義憤が生まれるきっかけについては、自分自身や家族、お客さん、昔の偉人、同業・同世代の経営者など、さまざまな相手との対話にあると指摘します。

さらに、魅力的な発想転換がみつかれば、デザイン的に奇をてらわずに「伝わるデザイン」にすること、ブランドに共感してくれるファンを集める「ブランドの仲間づくり」をし、うまく「情報発信」をしていくことが新しいブランドを成功させる秘訣であるとまとめました。
最後には参加者や主催者の方からの活発な質疑応答もあり、セミナーは盛況のうちに幕を閉じました。

>>博報堂ブランド・イノベーションデザインについて詳しくはこちら

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