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ヒット習慣予報 vol.25 『おやすみ前のひと手間』

2018.05.29
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの栗田です。
5月に入り、東京でも気温が30°近くまで上がる日が続き、いよいよ夏の到来といった感じですね。夏は、音楽フェスがあったり、花火大会があったり、ビールが美味しかったり、楽しみが多い季節ですが、その反面、夏の夜は「暑くてなかなか寝付けない」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

さて、今回のテーマは、そんな、寝付きにくい夏の夜におすすめの「おやすみ前のひと手間」です。おやすみ前のひと手間とは、寝る前にちょっとした工夫(ひと手間)を行うことで、「睡眠の質を高める」という新習慣です。ここ最近、寝る前の食事の仕方や、ベッドでリラックスするための商品に関する記事やSNS投稿が多く見られるようになりました。例えば、「快眠フード」と言って、寝る前に小腹が空いた時に食べるとよい食事(レシピ)や、化粧品メーカーが「おやすみ前のフレグランス」として、リラックス効果のあるナイトミストを発売したりしています。また、音楽のサブスクリプションサービスでも「おやすみ前の優しい音楽」といったように、睡眠をサポートするプレイリストが多く見受けられます。

Googleトレンドで「睡眠の質」というキーワードで検索傾向を分析してみても、じわじわと検索数が上昇しており、睡眠の質に対して、生活者の意識が高まっていることが伺えます。

※出典:Googleトレンド

ではなぜ今、「おやすみ前のひと手間」が増えているのでしょうか。
その理由の一つとして、「睡眠負債」という言葉が話題になったことがあげられるのではないかと考えています。睡眠負債とは、普段6〜7時間寝て自分では睡眠は十分と思っている人でも、わずかな睡眠不足が蓄積する睡眠負債によって、日々の活動のパフォーマンスが劣化したりしているというもので、毎日6時間の睡眠が2週間続くと、2晩徹夜したのと同じ脳の状態になることが判明したという研究もあるそうです。そして昨年、この睡眠負債に関する書籍がベストセラーになったり、TVで特集されたりしたことがきっかけで、生活者の睡眠の質に対する危機意識が高まったため、「手軽にはじめられるワンアクション」として、快眠フードや、おやすみ前のフレグランスなどが取り入れられているのではないかと考えています。

Googleトレンドで「睡眠負債」というキーワードで検索傾向を分析してみると、昨年の6月ごろから、検索数が急上昇していることが伺えます。

※出典:Googleトレンド

また、もう一つの理由として、「生活習慣を正常化する」流れがあるのではないかと考えています。本コラムでも、過去に「朝たんぱく食」や「マイクロ昼寝」、「仕事合間のジム通い」、「朝のちょこちょこ掃除」など、生活習慣を正常化するような新習慣をご紹介させていただきましたが、このような新習慣の一環として、おやすみ前のひと手間が取り入れられているのではないでしょうか。

ソーシャルリスニングをしていると、最近、アプリやスマートウォッチを使って、「自分の睡眠(睡眠サイクルや寝返りの数など)を管理」したり、スマートスピーカーを通じて、寝る前にヒーリングミュージック(波の音など)を聴いたりしている人が増えてきているため、デジタルデバイスを活用して、睡眠の質を高めていくという動きも今後もっと出てくるのではないかと思います。

ということで、「おやすみ前のひと手間」はこれからヒット習慣になる可能性があると思い、いろいろなカテゴリーでのビジネスチャンスを考えてみました。

「おやすみ前のひと手間」から想定するビジネスチャンスの例
■飲料メーカーがおやすみ前にほっと一息つける飲料を発売する。
■トイレタリーメーカーがおやすみ前の入浴剤を発売する。
■テレビ局やラジオ局が眠りをサポートするヒーリングコンテンツを制作する。
など

ついつい、寝る前はお酒(特にビール)を飲んでしまいがちな私ですが、睡眠の質を高めるような、おやすみ前のひと手間を実践してみたいと思います。ぜひみなさんも試してみてください!

栗田 昌平(くりた・しょうへい)
アクティベーション企画局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

インタラクティブプランナーとして、データやテクノロジーを活用したデジタルアクティベーション企画を考える仕事をしています。髪は長め。おなか弱め。谷中生姜とジャニーズが好き。ほぼ毎日キングダムを読んでいます。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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