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新会社、博報堂マーケティングシステムズが設立 「マーケティングを支える基盤つくりと運用が、新しいマーケティングを生む」

2018.04.23
#グループ会社#デジタルマーケティング#マーケティング
博報堂はこのほど、企業のマーケティング活動に関するデジタル環境の企画・構築・運用支援などを目的に、 博報堂マーケティングシステムズ(HMS)を設立しました。マーケティングシステムコンサル局や博報堂コンサルティングなど、グループ内にマーケティング関連の業務を担う組織があるにも関わらずHMSを設立した狙いは何なのでしょうか。HMSの山之口援代表取締役と、秋月誠取締役に話を聞きました。

山之口:私は2000年に博報堂に入社しました。その前はコンサルティング会社に勤務しており、98〜99年にはシリコンバレーに駐在しました。そういった経験の中で、「技術が進めば進むほど、マーケティングも重要になる」と感じるようになり、自分のキャリアに加えたいと考え、博報堂に入社しました。

博報堂に入社後は株式会社博報堂ブランドコンサルティング(現在の博報堂コンサルティング)の設立に関わり、その後、マーケティングとコンサルティングの両面から、マーケティングにデジタルをどのように取り入れるかを考えるなかで、システムインテグレータとの協業やWebサイトの構築などにも取り組むことになりました。

秋月:私はWebサイト構築をする制作会社に2001年に入社し、制作のプロデュースを担当していました。プロデューサーとは、多様化する顧客の課題を誰よりも理解しそれを解決するためにディレクターやデザイナー、エンジニアなど、各領域における最適なメンバーでチームを編成し、プロジェクトを牽引し成功に導いていく役割です。私は通信会社や自動車会社のサイトリニューアル、運用など比較的大規模な案件を担当することが多く、そういった様々な業務を経験する中で、山之口さんと知り合いました。

山之口さんとはWebサイトの戦略立案などコンサルティングから、それを実現するWebサイトを構築する業務をご一緒させていただきました。この時、異なる知識や経験を組み合わせることの難しさと、新しい価値を創造する楽しさや重要性を感じました。こういった経験がプロデューサーとして様々なプロジェクトのプロデュースに活きてきました。

今回HMS設立に際して山之口さんから声をかえてもらい、一緒に仕事することになりました。

マーケティングの仕組みづくりに不可欠な、運用と改善のプロフェッショナルとして

山之口:HMSを設立した理由についてお話したいと思います。私は以前から、マーケティングへの情報システム活用に興味を持っていました。コンサルティング会社では管理会計や物流管理の業務改革に関わることもありました。その場合、様々な機能を持った大規模なシステムを開発することで業務の効率化が実感できます。一方マーケティングの場合、例えば、ウェブサイトなら、構築後パフォーマンスを分析したら有効な機能とそうでない機能の差がでることで、「システムを変更したい」といった要望が出ることも多々あります。もっと言えば、ページ上のボタンの位置一つで使い勝手が全く変わるので、問題が出たらその都度修正することが求められています。

つまり、マーケティングのシステム化には、コンサルや初期開発の段階で柔軟な修整が可能な構成を考えるとともに、その後の運用・メンテナンスにも力を入れることが必要だと思います。 究極は、“最初小さく作って、その後も改修強化を続ける”という形です。博報堂本体にはマーケティングシステムコンサル局がありますが、今回HMSを設立した理由は、システムを磨き育てていく「運用・企画業務」の専門性を追究するためです」。“運用”という言葉はルーティーン的なイメージがありますが、システム上でマーケティング施策を企画することは、システム開発、デジタル戦略と同等に重要だと考えています。

秋月:多くの企業が多大な成果を期待してITシステム投資を行ないます。しかし、導入後の業務定着ができず満足な結果を出せないというケースは少なくないと思います。我々は設計や開発はもとより、実際のマーケティング活動のなかでしっかりしたサポートをする体制を作っていきたい。お客様企業もそれを望んでいることを強く感じています。

山之口:デジタル・トランスフォーメーションという言葉が昨今よく使われるようになりました。現在多くの企業では、CRMやWebサイト、テレビ向け広告、顧客サービスなどを担当する部署やシステムは別になっています。そして、デジタルには、こうした蛸壺化した状況を改善し一つにまとめることが求められています。それをお客様企業とともに具体化していきたい。秋月さんはマーケティングからサービスまで大規模なサイト構築をプロデュースした経験を多く持っており、そういった取り組みに最適な人材だと考え、お声掛けしました。

一人の担当者が、開発から運用まで一貫してサポートする

山之口:我々は、お客様企業のマーケティングを支える基盤を適格に開発・運用・改修しマーケティングの質の向上やコスト削減をお手伝いする専門家集団になりたいと考えています。WebサイトやDMP、CRMなど、今までであれば別の部門、複数のIT企業が関わっていたシステムを一つにするためにはコンサルティングやプロジェクトマネジメントの知見をもったプロデュース力が重要になります。

また、実際の運用を通して生まれるいろいろなニーズを取り入れ、手軽に様々な実験が行えるよう、最初のシステムは極力最小限で導入できるよう設計します。これにより、当初に投資額も小さく始めることが可能になります。当社では、システムを開発するプロジェクト担当者が、その後の運用・改修の業務設計に引き続く体制を基本にしています。

開発と運用のシームレスな体制によって、お客様企業との長期に渡る信頼関係が確立する。これにより、お客様企業がAIやIoTといった新しい技術にチャレンジする際に、迅速かつ的確に実験環境を準備する。そのためには、HMSだけでなくオール博報堂の知見を取り入れる、というところまで考えていく必要があると思っています。

秋月:勿論、当社の人材だけで全てを担うのは難しいので、様々なパートナーと協力していきます。当社のスキルでは対応できない場合は専門性の高いパートナーに入ってもらうといったことや、お客様企業の指定する独自技術をもった会社との協業もやっています。

運用・改修に関しては、できるだけ当社で内製化することが基本ですが、システムや機能が成熟し定型的な業務だけで回せるようにできれば、パートナー会社に運用を引き継ぐほうがコストを下げられます。そういった切り分けも適切に行い、お客様企業のコスト削減にも貢献していきたいです。

いろいろな業界・業種のお客様企業とお仕事をしたいと思っていますが、デジタルに積極的に取り組んでいる金融や自動車、大規模なECサイトに取り組まれているメーカー様などのお手伝いが出来たら嬉しいですね。

山之口:新しいマーケティングを本当の意味で定着させたいと考えている企業の方と一緒にお仕事したいと考えています。“デジタルキャンペーンで成功しました”というだけではなく、新しく生まれている様々なチャネルを活用してマーケティングを根本から変えたい、とお考えの企業様がいらっしゃいましたら、是非お声掛ければと思います。

幅広い興味を持つ人に入社してもらいたい

秋月:まだ当社は設立したばかりなので、様々な人材を求めています。プロデューサーやプロジェクトマネージャー、プランニング、デザイナー、エンジニアなど、多様な職種の方に集っていただきたいです。専門的な一つの領域を究めたい方だけでなく、マーケティングやいろいろな分野に興味をもち、自身の専門性を活かしたチャレンジをしたい方に来ていただきたいですね。

山之口:専門家としての強みと、事業運営全体に対するプロデューサーマインドを持っていること。また、未知のことにもチャレンジする気持ちがある方に来ていただきたいですね。前職の専門性が高ければ、当社では違ったことにもチャレンジしてもらいたいと思っています。

前職がアパレル販売員だった社員は、総務担当で採用したのですが、他の社員を見ているうちにコーディングがやりたくなったらしく、本格的にそちらに挑戦しています。新しい総務担当を雇わなくてはいけませんが(笑)そういった挑戦する気持ちはとても大切なので、大事にしていきたいと思っています。

2021年にはGDPの約50%をデジタル製品やデジタルサービスが占めると言われています。そうすると、デジタルは当たり前になり、逆にリアルとの繋がりが重要になるでしょう。その時リアルとの繋がりでいかにマーケティングの価値を高めていくか、これを博報堂グループ全体で取り組んでいきたいと考えています。

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