博報堂DYメディアパートナーズは、2013年から全国高等学校体育連盟が主催するインターハイ夏季大会のマーケティングパートナーとなっています。主な業務はインターハイの魅力を更に高める為に企業からの協力を得たり、周辺事業を拡大することです。また、インターハイは30種目の高校日本一が決まり、多くの日本代表選手が輩出される日本スポーツ界にとっても重要なイベントであるため、この大会をより多くのスポーツファンに知ってもらい、更なる盛り上げに貢献していくということもミッションとしています。
これまで様々な企画に取り組んで参りましたが、特に注目度が高いのは高体連公式サイトとして2014年からスタートさせた「インハイ.tv」です。全試合のインターネット配信を目標にし、今まで見ることの出来なかった競技や予選の様子を中継しています。高校生の口コミ・SNSを中心に拡がり、今では大会期間中に約1,000万回視聴されています。インターハイの情報を関係者だけでなく、現地に応援に来ることの出来ない多くの人々へ知ってもらうきっかけとなる企画です。現在、2018大会にむけて更なるブラッシュアップを進めています。

インターハイに寄せる想いや、サイト運営の裏側、今後の展望などについて、博報堂DYメディアパートナーズスポーツビジネス局スポーツビジネス1部コンテンツプロデューサーの佐治由佳、野崎祐紀、河本理紗に話をうかがいました。

■嬉しさ、悔しさに涙する姿に感動。高校生スポーツの原点がここにある

佐治
高校時代、陸上競技でインターハイに出場した経験があります。インターハイでどんなに活躍しても甲子園ほど注目されず悔しい思いをしていました。広告会社の入社後は何とかインターハイに関われないかと画策をして2010年の沖縄大会で初めて関わることができました。その後新聞社と連携する等、ビジネスの領域を広げていきました。高校生アスリートの憧れの舞台に関われることはやりがいを感じています。

野崎
僕は2009年に博報堂に入社。営業からスタートし、その後2015年に自ら希望して博報堂DYメディアパートナーズのスポーツビジネス局に来ました。3歳から水泳を、高校・大学でアメリカンフットボールをやっていたので、もともとスポーツに関わる仕事がやりたかったんです。現在、主にインターハイ、箱根駅伝を担当しています。

河本
私は昨年3月に他業種から転職、昨年大会からインターハイに関わり始めました。高校生アスリートたちの試合はどの競技も白熱しており、この大会の盛り上げに寄与できることを嬉しく思いました。バドミントンやバスケットボールなど、いくつかの競技では元オリンピック選手による高校生選手へのインタビューの実施に関わりましたが、自らの経験を踏まえて選手たちへ丁寧にアドバイスする姿等を見て、プロの選手にとっても思い入れのある大会であるのだと感じました。

佐治
インターハイは30競技34種目あるのですが、どの競技においても一流選手への登竜門と言えます。日本代表選手の多くがインターハイ経験者で、選手はそれぞれの思い出を持っているのではないでしょうか。インターハイ会場は独特の雰囲気が流れています。

野崎
僕は2016年のインターハイの少林寺拳法の閉会式が強く印象に残っています。表彰式がとても静かに行われ、会場では拍手さえ聞こえてこないほど厳粛な雰囲気だったのですが、閉会式が終わった瞬間、選手もコーチも保護者の方も感情を爆発させて、あちこちで抱き合ったりしている。実に感動的で、学生スポーツの原点がここにあると感じました。

佐治
わかります。大人になってインターハイを見ると、嬉しさや悔しさから涙を流している選手の姿を見て「いいなあ」と思いますね。普段の生活や仕事で、涙を流せる機会はなかなか・・・。また、ほとんどの競技で日本代表選手を輩出するインターハイって、つくづくスゴい大会だとも思います。日本代表選手を育てているインターハイに、博報堂DYグループとして関わっていく意味は大きいのではないかと考えています。

■得意先の課題を解決し、インターハイを盛り上げるアクティベーション企画への挑戦。9,000にのぼる試合を網羅。インターハイの全試合配信を目標にするインハイ.tvにおいて2018年大会に向けて新しいチャレンジをする。

野崎
私たちのインターハイへの取り組みは協賛セールスをベースとしています。具体的に言うと、スポーツ協賛事業である競技の看板広告等のセールスを行っています。

佐治
ただし協賛セールスだけでは、インターハイを甲子園のようなメジャーな大会に押し上げられないので、メディアの活用をつねに意識しています。例えば、TVでインターハイ特番を企画したり、新聞社にはインターハイ関連の紙面を作ってもらうこともあります。
そして最近の取り組みでいえば、インハイ.tvです。「すべての試合をライブで見せてあげたい、見たいと思う親や選手はたくさんいる!」というスポンサーの声を実現しました。2018年で5年目になります。博報堂DYメディアパートナーズとしてはインターハイを世の中に発信していきたいし、発信することで”大会価値”が上がれば、インターハイをサポートしてくださる企業が増えると思っています。
インハイ.tvの発想は、得意先の大塚製薬さんとの打ち合わせ中に生まれました。インターハイを甲子園のようにメジャーにするにはどうすればいいかを話していて、ライブ中継すればいいのでは?という意見が出て、じゃあ高体連と交渉してみましょう、短期間でいろいろな交渉をして成立したアクティベーションです。グループ会社のデータスタジアムに全面的にサポートをしてもらい配信にこぎつけるまで3カ月くらいだったように記憶しています。

野崎
インターハイでは全競技合わせて9,000を超える試合が行われますが、最初の年から全競技を撮影し、配信しました。ただ、卓球やバドミントンは数試合が同時に行われるので、カメラが追いつかないこともあります。「ウチの子を撮ってください」と保護者の方からお願いされることもありますが、そうした要望にはお応えすることが難しいです。動画撮影は2016年までグループ会社のデータスタジアムと一緒にやっていましたが、2017年は開催県のケーブルテレビ局に委託する形にしました。

佐治
初年度は試合を撮影しているだけだったので、見ている人は対戦カードやスコアが分かりづらかったと思います。そこで2年目以降は、選手名や対戦カード、スコアなどの情報は、手書きで書いてテロップのようにしたりも。現場で動画撮影を担当しているのは、基本的にその競技に詳しい学生アルバイトです。学生カメラマンは延べ1,000人くらい使っていて、事前にその競技に関するレクチャーを行うようにしています。カメラは延べ800台程度を使用。多くがホームビデオ用なので、決勝戦だけは良い機材を使おうとか、解説を入れようかなど、少しずつクオリティーを上げる方法を考えています。

河本
インターハイの裏側でこんなにも多くの大人たちが関わり、熱い夏を過ごしていることを高校生たちは誰も知らないと思います。(笑)。

佐治
真夏の炎天下で撮影することが多かったので、スタッフの体調管理には気を遣いました。ポカリスエットの大塚製薬さんがスポンサーなので、スタッフが熱中症で倒れるわけにはいきません。あまりの熱さに、カメラは数台壊れましたが(笑)。

野崎
撮影中、思わぬ音声もビデオマイクで拾ってしまうというアクシデントが時々あります。観客や競技委員の声、あるいは野次の声なども拾ってしまうのは難しいところです。特に選手の家族の方たちが近くにいらっしゃるときは、応援に熱も入っていろんな発言をされるので、そういった点も配慮しています。

■進化を続けるインハイ.tv。皆さんに必要とされるプラットフォームに成長

佐治
視聴回数は当初、300万PVくらいを想定していましたが、実際には1,000万PVくらいがコンスタントに視聴されています。告知をしていないにも関わらずこの数字なのは、もともとこれだけのニーズがあったということなのだと実感しています。現在の数字を3,000万回、1億回と増やしていくにはどうすればいいのか、今年もコンテンツのバリューアップにトライしています。インハイ.tvについては、スコアや試合の途中経過などツイッターでも配信しています。インハイ.tvの映像を見ているだけでは途中経過がわからないので、「インハイ.tvを見ながら、ツイッターで経過を確認する」といった用途で読まれているようです。

野崎
告知なしでも1,000万PVあるということは、スポーツ好きでインターハイに関心のある固定ファンがそれだけいるということ。そこで昨年は、インターハイを知らないスポーツ好きにもっとインハイ.tvを見てもらうために、インターネットメディアのスポーツブルさんと組むことにしました。インハイ.tvではインターハイのライブ映像を配信しているので、スポーツブルさんには、インターハイのハイライト映像を提供することにしたのです。僕はそのプロデューサーとして、インハイ.tvの映像とは別に、会期中毎日1〜5本のハイライト映像を制作することになりました。
また、スポーツブルさんからのリクエストで、インターハイの結果を写真と記事でより早くチェックしたいというユーザーのニーズに応えるため、僕たちが競技のスチール写真を撮ることにもなりました。

佐治
スポーツブルさんとのタイアップが決まったのはインターハイが始まるわずか3週間前。これだけの短期間にハイライト映像を制作する体制が組めたのは、それまでの仕事で野崎が培ってきた、動画制作スタッフとの人脈と信頼関係があったから。この辺りがコンテンツ制作の大変なところであり、面白いところでもありますね。

河本
私は別の業界から来たので、コンテンツ制作のスピード感には驚きました。大会開始前の短期間で動画配信コンテンツが企画され、実際に形になって世の中に出ていくところに面白さを感じました。インターハイ開催期間中の30日間は、私たち3人別々に行動することが多かったのですが、日々現場の状況共有や企画の実施状況などに関して連絡を取り合いながら過ごしていたので、チームで支えあっている感じがしました。各現場はとても刺激的で楽しく、やりがいがありました。

野崎
僕が嬉しかったのは2016年の冬に、翌2017年に開催されるインターハイのプレイベントに出席したとき。大会に関係する多くの人から、「来年もインハイ.tvは配信してくれるんですよね?」と念を押されたんです。佐治さんからは、「インハイ.tvを始めるとき、大会関係者からOKをいただくのに苦労した」と聞いていたので、わずか数年でインハイ.tvは皆さんに必要とされるプラットフォームにまで成長したんだなあと、胸が熱くなりました。

佐治
大会関係者である高校の先生方にとっては、スマホや携帯電話を見ることがまだ許容範囲でないことがあります。実際、校則で携帯電話を禁止している学校も多いと聞きますので、スマホで見られるインハイ.tvの配信については、当初否定的でした。生徒たちの肖像権についても、扱うのが難しいと感じる人が多かったです。それでもインハイ.tvが今日まで続けてこられたのは、シンプルに「インターハイで活躍するわが子や教え子が見たい」という人がそれだけ多いということなのかなと感じています。

■一つのメディアとしてインターハイの価値を高めていきたい

野崎
今後の最大の目標は、インターハイを夏の甲子園と同じくらい注目されるイベントにすることです。そのためには、いま現在地元の高校生たちに任されているインターハイの告知活動を、私たちがお手伝いするのもアリだと思います。インハイ.tv プラスオンでPRするなど、さまざまな手法が取れるはずですから。将来的には、インターハイ=高校生スポーツを楽しむことのできるスポーツイベントであり、日本の一つの「文化」のような形に定着させることができれば、最高にやりがいがありますね。

河本
まずはインターハイの協賛社を増やし、各社に満足してもらえるようなアクティベーションを考えていきたいです。そしてもちろん、インターハイを全国的に注目される大会にしていきたい。現在のインターハイは、開催される地域だけで注目されていますが、もっと全国的に応援されれば、イベントとしてさらに盛り上がると思います。

佐治
インターハイが一つのメディアとして広く認知されるよう、その価値を高めていきたいですね。いまはインハイ.tvばかりが注目されていますが、メインはあくまでインターハイであって、それに参加する3万人とそれをサポートする1万人の高校生がいるということを改めて肝に銘じながら仕事を進めていければと思います。

佐治由佳(サジ ユカ)

博報堂DYメディアパートナーズ
スポーツビジネス局スポーツビジネス1部

1994年大広、2008年博報堂DYMPに入社
入社以来約20年間スポーツビジネスに従事、主にアマチュアスポーツを担当。
最近の業務はインターハイ、クライミング、東京マラソン等。

野崎祐紀(ノザキ ユウキ)

博報堂DYメディアパートナーズ
スポーツビジネス局スポーツビジネス1部

2009年 博報堂入社 営業に配属。
2015年博報堂DYメディアパートナーズへ出向となり、
現在のスポーツビジネス局へ配属。
主に箱根駅伝、インターハイ等を担当。

河本理紗(コウモト リサ)
博報堂DYメディアパートナーズ
スポーツビジネス局スポーツビジネス1部

2017年博報堂DYメディアパートナーズへ中間入社。
主にインターハイ、卓球等を担当。