「こそだデータ・トーク」は、博報堂こそだて家族研究所による、子育て家族にまつわる調査データ(こそだデータ)を起点に、研究員が様々な視点を持ち寄って語り合うコーナーです。

それでは早速「こそだデータ・トーク」を始めていきます!
今回のテーマは 「~ありがとうが言えなくて~子育て夫婦に見る、それぞれの“ありがとう”」 です。

仕事と育児で忙殺される暮らしの中で、目の前の伴侶に「ありがとう」を言えてますか?
今回は、パパスキルの高い北川パパと、激務パパを支えつつ何とか育児・家事と仕事を切り盛りしている佐藤ママに、それぞれの本心を語ってもらいました。

それでは、最初のこそだデータはこちら!

Pick UPこそだデータ① 『ママのパパ感謝度』

ママの“パパ感謝度”は、平均73.67点(100点満点)。約6割のママが80点以上と回答。

【北川パパ】
約6割のママが、80点以上の評価というのは、高いように思います。実際、ママとパパを比較すると、日常的な育児への関与は、どうしてもパパが相対的に低くなってしまいますよね。
我が家は、共働き総合職で、実家が共に地方で身寄りが近くにおらず、小学生と保育園の子供がいる状況なので育児・家事は完全分業制です。よって、朝の送りを私が担当し、迎えは妻、というように分担しています。毎日保育園にも行くため、各家庭の事情がなんとなく見えます。分担して対応されているご家庭、ママだけが送り迎えのご家庭、行事だけにパパが参加するご家庭・・・など。
仕事があろうが、自身の体調が悪かろうが、大雪だろうが変わらないこの送り迎えの分担をしている割合は、ママの方がやはり多いなぁ、と。

【佐藤ママ】
私も、数字だけ見るとものすごく高いと感じました。うちは、2歳の男の子で保育園に通ってます。夫は激務なのでほとんど朝と休日しかいない状況。
私自身、パパへの感謝度はどうかと聞かれると、、毎日遅くまで仕事をして、疲れきって帰ってくるのでそう考えると80点あげてもいいのかなと思います。少しでも手伝ってくれると本当に助かるんですよ。
ちょっと辛口ですが、あまり期待していない分、少しでもやってもらえると感謝の高得点が付くのではないかなと思います。

【北川パパ】
なるほど。“あまり期待してないママ心理”。パパにとっては耳が痛いですね。
個人的には「送迎」のような、逃れられない「毎日」の育児・家事に関わってはじめて感謝されるんじゃないのかな、と思います。今回の結果のような「感謝の高得点」は、佐藤さんみたいにそもそものママのパパに対する期待値が低いのが要因か・・・身近にできるパパの週末育児が「感謝」につながっているのか・・・。
パパの育児への関与度をもっと高める上では、ママの厳しさも必要かもしれませんね。

ちなみに、北川パパの奥さまへの感謝度は何点ですか?

【北川パパ】
僕の妻への感謝度は『95点』です。調査だと22%がこのくらいの高得点ですね。
理由は、自分の限界、というところまでやって生活・家庭を維持していることがわかるからです。あと5点はお互い完璧な人間ではないので、「こうしてくれたらいいのにな。」と思うこともあるので、その部分ですかね。前述のように、我が家は、どちらかが欠けても成り立たないため、パートナーとしての意識が強いと思います。妻が下の子の世話をしていると私が料理を作りますし、妻が部屋掃除をしていると、私が洗濯物を洗って干したりします。誰が何をする、という役割分担ではなく、手が空いたらできることをやる!ということをしないと回らない状況です。また、どちらかが楽をすると相手に負担がかかり、中長期的には健康面に影響を与える可能性もあるので、共に必死で生きる、という感じが強いですね。佐藤さんはどうですか?

【佐藤ママ】
私の場合、夫への感謝度は『80点』ですね。全体の21%の分類です。
子供を毎朝保育園に送り届けてくれるし、取りこんでおいた山積みの洗濯物を何も言わずに畳んでくれます。オムツ替えも苦じゃないみたいです。土日や早く帰った日はお風呂に入れてくれますし、土日家族で外出して帰宅後に率先して夕飯の用意をしてくれる(時もある)ので、そう考えるとそのくらいつけてあげてもいいのかなと思います。
ただ、オムツ替えに関しては苦じゃなくても、最近は子供がママを指名してくるのであまりやってもらえないのですが…。そこで子供に「パパに替えてもらう!」と言ってもらえるようにうまいこと誘導してくれるようになると更にありがたいのですが、、まだ夫にそこまでのスキルがないのですね。
あと、ママの体調不良の時など、察してほしい時になかなか伝わらないことが多々あるのでマイナス20点します(苦笑)。

それでは、次のこそだデータはこちら!

Pick UPこそだデータ② 『感謝を伝えてる?』

【佐藤ママ】
「感謝を伝えている」で男女差1割近くあるのは、やっぱりまだ一般的に家事、育児は女性がという考えからか、「ママはパパに手伝ってもらっている」、「パパはママの手伝いをしてあげている」という夫婦間の認識が根強いからなのだと思います。
だからありがとうと伝えるのは、手伝ってくれているパパに対してママからの方が多くなるのではないでしょうか?
うちもありがとうと言うのは私だけで、育児の事でパパにありがとうと言われることなんかあったかな~?と思い出せないほどですね。

【北川パパ】
確かに「手伝う、手伝ってあげる」という認識一つで、する側と受ける側で感謝の気持ちの持ちようが変わってきますよね。
パートナー意識の強い我が家でも、自戒も込めて、このデータの通りかなと思います。メールやSNSでも、気持ちを伝えると言うよりも、「○○よろしく!」「了解」「○○伝えて!」「いいね!」等のような家庭の業務連絡が多いな、と思います。
「いつもありがとう!」と思いつつも、直接言葉で伝えたのはいつだっけ?と思い出せないですね。
仕事・家事・育児の忙しさにかまけていることと、「言わなくてもわかるよね。まぁなんか恥ずかしい」という心理がそうなっているんだと思いますが、ちゃんと向き合って伝えることは本当に重要ですよね。我が家でも常々ありがとうを伝えよう、と話しています。

お二人の「ありがとう」の伝え方、言葉以外にありますか?

【北川パパ】
僕が妻に感謝を伝える方法としては、妻が気づいているかは別ですが、「ひとりの時間」を作ってあげることかなと思っています。調査でも32.2%で3人に1にが「ママに一人の時間を作ってくれる」ことが感謝の伝え方とありますね。
うちは、土曜日は、娘の習い事や掃除・洗濯などやることが山積みとなるのですが、なるべく下の子を姉の習い事に連れて行きます。
恐らく妻は、家にいても家事をしていることが大半だと思いますが、「ひとりでいること」は、少し気持ちを整理したり、落ち着けたりする時間になるんじゃないかと思っています。子育てをしていると「時間」の貴重さに改めて気づかされます。ちょっとでも、「時間にゆとりを感じること」ができていればうれしいな、と思っています。

【佐藤ママ】
北川さんの後だと言いづらい・・・。でもママのあるある意見として、夫の感謝の伝え方で一言!
うちの場合、、やってやった感の強い態度を取られた時は面倒ですがぐっと我慢してLINEのお疲れ様スタンプでその場をしのぎます(笑)。ありがとうって言いにくい態度を取られるとこっちもなかなか言いづらいんですよね。
毎日保育園での体温測定の温度と子供が泣いたとか、手を振って見送ってくれたと報告があるのですが、その時は一応お疲れ様でしたスタンプを返してます。
そこでありがとうっておかしいかなと思って・・・。お迎えは私が毎日行くのにパパからはありがとうと言われないは、ママがお迎えすることが当たり前と思われているのでしょうか(苦笑)。
なので、パパにも、毎朝の保育園の送りを「当たり前のこと」と思ってもらいたいのです。それとも私が毎日「今迎えに行きました」報告をした方がいいのでしょうか?
北川パパ、どう思いますか?

【北川パパ】
うーむ。
僕もパパ歴が浅い時は、「やってやった感」が出て、妻にムッとされていたことがありました。佐藤さん家のパパも、毎日保育園に送られていますよね。行動としては当たり前になっているし、パパも仕事がお忙しい中で、なんとか育児に関わろうとされています。
パパ側代表として言うと、「褒めてほしいところです。」(笑)
ただ、ママからすると、「育児はそれだけじゃないぞ!」という気持ちが強く、それだけで「やった!やった!」と言わないで、というのが本音ですよね。ただ、パパの視点は、他の家庭と比べたうえで「あそこの家と比べて、毎日、俺がんばってるんだけどなぁ。けど、そこはあまり認めてくれないんだよな。」というようなことかも。
ママは、自分の子供に対するコミットメントでパパへの感謝の尺度を置いていますが、パパは意外と他のご家庭と比べた時の育児コミットメントをママに評価してほしい、と思っている場合が多いなと思います。

先ほども話した、日本におけるパパの育児関与度に関わることですが、イクメンなどと言われはじめた社会でも、パパ側が子供を理由に仕事を調整したり、セーブすることはママが思うよりも実は大変です。
簡単に言うと、パパにはママほど育児に関する市民権がないからです。先日も、小学校の保護者会に参加した時に、クラスでパパは2人だけ。仕事を切り上げての参加は僕1人だけでした。つまり、「当たり前」じゃない状況がある中で、「当たり前のことにしようと行動している」ということを評価して欲しいなと、いうのがパパ側の本音なのではと思います。

色々思うところはあると思いますが、他の目が気になる未熟なパパを代表して言うと、「ありがとう」を返してあげてください。大人対応、というやつですね(笑)。意外とパパ側は単純なのでうれしいです!!(笑)
ただ、もう少しすると、そういう不満もなくなります。パパはある種の優越感というか、達成感を抱かれると思います。送っていくこと=労働や手間、義務みたいなマインドから、送迎=子どもと2人だけの体験、思い出の共有、という特別な時間にシフトしてきます。先輩パパさんに聞いても、「送迎は大変だったけど、今となってはいい思い出だよね」とみなさん言われるので、なんとかパパをよいしょして、がんばってもらってください。
佐藤パパ、共にがんばりましょう!!!

最後はこのこそだデータ!

Pick UPこそだデータ③ 『パパ感謝度があがる育児は?』

【佐藤ママ】
「子供とパパのお散歩や外遊び(68.1%)」が嬉しいのはよくわかりますね。うちも土日どっちかは子供とパパで公園にいってもらう時間を作っています。ママは外出するのに時間がかかるけどパパはかからないので、さっと行ってもらってその間ゆっくり準備するのがわりと一番ありがたいです。公園で遊べる時間も長くなったのでなかなか帰ってこない時もあるんですが、そういうときは掃除したりして時間を有効に使えるので助かります。
北川さんが奥さんにプレゼントする「ひとりの時間」が私にとってまさにこれにあたりますね。

【北川パパ】
やっぱり、ママには何よりも「ひとりの時間」なんでしょうね。その時間を作れるかどうかがパパ感謝度につながるのかも。
ちなみに、父親の僕にとっては、自分が妻にやってあげて感謝されたこととして思い出すことがあります。
妻が2人目出産の時のこと。1ヶ月前に切迫早産の可能性があり、入院することになりました。あの時は、仕事、育児、家事、病院へのお見舞い等を切り盛りすることになり、自分でもよく乗り越えられたなと思います。上の子もよくがんばってくれたな、と思います。100%育児・家事を1ヶ月間する、という専業主婦の方の大変さの一端を理解することもできた経験でしたし、上の娘と2人で難局を乗り切ろうと、一層絆が深まったと思えた期間でした。今思い返すとよい思い出です。あの時は少し役に立ったと思ってますが・・・。

【佐藤ママ】
分かります。やはり家族の身に降りかかる一大事の時には、夫婦お互いの存在に感謝しますよね。
私も、子供が熱性けいれんになった時に夫が一緒にいてくれて心強かったです。一人だったらとても冷静ではいられなかったと思います。2人いればどっちかが冷静になれるので、その時も痙攣していた時間を測って救急に連絡するのもスムーズにできました。

まだまだ色々お話し聞けそうですが、この辺で最後に。
夫婦間の「ありがとう」について、思いのたけをお話し下さい!

【佐藤ママ】
言葉の端々に育児に対して“私がやる体”なのが毎回気になります、「着替えさせないとね」、「薬飲ませなきゃね」、「○○してあげなきゃね」と言ってくるのがかなりうっとおしいです、知らないうちに支度を済ませておいてくれたり、薬飲ませたよ!とか完了報告をしてくれると本当に心から感謝できるのですが・・・。
日ごろありがたいと思う事はあるのですが、なかなか素直になれない自分もいてやきもきしていましたが、このデータを見て、もう少し「ありがとう」を伝えていった方がいいのかな、と思いましたね。
でも、やっぱり、パパにも育児の事で、もっと感謝を言葉にしてもらいたいな・・・・と、改めて思いました。
「ありがとう」。その一言へのお母さんのニーズって、実はすごく高いのではないでしょうか。

【北川パパ】
夫婦間の気持ちや態度は、ダイレクトに子供に投射します。今は、お互い時間に忙殺されて、生活のゆとりや遊びがない状態かなと思います。そうした環境下では、なかなか自分の素直な気持ちや思いを夫婦間で伝え合うこともできていないのかなと思います。毎日の生活に対して感謝する、何か人にやってもらったら感謝する、という人としての基本的なことをもっと親が行動や言葉で伝えていくことが必要かなと思います。子供に対して、「ありがとう」と言いなさい、ではなく、日常的に親が生活の中で「ありがとう」を言い合っていると、自然と子供も使うようになると思います。夫婦間で感謝し合う、ということの意味は、子供に感謝することの大切さを継承していく、ということではないかと思います。いきなり「ありがとう」というと妻に怪しがられるかもしれませんが(笑)。今日から「ありがとう」の回数を増やしてみようと思います!!!

※調査概要
調査手法:ママスタジアムでのインターネット調査
対象者:ママスタジアムユーザー(子育て中の女性) n=433 名
(本人年齢 20代以下:113名、30代:252名、40代以上:68名)
(長子年齢 0-2歳:144名、3-6歳:145名、7-10歳:74名、11歳以上:70名)
対象地域:全国
調査時期:2017年4月28日~5月8日

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