深谷 信介

スマート×都市デザイン研究所長 / 博報堂ブランドデザイン副代表

「なんか嬉しいな、そんなにいいですか! 広告会社のひとに言ってもらえると一際嬉しいです。そうだっ、これ差し上げますよ、深谷さん」
「えっ?!」
「わたしがつけてるより、絶対宣伝効果あると思うし・・・、どうぞっ!」
「いいんですか?(といいつつ思わず手が出ているわたし)超嬉しいです! これ付けてあちこち出向きますね」


<写真1|ピンバッチ装着中>

そこに向かう電車のなかで、いつごろこんな会話を交わしたんだろう?などと思い返しながら、優しい人柄が笑顔に滲み出ている同期が待つ◯—◯の聖地を目指します。

金沢生まれですが福井に来るのは、多分はじめてです。
永平寺・越前和紙、そしてサスペンスドラマに必須の東尋坊、そんなことしか頭に浮かばないまま福井駅を降りると、うごく恐竜フクイティタン*がファンキーにお出迎え。そうだっいまは福井=恐竜推しです(笑)


<写真2|福井駅前恐竜>

「焼けたんですよ、戦争でね」
タクシーの運転手さんがおもむろに話しはじめる。北陸には珍しく空が高くて青々と輝いている。
「第二次大戦後焼け野原のまちを、すぐに都市計画で整備してね。着々と工事してたところに、なんと地震が来て、ダブルパンチだっ。それを乗り越え、昭和30年くらいだったかな〜。まちは整備されて、全国に先駆け100%下水道整備されたんだよっ」
なるほど、道路は広くて碁盤の目のように整然と区画整理が行き届いている。ゴトンゴトンと行き交うトラムが彩りを添えている、富山みたいだな。
少し誇らしげにまちの話をしてくれる、そういう方がいるところは、ぜったいにいいまちだ。


<写真3|福井市内トラム>

福井でのおしごとをパパンパンッとこなして、目的地◯—◯のまちはもうすぐ。待ち人は同期といいつつ、わたしより20歳以上も若い。内閣府から地方創生のミッションを背負い市町に入っている。重責だ。広がる田畑や山々のミドリがわたしに鼻歌を唄わせます。


<写真4|鯖江に向かう車窓より>

♪めがねーは、か・お・のっ〜♪

駅を降りると、目前の巨大看板が凛々しい、乗っけから先制パンチです。


<写真5|駅前超看板>

めがねのまちさばえ

明治のころ、農閑期の収入源を求め大阪や東京から職人を招き、めがねの製造と技術を磨きはじめ、そこから100余年、いまでは高い品質を武器にほぼ100%に近い国産めがねフレーム生産地になった、そんな不屈の精神を感じつつ、庁舎に向かいました。

ぜんぶひらがなでかいてあるって、なんかぎゃくにしんせんだなあ〜。
となど思いながら、庁舎を歩くと ◯—◯ ◯—◯・・・
廊下のサインが、みんなめがねになっていて、壁のとけいまでめがね入りです。


<写真6|庁舎内看板>

めがねのまちさばえ戦略室
廊下に職員の顔写真入り机配置図が掲示、お客様ファーストがとっても行き届いているのも ◯—◯効果なんだろうか?
久しぶりの再会に親子の歳の差同期ふたりは変にドキドキしつつも、すぐに視察開始へ。

「まちなかにいきましょう〜、深谷さん」

「多彩な活動に積極的な住民の方が、とても多いところなんですよ」
そうか、だからまちの風景も活気に溢れているように見えているんだな。

「この通りは住民の声に後押しされて、◯—◯整備を着々とすすめているところなんですっ」
そこは、めがね男子であるわたしが行きたかった「めがねミュージアム」に通じるメインストリート。
ベンチ、花壇、階段、そして博物館・・・ 目に飛び込む道路施設がみんな◯—◯ ◯—◯ ◯—◯。
めがね推しオンパレードだ。駅からまっすぐの道をめがね祭りのごとく整備中、その先にめがねミュージアムがあるんです。


<写真7-1|歩道のベンチ>

<写真7-2|歩道の花壇>

<写真7-3|階段>

<写真7-4|まちのフラッグ>

ほかの商店街通りも、◯—◯ ◯—◯ ◯—◯。
これでもかっていうくらい、徹底的。

「さばえに来てもうすぐ2年、アレコレいろいろ考えてぐるっと回って、やっぱりこのまちはめがねで推していこうって決めたんです!」

そうこうしているうちに、めがねミュージアムに到着。めがねの歴史文化をクールに展示しつつ、最新モデルが3000本以上、オーダーメイドも可能な、手作り体験まである、見て学んで買えるミュージアム。あらゆるめがね人が、海外からも多数訪れるらしい。
あ〜手作りめがね制作、やりたかったな〜。

<写真8|めがねミュージアム>

<写真9|めがねミュージアム内部入り口>

<写真10|パンフレット>

「いい高台があるんですよっ!」
ということで、まちの中心・みんなの憩いの場、西山公園に。
15haもあるこの公園は、ともかく手入れが行き届いていて芝生も美しい、みんなの憩いの場。
みんなが集まれる場所が、こんな高台にあるなんて、なんて贅沢。
「整備とか大変なんですけど、ここは絶対に大切にしていかないとって思っているんです。道の駅もあるんですよ」

<写真11|西山公園>

道の駅は、めがね着用ゆるキャラのお出迎えを受けて、工芸品から食用めがねまで、◯—◯めがねバリエーションは、果たしなく広がっていく。
思わず手にした、堅いめがねパンなんか、めがね人のお土産に最適だな〜。

<写真12-1|めがねお土産ピンバッチ>

<写真12-2|めがねお土産お菓子>

吹っ切れている思い切りのよさ、そこに込めた情熱と冷静さ、ここまでくるととても清々しい気持ちになってきます。

「来てよかったです、ほんとうに」
「わたし今月で任期終了ですし、その間に来てくださってほんとうにありがとうございました!」
行為の軸線を骨太につくる。同期の残した戦略と戦術は、まちのハードとソフトに深く力強くインストールされていました。
さばえは、めがねを信じているんだ。自分たちの生業を信じ、すべてにつなげているんだ。

♪さばえーは、め・が・ねでっ、(ウンッ)ぜんぶ〜ですっ♪

<写真13|駅前のめがねオブジェ>

次回は、おかみさん です。

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