深谷 信介

スマート×都市デザイン研究所長 / 博報堂ブランドデザイン副代表 / 博報堂ソーシャルデザイン副代表

山合いに集落が、ある。
割と多く、ある。
国土の75%が山地である日本らしい、生活の風景。
そんなエリアは、中山間地域と呼ばれたりしています。

出雲縁結び空港から、1やま、2やま、3やま超え、
山の奥の、そのまた奥にはいると
割と急峻な谷合い山合いの景色がまるで嘘のように、
見渡す限り一面視界がぽっかりと開け、広々としたみごとに平らな大地がひろがる場所に着きました。

<写真1|奥出雲全景>

奥出雲
その名のとおり、出雲の国の山深い奥にあるこの地域は、
やまたのおろち神話で知られる中国山地にある、小さなまち。
日本人の起源ここにあり、ともいわれる奥出雲のこの原風景は、今でも崇高で神々しい限り。なんとも言葉では現せない土地のチカラ、地力を感じます。

ぐるりと広がる平らな大地には、息を飲む美しさの棚田、たなだ、タナダ。
ところどころに残丘(ざんきゅう)と呼ぶポコッとした小山があり、それがいいアクセント・アンジュレーションになっている。先祖のお墓や神社仏閣などがある場所が、たいせつに残されて、このような景観を生み出しているんだそうだ。

<写真2|棚田風景>

「わたし会社辞めます。」
とある夜、突然同僚がそんな話をしてきたのは、今から2年半ほど前・・・
志が高く、どこまでも謙虚で優秀なひとは、必ずと言っていいほど旅立っていく。
そんな方々を、いままで何人見送ってきたのだろうか?
「わたし島根に帰ります、やりたいこと、いややるべきことがあるんです。
深谷さん、島根とか来たことないですよね。絶対来てください!ご案内しますからっ。」

今までのわたしのくらしに、島根も山陰も、一度たりとも登場したことはありませんでした。
出雲大社は頭に浮かぶけれど、島根と鳥取、地図上でどっちが右で左かも正直定かでないし、どうやって行くのかもよくわからない。思いを巡らすのは、びっくりするほど過疎でたいへんだろうなということくらいです。

「絶対来てくださいっ!」
いつもは穏やかなそのひとが力強い眼差しでそう言い残していった元同僚の案内で、半年後島根県を左から右まで高速横断することに。
そのなかの1エリアに奥出雲地方がありました。

役場の方々がまったく何も知らないわたしを大歓迎してくださり、
まちに息づくさまざまな資産・多方面で活躍するまちの有名人をくまなく案内してくださり、
夜には大歓迎会まで開いてくださった。

東の魚沼、西の仁多と並び称されるとても美味しいお米が取れます、農家の方が直々に握ってくれたおにぎりも、昼食にその方のご自宅で頂きました。お蕎麦もまた格別です。
仁多牛も柔らかくてジューシーで、山の幸も素朴で歯ごたえあって超美味でした。

<写真3|奥出雲蕎麦>

山奥に素敵なまちがあるんだな〜、素敵なひとたちがいるんだな〜、などと宴会の席で、この数日を振り返り感慨に耽っていたわたしは、このまち・このエリアの奥深さにまったく気づいていませんでした、これらはほんの入り口にしかすぎなかったのです。

「あっ残丘ですか? 昔、山を削ったんですよ。削って平らになったんです。今はそこでお米を作ってるんです。山を削るときに、先祖のお墓や神社仏閣などがある場所を、たいせつに残したんですね。そこを残丘っていうんです。」

<写真4|残丘のある風景①>

とても気さくなそして身のこなしの綺麗な役場職員が、仁多米を頬張りながら、笑顔でその先のまちの歴史文化を語りはじめてくれた・・・

山を削った? どこを?? えっ、まさか・・・???
(つづく)

次回は たたら〜その② そんなことをこんなとこまで です。

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島根県奥出雲地方

URL:https://www.okuizumogokochi.jp/ 奥出雲ごこち
http://tetsunomichi.gr.jp/ 鉄の道文化圏推進協議会

*写真1〜3は島根県奥出雲町さま、写真4は鉄の道文化圏推進協議会さまよりご提供頂きました。

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