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博報堂DYグループの旅行・インバウンド専門会社 wondertrunk& co.が選ぶ 2017年注目の「地方デスティネーション」

2017.02.17
#インバウンド#グループ会社#地域創生

wondertrunk&co. 代表取締役共同CEO
岡本 岳大


wondertrunk(ワンダートランク)のメンバーは、海外の旅行メディアや旅行会社の方々に「日本には、東京・京都・富士山以外にも素敵な旅先がたくさんあります!」と日々ご紹介しています。今回は、私たちが今年注目している「日本の地方デスティネーション」をご紹介します。

「2017年注目のデスティネーション」をイギリスの旅行誌と発表

いま訪日外国人の80%以上は「アジア」からの旅行者です。2020年・2030年にむけて、より多くの人に来てもらうためには、日本の多様な魅力をとくに「欧米」の旅行者たちにも知ってもらうことが重要です。そこで我々は、2017年1月にイギリス最大の旅行専門フリーマガジン「Escapism」誌(*1)とタッグを組み、「wondertrunkが注目する 今年いくべき日本の10の地方デスティネーション」を発表しました(*2)。この特集は、ロンドンで開催されたThe Telegraph Travel Showという旅行博イベントでも配布され、イギリスや欧州の旅行業界の関係者に紹介していただきました。

  • (*1) 「Escapism」誌 イギリスのフリートラベルマガジン。 2013年より3年連続で「INDEPENDENT PUBLISHER AWARDS」を受賞。 2015年には「TRAVEL MEDIA AWARDS」も受賞。発行部数は105,000部(読者数は252,000人)で、イギリスの旅行フリーマガジンとしては最大である。WEB : http://www.escapismmagazine.com/
  • (*2) 「wondertrunk & co. THE TOP 10 PLACES TO SEE IN JAPAN THIS YEAR」 10のデスティネーションの選定には、外部有識者として、宍戸麻美氏(株式会社Qetic代表取締役・クリエイティブディレクター)、岩下智之氏(株式会社i-communicate代表・トラベルコンサルタント)、杉浦太一氏(CINRA代表取締役社長)、およびwondertrunk & co.の共同CEOの岡本岳大と高橋亘、グローバル・ネットワーキングマネージャーの後久奈弓が関わった。

「瀬戸内 −日本を代表する“多島美”」

 「瀬戸内」はwondertrunkが最も注目するデスティネーションです。「SETOUCHI」としての海外での知名度はまだ高くはありませんが、近い将来、海外で日本を代表する観光地になる可能性があります。そう考える理由は大きく2つあります。
1つは瀬戸内エリアに、「広島」があることです。宮島と原爆ドームという2つの世界遺産は、アジアよりもむしろ欧米の旅行者に知られており、その周辺の観光地への興味もあがってきています。もう1つは、このエリアが直島や豊島を中心とする「アートの島」、しまなみ街道をめぐる「サイクリングの島」、厳島神社の宮島や村上水軍の能島など「歴史の島」などなど、多様な島の魅力をもっていることです。この情報をイギリスの編集チームに伝えたところ、Escapism誌は、瀬戸内に「THE MOST BEAUTIFUL JAPANESE ARCHIPELAGO –日本の最も美しい多島美−」というコピーをつけてくれました。

「白馬 –パウダースノーだけじゃない山岳リゾート」

 つづいては長野の「白馬」です。北海道のニセコにオーストラリア人旅行客が殺到していることは有名ですが、実は、白馬もパウダースノーを求める旅人たちには有名になっています。
しかし、我々は冬だけでなく「夏の白馬」の魅力をオススメしています。ドイツや北欧などでは、トレッキングや自然の中での滞在をする旅行が人気なので、夏の白馬を紹介するととても反応が良いのです。白馬には、北アルプスを縦走する登山ルート、夏も残る大雪渓、標高2000mの山頂にある槍温泉など、海外の山岳デスティネーションに勝るとも劣らない魅力が揃っています。今後、「山の上でも麓でも」楽しめるコンテンツを整備してくことで「世界的な山岳リゾート」になると思います。

「Escapism」誌での紹介誌面(瀬戸内・白馬)

「慶良間諸島 –2017年は国立公園のインバウンド元年」

 3つ目に紹介したのが、沖縄の慶良間諸島です。「ケラマブルー」という言葉があるほど、海の美しさが有名なこのエリアは、国立公園にも指定されています。海外の旅行会社やメディアに慶良間の写真を見せると、「これはタイ?インド洋?日本にこんな美しいバカンスできる島があるのか!」と目を輝かせてくれます。
政府や環境省は、国立公園を世界的な「ナショナルパーク」として海外向けのブランディングをはじめたところです。wondertrunkも国立公園の海外向けSNSの運営や戦略策定のお手伝いをしていますが、今年1年で国立公園のインバウンドは大きく進むと考えられます。その中でも、慶良間はリゾートとしての可能性、さらには沖縄本島からのアクセスの良さもあり、多くのバカンス客をひきつけていくと思います。

「山伏の庄内、ワインの甲州」

 我々は、現時点では外国人旅行者が多くなくても、「強いコンセプト」を持つエリアはデスティネーションとしてのポテンシャルがあると考えます。
一つは、山形の庄内エリア。修験道の地である出羽三山はミシュランのグリーンガイドで三ッ星をとった隠れたスポットです。宿坊に泊まりながら山伏修行の体験ができることも魅力的です。
また山梨の甲州も、世界的なワイン・ツーリズムの聖地になれるエリアです。甲州種は、日本固有のぶどうとして初めて国際的に登録された品種であり、「KOSHU」は世界のワイン好きや日本酒好きの旅人たちをひきつける可能性をもっていると思います。もちろん、これらのエリアはこれからいくつかの整備が必要だと思いますが、wondertrunkとしては海外の仲間たちを連れていきたいお気に入りの場所です。

「Escapism」誌の紹介誌面(慶良間・庄内)

「地域の魅力は、日本の次のインバウンドのチャンス」

 その他にも、注目の地方のデスティネーションとして、「十和田八幡平(慶良間同様、政府がモデルに指定する8つの国立公園の1つ。トレッキングやハイキングの聖地になる可能性あり)」、「九州の焼き物デスティネーション(有田、伊万里、唐津、波佐見など。最近パリなどにも積極的に海外進出しているため、窯場が旅先として注目される可能性あり)」も紹介しました。もちろん、すでに外国人旅行者に有名になっている「金沢」「白川郷」「高野山」なども引き続き日本の「地方のインバウンド」を牽引するモデル的な存在だと思います。

「Escapism」誌の紹介誌面(甲州・その他5つの地域)

2016年に日本に来た外国人旅行者は2400万人いますが、その7割が東京、大阪、京都など大都市に宿泊しています。日本の地方の魅力は海外ではまだまだ知られていないようです。「爆買い」は下火になってきましたが、日本には多様な「地域の魅力」があります。それらを前回ご紹介したような「海外のユニークな旅人たち(前回記事へのリンク)」とつなげていくことで「日本の地方」が「世界の観光地」になっていく。そんな次のチャンスが広がっていると考えています。

■wondertrunk&co.■
http://www.wondertrunk.co/

<岡本岳大・プロフィール>
2005年博報堂入社。統合キャンペーンの企画・制作に従事。世界17カ国の市場で、観光庁・日本政府観光局(JNTO)のビジットジャパンキャンペーンを担当。沖縄観光映像「一人行」でTudou Film Festivalグランプリ受賞、ビジットジャパンキャンペーン韓国で大韓民国広告大賞受賞など。国際観光学会会員。2016年7月、博報堂DYホールディングス内に株式会社wondertrunk&co.を設立。

※ご参考
・博報堂DYグループの旅行・インバウンド専門会社 wondertrunk& co.が選ぶ 2016年に出会った「世界の旅人タイプ」
・【担当者に聞く】日本の地域を、世界の観光地に…デスティネーション・プロデュースで、インバウンドは進化する! -博報堂DYグループ「株式会社wondertrunk&co.」設立インタビュー

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