現在、博報堂の国内グループ会社は50社を超えます。本連載では、多種多様な専門性と強みを誇るグループ各社のキーパーソンを直撃。それぞれの事業の特長や会社の魅力、博報堂グループの一員としての今後の展望などについてうかがっていきます。

第二回は、ユニークな体験型イベント等で話題のコミュニケーション施策を次々と手がけるクリエイティブエージェンシー、株式会社ハッピーアワーズ博報堂をご紹介します。
藤井一成代表取締役社長と外山徹郎常務取締役に話を伺いました。

外山徹郎常務取締役(左)、藤井一成代表取締役社長(右)

正攻法とは異なる広告の回路をつくる

藤井
2009年の創業から、株式会社タンバリンという社名で8年間活動をしてまいりましたが、16年10月に“生活者の『至福の時間』をクリエイティブする会社”として株式会社ハッピーアワーズ博報堂へと社名変更いたしました。社会やメディアの構造変化に伴い、生活者の行動も大きく変わり、広告にも新たな発見が必要だと言われています。しかし、世の中がどれだけ変わっても、感情や欲求が人を動かす原動力であることは変わりありません。ターゲットが、好きだとか、楽しいと感じる、普遍的な価値観を大切にしながら、クライアントとともに社会を動かす新価値体験を提示していきたいと考えています。

今の成熟社会では、どの商品もサービスも素晴らしいものばかりじゃないですか。そうした中、差別化を鮮やかに言い当てるクリエイティブだけでなく、ブランドへの固定観念そのものを飛び越える新しいコンセプトを提示して、ブランドの体験質をアップデートしてしまうようなクリエイティブも必要であると思ってきました。
ブランドや企業の持つ大きな価値ストックやノウハウを活かしながらも、想像をはるかに超える新価値体験を創造できれば、ターゲットを新たに惹きつけ動かすことができる。感動的な素晴らしい体験には、ターゲットとブランドを一気に結びつけるチカラがあると思うのです。
国民的ロングセラーブランドや、カテゴリーを代表するトップブランド、都市の街づくりなど大きなブランドとご一緒させていただきながら、社会に新たな動きを生み出す「挑戦」と「創造」はとてもエキサイティングです。

体験価値をきちんと設計していくという流れのなかで、360°をプランニング、プロデュースできる強み

外山
依然マス広告の重要度が高いナショナルクライアント、ナショナルブランドでも、ここ数年で仕事の進め方が明解に変わりました。バケツリレー型から統合型への変化は言われて久しいわけですが、それがさらに、経験価値を軸に、高度に昇華してきたという実感があります。
店頭接点、イベント接点、SNS接点、TV—CM接点、一つ一つがブランド経験となり、それがリアルな言葉やSNS上の言葉、画に変わって増幅していくわけで、じゃあ、コミュニケーションを通じて、何を経験してもらい、それが生活者を介して、どういう言葉で語られるのが理想なのか?そんな視点がプランニング初期段階で議論されるようになりました。プレゼンにおいても、アウトプットイメージとして様々なカンプを出すわけですが、その中に、生活者がこう語るという“口コミカンプ”も必ず提案するようにしています。コミュニケーションのゴール・ビジョンを語る上で、重要な要素になっているということだと思います。

藤井
コミュニケーション手段の拡張は留まることを知らず、統合もデジタルも当たりまえ。そして、SNSの普及で大きな影響力を持った生活者が、情報設計の中で重要な役割を担うようになってきました。心を揺さぶるまでの圧倒的な体験は、フォトジェニックに撮影された画像や映像とともに彼らのリアルなコトバで拡散し、あっという間に社会の共有価値になっていきます。そして、その感動の熱量は、次にメディアや流通を刺激して、ブランドはコンテンツになり、市場で更に人気者になっていくのです。
しかし、一方で、ペイドでいくら手厚くプロモーションを行っても、情報が拡散されない広告コンテンツが数多く存在します。世の中に溢れるエンターテインメントに負けない程のしきい値を超える深い感動体験をクリエイティブするアイデアと実現力が求められていると思います。生活者の反応がダイレクトに温度の違いとなって表れるシビアな時代で闘っているんですよね。

誰もが求める普遍的な価値 豊かな時間をつくっていく会社にしたい

藤井
新社名の「ハッピーアワーズ博報堂」は、博報堂のコピーライターの木村透さんに相談して考えていただいた名前です。頭文字を並べると「HHH」にもなる。素敵です(笑)。
「生活者の『至福の時間』を構築し、実体化する」というコンセプトを表しているんですが、「アワーズ」の積み重ねが、「デイズ」、「ライフ」になり、幸せな社会や人生づくりに一役買えたらと思っています。
会社ロゴは、博報堂のアートディレクターの高橋コージさんにお願いしました。いつも教えをいただく敬愛するレジェンドです。すごいおふたりに頼んじゃいました(笑)。針のない時計がデザインされているのですが、“時を忘れるくらいの楽しい時間を生み出すように!”というチャーミングな叱咤でもあると思っています。

外山
「時間」という点で言うと、いま世の中的にも働く時間を見直そうという動きが起こりつつあります。いつもより早く仕事を終えて帰るとして、じゃあ、この後の時間をどう過ごそうかと考える。飲みに行くでもいいし買い物に行くでもいいし、仲間とスポーツを始めたりするのかもしれない。そういう、新しい時間の使い方、豊かな時間の使い方というのは、消費にものすごく密接に結びついていると思うんですね。マーケットは時間の取り合いですからね。こんな魅力的な時間をつくったら、人がもっと集まってくる、こんなサービスを提供したらもっと豊かな時間を過ごせるとかを、ブランド視点も交えてクリエイティブしていく。それができれば、生活者にとっても企業にとっても文字通りハッピーアワーズになれるかなと。かつては、週休二日制の始まりとともに「花金(ハナキン)」という言葉と文化が生まれました。今という時代に、そんな時間の提案から、実現まで360°の角度でできるという点において、僕らの会社の強みも存分に活かせるのではないかと考えています。

藤井
消費を伴う豊かな時間の提案には、新たな収益機会を創出する可能性も見えてきます。時間やお金をかけてでも手に入れたい、体験したいという生活者のシンプルな強い欲求が、ビジネスを前に進めていく源泉ですからね。そして、お金を払っていただけるまでの感動的な体験を提供することができれば、同時にその体験は熱量のある口コミで拡散いただける訳です。売上を上げながらコミュニケーションする自家発電する広告です。笑 広告のパラダイムシフトと言えるかもしれませんね。
いずれにしても、こんな時代だからこそ、人が幸せな気持ちになり、世の中を豊かに前進させる仕事をしたい。広告という枠を超えて、誰もが求める至福の時間をつくりたいのです。そのためには、まずは、われわれスタッフもクライアントも幸せでなければなりません。外も内も楽しく、魅力溢れる仕事に取り組んでいきたいと思います。

ハッピーアワーズ博報堂の皆さん

会社概要
社 名  :株式会社ハッピーアワーズ博報堂
設 立  :2009年5月11日
所在地  :東京都港区赤坂5-3-1 赤坂Bizタワー
資本金  :1,000万円
代表者  :代表取締役社長 藤井 一成
事業内容 :生活者の「至福の時間」をつくるクリエイティブエージェンシー

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