今年で63回を迎えたカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルが6月18~25日までフランス・カンヌにて開催され、博報堂DYグループからは、三神正樹(ライオンズイノベーション-イノベーション部門)、細田高広(カンヌライオンズ-プロモ&アクティベーション部門)、橋田和明(カンヌライオンズ-PR部門)、志水雅子(カンヌライオンズ-ダイレクト部門)の4名が審査員を務めました。

「カンヌライオンズ」は、広告・コミュニケーション領域における世界最大規模のイベントで、「カンヌライオンズ」の期間中に、医療・ヘルスケア分野の「ライオンズヘルス」、テクノロジーやイノベーションに特化した「ライオンズイノベーション」、そして今年新設された音楽やエンターテインメント分野を評価する「ライオンズエンターテインメント」の計4つのフェスティバルが同時開催されました。

以下、4名が審査員を務めた部門のグランプリ受賞作品と、審査員ならではの視点をご紹介します。


(写真)左上から時計回りで、イノベーション部門審査員、プロモ&アクティベーション部門審査員、PR部門審査員、ダイレクト部門審査員。

ライオンズイノベーション-イノベーション部門 

三神正樹 (みかみ まさき)

株式会社博報堂 常務執行役員
株式会社博報堂DYメディアパートナーズ 常務執行役員

新カテゴリー設立が相次ぐカンヌ。その中でも新顔に属するのが「イノベーション」です。設立3年目となる今年は「カンヌにおけるイノベーションとは何か?」という問いかけに真正面から答えることが求められた年だったと思います。

グランプリ作品はGoogleの「DeepMind AlphaGo」。急速な進化を遂げつつあるAI技術の中でも、世界最高峰のプロ棋士を打ち負かした事実は、社会的にも大きな話題となったものでした。我々がこの作品を「カンヌにおけるイノベーションの今後を示すグランプリ」と判断した大きな理由の一つは、彼らの「Intuition(直感)への挑戦」という大きな飛躍への挑戦を評価し、共感したことが挙げられます。まさにこれからのコミュニケーションのあり方を大きく変革する可能性を示したものでした。

イノベーション部門グランプリ受賞
Google DeepMind「Google DeepMind AlphaGo」(イギリス/Google DeepMind)

URL:http://www.canneslionsarchive.com/winners/entry/777609/google-deepmind-alphago
(注)動画URLは、カンヌ公式サイトで一定期間閲覧可能。その後有料サイトでのみ閲覧可能です。

カンヌライオンズ-プロモ&アクティベーション部門

細田高広 (ほそだ たかひろ)

株式会社TBWA\HAKUHODO
シニアクリエイティブディレクター

「ビッグなブランドに向き合い、ビッグな課題を解決して、ビッグなインパクトを生んだ、ビッグなアイディアを賞賛しよう。」大雑把に言えば、それが審査員長から示された今年のプロモ部門の審査方針でした。

賞の獲得を狙ってつくられたことが透けて見えるチャリティ系の仕事や、小手先の仕事には容赦のない評価が下ります。新鮮な着眼はどこにあるのか?健全なクリエイティビティはどこにあるのか?常識を揺さぶったか?26人の審査員による、およそ1週間の議論に耐えた受賞リストには、同業者として誇りに思える「本気で現実を変えようとした」仕事が並んでいます。

そんな中でグランプリ作品に選ばれたのは、REIという米国アウトドア用品小売りが仕掛けた「#OPTOUTSIDE」。1年で一番商品が売れるBLACK FRIDAY(大型セールの開始日)に店を閉め、社員にも客にもアウトドアへ飛び出せと訴えるもの。これほど勇気の必要なアイデアは他にない、という点でグランプリ作品にふさわしいと多くの審査員が推しました。プロモのグランプリが「何も売らない」というアンチプロモーションというのが面白いですよね。

手口の鮮やかさは、もう当然。仕事の裏にある熱量がモノを言う。そんなカンヌって、悪くないなと思います。

プロモ&アクティベーション部門グランプリ受賞
REI「#OPTOUTSIDE」(アメリカ/Venables Bell & Partners)


動画:
http://www.canneslionsarchive.com/winners/entry/763471/optoutside
(注)動画URLは、カンヌ公式サイトで一定期間閲覧可能。その後有料サイトでのみ閲覧可能です。 


カンヌライオンズ-PR部門

        

橋田和明 (はしだ かずあき)

株式会社博報堂ケトル
クリエイティブディレクター/PRディレクター

カンヌ広告祭がクリエイティビティ祭に変わったきっかけとなったPR Lions。だからこそ、PRと広告の違いは何なのか、ということに真剣に向き合った6日間の審査でした。

PR Lionsの審査基準としてよく言われる“パブリシティの量” ”Perception Change(認識変化)” ”Behavior Change(行動変化)”ということは審査員の中では暗黙の了解になっていました。それをベースに、今年より明確になったのは“アイデアの質” “アイデアと結果の関係性の強さ” “PaidではなくEarnedに着目”という3点。その視点で選ばれた受賞作はどれもPRの素晴らしいショーケースになったと思います。

グランプリ作品のCoopの「The Organic Effect」は、結果にアイデアがしっかり貢献しているという意味で、グランプリに選ばれました。「有機野菜は環境のために良い、だから高い」という既成概念を「健康に良い」という文脈に変え、過去20年で1番の売り上げ結果を出しました。またドキュメントムービーは、尿検査を受ける家族のチャーミングな様子から、最後のショッキングな結果まで、コンテンツとしてもとても面白く、よくできていました。

PRと広告の境界が融けていくところにはもっと可能性がある、ということを強く感じました。

PR部門グランプリ受賞
Coop「THE ORGANIC EFFECT」(スウェーデン/Forsman & Bodenfors)

動画:http://www.canneslionsarchive.com/winners/entry/769878/the-organic-effect
(注)動画URLは、カンヌ公式サイトで一定期間閲覧可能。その後有料サイトでのみ閲覧可能です。


カンヌライオンズ-ダイレクト部門

志水雅子 (しみず まさこ)

株式会社博報堂
アクティベーション企画局 コピーライター

チャリティよりも、できるだけビッグブランドの仕事や成果を評価しようというのが、審査員及びカンヌ事務局の方針でした。「これ、実際に実施したのかな?」「リザルトをもう一度見てみよう」「このアイディアを、このブランドがやる意味ある?」などの絶え間ない議論がなされました。

「ダイレクトに人と人、人とブランドをつなぎ、消費行動を変える」というこの部門の定義に従い、見事グランプリを受賞したのはスウェーデン観光協会の「THE SWEDISH NUMBER」です。国が一つの電話番号を持つという企画で、この番号にかければスウェーデンに住む人と直接話すことができます。運が良ければスウェーデンの首相にも電話がつながります。SNSが浸透しても、人と人が直接「話す」という行為は何にも変えられないダイレクトな体験。言論の自由を受け入れた国レベルでの実現力に加えて、実際に電話をかけた審査員による個人的な体験な強さも受賞の決め手

25カ国から集まった25人の審査員との一週間は、世界中に同じ仕事をする仲間ができたかけがえのない体験となりました。

ダイレクト部門グランプリ受賞
Swedish Tourist Association 「THE SWEDISH NUMBER」(スウェーデン/INGO)

動画:http://www.canneslionsarchive.com/winners/entry/757769/the-swedish-number
(注)動画URLは、カンヌ公式サイトで一定期間閲覧可能。その後有料サイトでのみ閲覧可能です。

カンヌライオンズ2016 アーカイブ

【番外編】カンヌライオンズ2016で審査員を務めた細田高広(プロモ&アクティベーション部門)と志水雅子(ダイレクト部門)のインタビュー記事、Advertimesに掲載

【番外編】北風勝 常務執行役員のカンヌライオンズに関するインタビュー記事、SENSORSに掲載

【Vol.2】カンヌからライブ中継! 博報堂から北風勝常務執行役員がセミナーに登壇します。

【Vol.1】カンヌライオンズ2016審査員に博報堂DYグループから4名が決定