博報堂生活者アカデミー

星出祐輔

データと偶然に出会う装置

答えやノウハウ、時事ネタを扱っているサイトはいっぱいあるけど。
アイデアになる前の種や芽がいっぱい溜まっているサイトって、世の中にあまりないかもしれない。
僕は昨年、このサイトを立ち上げる担当をして、そんなことを考えながら仕事をしました。
このコラムでは、使い手目線と作り手目線の両方から書いていきたいと思います。

一般的に、物事を考えたり、リサーチしたりするときは、「言葉」から入ります。
たとえば、「好きな料理」であったり、「お金」「愛」であったり。
言葉を起点に考えたり検索したりする

でも、データの見せ方は言葉起点だけだろうか?そうではない分類ができないか?
そう考えて生まれたのが「グラフの形から見る」という見せ方。下の図を見てください。

「生活定点」は、22年分の生活者データなので、
時系列の変化がパッとわかるように、データを折れ線グラフにしています。
その折れ線グラフの形に着目して、データを分類しました。

その結果、直感的にカタチから項目を選び取り、
そこから考える仕組みを作ることができました。
それは、はじめから言葉ありきではない、
「非言語な検索システム」の開発と言っても良いかもしれません。

「グラフの形から見る」を使うと、
いまの日本人の気持ちを、ざっくり俯瞰的に見ることができます。

たとえば、こんな項目。

【V字回復している項目】

http://seikatsusoken.jp/teiten2014/graph/7.html

  • 国民の義理がたさは日本の誇りだと思う
  • 地球環境の保護につながる具体的な行動をしていない

【ここ2年で最も下降】

http://seikatsusoken.jp/teiten2014/graph/5.html

  • 国民利益を犠牲にしても個人利益を第一に考えるべきだと思う
  • 世の中のことでよろこばしいことが少ない
  • 日本と外国の交流が進むと日本人のマナーが悪くなると思う

【ここ2年で最も上昇】

http://seikatsusoken.jp/teiten2014/graph/4.html

  • 今の日本は良い方向に向かっていると思う

「V字回復してるのはそういう項目なんだ」とか「ここ2年で最も上昇してるのはそれ?」とか
意外に思った方もいるのではないでしょうか。
僕がびっくりしたのは、【V字回復している項目】の
「地球環境の保護につながる具体的な行動をしていない」です。
「行動をしていない人」が近年、増えている!?なぜ?

環境意識について調べていたわけではないのに、
「V字回復」に興味を持って一覧を見てみたら、そのデータを偶然知ってしまう。
「なぜ、上昇しているのだろう、その理由は、背景は・・・」と、思考が勝手に走り始める、この感覚。
この感覚をたくさんの人に知ってもらいたいと思っています。

インターネットは本来、自分の感覚の周波数帯の外へといざなってくれ、
あたらしい景色を提示してくれる装置であり、環境です。

目的や仮説を持たずとも、そこに飛び込んでいけば、
なかば強制的に発想妄想への旅が始まります。
今までにはない楽しさ、面白さを味わうことができます。

この仕事では、そんな情報化時代の発想のつくり方を気づかせてくれました。
生活定点特設サイトを活用して、たくさんの発想や妄想の芽を作っていただけると嬉しいです。

連載【私の生活定点】バックナンバー

『生活定点』調査とは、1992年から22 年間にわたって隔年で実施している生活総研のオリジナル定点観測調査です。同じ地域(首都圏・阪神圏)、同じ対象者設定(20~69歳の男女)に向けて、 同じ質問を継続して投げ掛け、その回答の変化を時系列で観測しています。項目数は約 1,500項目に及び、衣、食、住、健康、遊び、学び、働き、家族、恋愛・結婚、交際、贈答、消費、情報、メディア接触、社会意識、国際化と日本、地球環境など、生活者のありとあらゆる領域を網羅しています。2014年、最新調査結果の公開にあたって「生活定点」特設サイトを開設しました。
http://seikatsusoken.jp/teiten2014/(時系列データのエクセルファイルもダウンロードできます。日本語版と英語版をご用意しています)
「生活定点」特設サイトでは「似てるかもグラフ」「グラフの形から見る」「ランキング表」「面グラフ」など、ふだん、あまりデータを扱わない人にも、統計データを楽しんでいただける工夫をしています。ぜひ、ご活用ください。