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連載【私の生活定点】第10回ーリア充はリアルか

2015.10.05
#生活総研#生活者調査

博報堂生活総合研究所

中島健登

リア充はリアルか

現実世界の生活をアクティブに充実させている人のことをリア充といいます。
一度きりの人生、私もどうにかしてこのリア充になりたいなと頑張っているのですが、どうにもうまくいきません。

大丈夫みんなも一緒だよ、ということであれば安心できるのですが、facebookに流れる投稿を拝見するに、どうやら私以外のすべての方がリア充側であるようです。
スクロールするほどに積み上がっていく羨望、孤独感。つらい。

そもそも、いつの間に日本人はこんなにもリア充になっていたのでしょうか。
こんな私でも、facebookを始める数年前までは日々劣等感にさいなまれるなんてことはなかったように思います。ここ2、3年で何か大きな変化があったのでしょうか。

湧き上がった疑問を確かめようと、生活者意識の推移を俯瞰できる「生活定点」特設サイトを覗いてみました。
さすがに「自分はリア充だと思う」という直球な設問はなかったので、リア充にとって必要だと思われる条件をいくつか抽出し、それに当てはまる項目を参照してみました。

まずはこんな項目。

「自分はおしゃれな方だと思う」

衣服に限る話ではありませんが、自分に確固たる自信があるというのはリア充として重要な要素だと思われます。

意外にも、かなり低いです。しかも調査開始年から徐々に減少傾向にあります。
さすがに「自分はおしゃれだと思う」などとは断言しにくいのでしょうか。どうやら質問のハードルが高すぎたようです。

では、別の方向から。

リア充といえばビーチ、BBQ、フェス、クラブなど、屋外での精力的な活動が印象的です。

この項目には

「家の中よりも、野外で遊ぶ方が好きだ」

がぴったり当てはまるでしょう。

こちらも低い。そしてやっぱり減少傾向。
今のところ、私の実感・予想とことごとく反する結果です。

リア充の最たる特徴といえば、やはりその交際関係の広さ。
これについてもちょうどいい設問がありました。

他の項目も見てみます。

「交際の幅は広いですか?」

「友人は多ければ多いほどよいと思う」

やっぱり、どんどん下がっています。
一体これはどういうことでしょう。

もしかして、本当にリア充な人は実際ぜんぜん増えていない?
あるいは、自分の一部分を拡大してfacebook上でのみリア充のように振る舞う人が多い?
それとも、リア充の方々は投稿頻度が高い?だから自然と目にとまりやすくなっているだけ?

などなど仮説は導き出せますが、とにかく、つまりは、なるほど。
みんな、言うほどリア充じゃなかったのか。

データとは、時に人を勇気づけ、慰めもするようです。
ありがとう、「生活定点」特設サイト。

連載【私の生活定点】バックナンバー

第9回「データと偶然に出会う装置」
第8回「お父さんの背中は小さくなったか」
第7回「生活定点」は「日本人の心のガイドブック」
第6回「調査と妄想」
第5回「料理好きな男は転職を考えてるかも」
第4回”科学技術が進歩しすぎて不安である”という設問を”科学技術の進歩”を用いて解析
第3回「友達」と「金髪」と「ソーシャルメディア」
第2回「愛」より「カネ」か?日本人。
第1回「引っ越しをしたい30代は、焼肉・ぎょうざ好き?」

『生活定点』調査とは、1992年から22年間にわたって隔年で実施している生活総研のオリジナル定点観測調査です。同じ地域(首都圏・阪神圏)、同じ対象者設定(20~69歳の男女)に向けて、 同じ質問を継続して投げ掛け、その回答の変化を時系列で観測しています。項目数は約 1,500項目に及び、衣、食、住、健康、遊び、学び、働き、家族、恋愛・結婚、交際、贈答、消費、情報、メディア接触、社会意識、国際化と日本、地球環 境など、生活者のありとあらゆる領域を網羅しています。2014年、最新調査結果の公開にあたって「生活定点」特設サイトを開設しました。
http://seikatsusoken.jp/teiten2014/(時系列データのエクセルファイルもダウンロードできます。日本語版と英語版をご用意しています)
「生活定点」特設サイトでは「似てるかもグラフjavascript:void(0)」「グラフの形から見る」「ランキング表」「面グラフ」など、ふだん、あまりデータを扱わない人にも、統計データを楽しんでいただける工夫をしています。ぜひ、ご活用ください。

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